悪魔公女 【ラノベ感想】春の日びより Kラノベブックス

2022年12月18日

悪魔公女
著:春の日びより
イラスト:海鵜 げそ
出版:Kラノベブックスf

  悪魔公女

アマゾンのあらすじより

――光溢れる世界の夢を見る。
家族。学校。友達。電車。バス。映画。本。
『私』は光の世界で成長し……最後に白い部屋の中で、闇に包まれた。
夢から覚めると、魔界と呼ばれる世界で小さな一体の悪魔になっていた。
「――帰りたい――」
『私』の心に広がるのは、夢で見た光の世界への憧れ。
そしてある日、目の前に現れた『召喚門』に飛び込む。
再び『私』が目を覚ますと、人間の赤ん坊として生まれていた。
そこは神聖王国。「帰りたい」と願った世界とは異なる人間の世界。
悪魔でありながら、赤ん坊の力しかない『私』は恐怖する。
自分が悪魔だということは隠し通さなければ――……。

さあ、愛しき人間たちよ。
その絶望を“悪魔《わたし》”に捧げよ。

感想

以前に春の日びよりさんの出された転生ファンタジー作品が、もの凄く面白かったのと「主人公は悪魔」とのあらすじが気になって読んでみました。
いやぁ読んで良かった。文句なしに面白かったです。この楽しさを是非ラノベ読みのみなさんに知ってもらいたいです!!

主人公のユールシアは、悪魔の生まれ変わりです。人間離れした容姿に魔力と異世界転生系作品では、お約束の展開が待っています。
でも春の日びよりさんの作品は、それだけにおさまりません。お約束の枠を飛び越えた設定と展開でドキドキが、止みませんでした。特にラストがスゴかった。

まず最初のパートは、魔界の悪魔パートです。もともと主人公には、人間の記憶があって悪魔として目覚めるスタートです。
そこで"暗い獣"という強大な悪魔と出会って、波長があったのか庇護を受けてレベルアップしていきます。モンスターへ転成して強くなっていく爽快感を楽しむ展開です。

それから主人公の力を受け継いでモフモフな下僕ができたり、そもそも主人公も"暗い獣"モフモフだったりと挿絵からも分かる癒やされる場面です。
また"暗い獣"の保護者度合いが、ドンドンと強くなっていて束縛MAXになっていく展開も描写されています。だから本作ってKラノベブックスf的な作品化と思いきや……人間へ転成で雰囲気が一変しました。

人間になってからは、「悪魔の力を隠して生きていこう!」 → 「なんだかんだで周囲にバレてごまかす」の異世界転生の王道に立ち返るんですよ。優しい家族に恵まれて癒やされ展開です。
そしてこの強さを得るための悪魔転成だったのね……と理解したところで再度一変します。

そう本作は、思いっきりのダークファンタジーです。人間 + 悪魔がミックスされた結果とんでもないモンスターが、誕生してしまうんです。思わずゾックゾクしてしまう後半でした。これなら納得と感じる周囲との勘違いですよ。

 

序盤でバスとか映画という単語が出てくるので日本人なんでしょうかね。人間 → 悪魔 → 人間とややこしい転成を経た物語の作り方が素晴らしいです。こんな展開は、全く想像できませんでした。

 

ダークファンタジーな作品が、好きな方へ強くオススメします。とてもとても面白いです。参考として1巻目の帯にある文章を↓に。

ああ……聞こえるわ。

える人間たちおしい悲鳴が。

 

すぐにでも続きを読みたいです。

 

悪魔公女 (Kラノベブックス)
春の日びより
講談社
2022-05-31
 
 
 
 

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