ベアトリス、お前は廃墟の鍵を持つ王女 【廃墟シリーズ】【ライト文芸感想】

2022年5月6日

ベアトリス、お前は廃墟の鍵を持つ王女
著:仲村つばき
イラスト:藤ヶ咲
出版:集英社オレンジ文庫

アマゾンのあらすじより

王族による共同統治が行われる国イルバス。王女ベアトリスは王宮を離れ、北方の辺境リルベクで趣味の工業生産に明け暮れていた。尊大な兄アルバートと狡猾な弟サミュエルが常に対立し、間に挟まれたベアトリスは分裂を回避するためにあえて引きこもっていたのだ。だが周辺国の情勢が悪化し、ベアトリスはついに政治的決断を迫られる……。国の命運を握るのは王女。激動のヒストリカルロマン!

 

仲村つばきさんによる18世紀末の西洋を思い起こさせるイルバスを舞台とした歴史小説です。2本の物語と歴史と世界観が共通している「廃墟シリーズ」です。歴史小説好きにはたまらない刻の流れを追う楽しさ + キャラの熱い魅力がとても面白いシリーズです。

刊行タイトルは、バラバラです。今から読み始めるには、まちがって先のお話を買わないように注意がいるかもしれません。

刊行タイトル

・ベアトリス、お前は廃墟の鍵を持つ王女)
・廃墟の片隅で春の詩を歌え 王女の帰還
・廃墟の片隅で春の詩を歌え 女王の戴冠
・王杖よ、星すら見えない廃墟で踊れ
・クローディア、お前は廃墟を彷徨う暗闇の王妃
・神童マノリト、お前は廃墟に座する常春の王

4巻目まで読んでいます。ベアトリス・アルバート・サミュエルの3兄弟が、困難に立ち向かいながらイルバスを導いていくお話と、彼らの祖母にあたるアデール王女のお話が入り交じって刊行されています。アデール王女のお話を読むとイルバスは、なぜ兄弟で共同統治なのかやニカヤが、なぜ友好国なのかなど深みがでて世界観にひたれます。

1~3巻目の感想

1巻目の主人公は、長女のベアトリスです。彼女は兄弟が争わないで協力してイルバスを統治するようにとある鍵を託されています。これがタイトルの意味です。結婚に追いやられそうなところをベアトリスは、行動で示す強い女性です。かっこいい女性が活躍する物語です。

また廃墟シリーズでは、王と王杖の関係が重要になります。王杖とか王の片腕として任ぜられる職で王に次ぐNo.2の実力者です。また女王が指名した王杖は、王配として婚姻するのが通例です。
そんななかベアトリスは、王杖候補者を断り続けています。王杖がいないので女王自ら飛び込むようにして政務をこなすんですよ。数少ない協力者である平民出身のギャレットとの二人三脚な舵取りです。読み始めたら止まらなくなる面白さです。

兄弟3人でなかなか手を取り合ってとなりませんが、3人ともイルバスの未来を願う気持ちはおなじです。個性の違いから方向性が、全く違うんです。

4巻目の感想

4巻目の『王杖よ、星すら見えない廃墟で踊れ』は、第3子サミュエルを主人公とした巻です。ベアトリスを中心とした巻では、甘やかされてそだった末っ子。王として兄と姉に並び立とうとするもまだまだ未熟……といったところです。
そのサミュエルが、彼に対して正直で勇気を奮い起こさせる従者と出会い成長する巻となっています。中心人物が切り替わるとキャラの見え方がガラッと変わって深いですね。1巻目を読んだときは、ベアトリスを応援したい気持ちとなり4巻目の後は、サミュエルを応援したくなりました。

 5巻目の感想

5巻目を読みました。今度はアルバートを中心としたお嫁さん探しのお話です。自信家でオレ様なアルバート節、大炸裂でした。後継者を生んでくれたら誰でも良い。オレに惚れない女なんていないだろってアルバートに対して、イヤイヤそれはって冷静な突っ込みを入れる王杖のウィルが、またよい味を出してくれてました。
アルバートに目を付けられた(?)のは、隠者のような修道女のクローディアです。ドアノブを破壊する怪力が、あってオッドアイの暗視持ち。まるでラノベの主人公みたいな特別感をもつ娘です。彼女がアルバートから逃げまくるんです。
はじめて姉以外の女性を追いかけ回すアルバートは、これまでとのギャップでとっても面白かったです。

 6巻目の感想

6巻目も読みました。イルバスからニカヤに舞台は移ります。言葉を発しなくなってしまった幼いマノリト王を取り巻くお話です。ニカヤはマノリト王の下、歩んでいって欲しいと願うベアトリス。ニカヤはニカヤのものでイルバスの干渉は、いらないと反発するニカヤとの板挟みが、悩ましい巻でした。結構重めな話しも多かったです。
そんな状況で経験の浅いサミュエルの王杖が、神童のマノリトに体当たりでぶつかっていく様は、成長を感じられて面白かったです。

 

 
 
 

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