元世界最強な公務員【ラノベ感想】

2023年1月10日

元世界最強な公務員 1.帰還勇者、身分を隠してたのに新人冒険者の世話をすることになりました
著:mm
イラスト:キッカイキ
出版:HJ文庫
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アマゾンのあらすじより

久住晴夏はかつて、地球と繋がってしまった異世界を勇者として救った。その闘いの日々に嫌気がさした彼は、地球に戻った後に安定を求め公務員を目指して就職活動を始める。
しかし、異世界に飛ばされたことで職歴も無し、学校も中退の彼が選べる仕事は少なく、その知識を利用して異世界交流課に勤めることに。
その最初の仕事とは、ワケありな三人の新人女子冒険者をサポートすることで――。

隠遁したい元勇者による、現代バトルファンタジー開幕!

感想

HJ文庫公式レビュアープログラムで頂戴した作品です。異世界ラノベがあふれかえる中、異世界を救ってからのその後の世界や、元の世界に戻ってからの暮らしなど描かれることなんてありませんよね。異世界とのギャップが楽しめればいいかなと思って読んでみました。
 
ただ頂いた本なのでホントは褒めた方が良いんでしょうけどねぇ…。このところ個性的で良い本ばかりに巡り会っていたせいなのか、パっとしないってのが一番の感想でした。特殊能力を使えない現代で力を隠すところや、異世界とのギャップが他作品との大きな違いになったんでしょうが、設定がチグハグなんです。現代を舞台にしていて公務員の組織とか動き方はリアルに寄せています。しかし異世界の設定は甘さが見えすぎです。「悪いドラゴンは言葉をしゃべれず意思疎通を図れないってホント?」とか「異世界と日本で会話はなんで通じるの?」ツッコミたいのが色々です。コメディなら過度のご都合主義もアリアリだと思いますけど、シリアスパートもそれなりにある本作にはちょっと違うかと……。現実世界にやってくる以上、それなりのリアリティは意識して欲しかったです。
 
展開の全300ページ超のうち200ページくらいまでは、現代でのゆるふわパートです。新人女子冒険者一人一人を掘り下げるパートがあって、美少女ゲームみたいな雰囲気です。てっきりラブコメ路線なのかな?と思ったくらいです。冒険者がスマホを使いこなしていて、LINEみたいな吹き出し調のメッセージがわざわざ差し込まれています。
ところがどっこい密度が濃くて面白さを感じたのは、ラスト50ページくらいのバトルシーンでした。たしかにそこは面白かったですよ。力を合わせて強敵に立ち向かうシーンはアツイですよね。でも重みをそこに持ってくるなら前半はなんだったんでしょう?
 
加えてラストはこれまでの説明不足に対する挽回かのように、主人公の強さの秘密やらナニやらが詰め込まれています。意表を突かれましたが、ちょっともう少し前振りは欲しかったですね。ホント前半ってなんだったんでしょう…
総じてタイトルにある「公務員」が、そんなに大事にされていないのかなぁと感じました。その「公務員」のところに期待してしまっていたので、私にはもの足りませんでした。元勇者が隠居して冒険者ギルドの教官でもしてたほうが、自然な展開だったように感じます。
 
 
 
 

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Posted by kyoikyoi