【ラノベ感想】カボチャ頭のランタン mm ダッシュエックス文庫

2022年3月8日

カボチャ頭のランタン
著:mm
イラスト:kyo
出版:ダッシュエックス文庫
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アマゾンのあらすじより

WEBでカルト的人気を誇るダークファンタジーがダッシュエックス文庫電撃参戦!!
数多の迷宮が湧く都市で、ソロ探索者として独り迷宮を攻略し続ける少年・ランタン。
闘争と孤独の日常の中で、ランタンはとある少女に出会う。
長身痩躯の少女・リリオン。外見に反してどこか幼さを感じさせる少女との出会いが、ランタンの日常 を少しずつ変えていく……

驚異的な描写力で贈る“五感で味わう"本格ファンタジー小説、開幕!!
丁寧なラノベで面白かったです。ラノベブログで硬派なファンタジーと紹介されていたので、読んでみたところ見事に私好みの作品でした。作風は二昔ぐらい前のファンタジー小説を彷彿とさせました。チートやゲーム的要素はひかえめです。命をかけてダンジョンアタックをしてモンスターを狩れても、帰り道に探索者くずれから襲われないよう警戒して街へ戻る。生きていくので一生懸命な雰囲気のダークファンタジーです。
ハヤカワの海外系ファンタジーが好きな方なら一読をオススメします。その分、ゲーム要素が強いコミカルなファンタジーが好きな場合は、刺激が強かったり文章の密度が濃いめなので好みが分かれそうです。
 
主人公のランタンは、一見少女のような外見をしています。にもかかわらずソロでダンジョンアタックを続ける風変わりなベテラン冒険者です。殺伐とした世界観を反映してか、敵に対しては容赦なく壊しにかかれる非情さももったキャラです。
それと対をなすリリオンは、探索者志願の駆け出しです。技術はないのに身体能力は抜群、長身美形なのにどうみても子どもみたいなあどけなさが残ると、こちらも風変わりなキャラです。リリオンがキーとなってランタンが変わっていく様子が、面白いのです。紹介したいエピソードがいくつもありますが、ネタバレなるのでここでは伏せておきます。
 
また本作の特徴として冒険や戦闘に関して、五感に訴えかける表現に富んでいる点もあります。何日もダンジョンに潜った日の汗の臭い、炎で焼いた敵の音や焼かれた姿、肌に伝わる感覚などをこれでもかとぶつけてきます。ダンジョンには生活のために命がけで潜っている感がすごいです。
戦闘描写もちょっと変わっていて、ランタンの主武器はウォーハンマーです。切るのではなく、叩き潰すです。ウォーハンマーのピックで引っかける、突き刺すです。それに加えて殴りつけて踏み抜くと泥臭く勝つための戦い方をします。そんなあたりも最近のファンタジーでは珍しい戦い方じゃないかと思います。ボス戦のシーンなんかは、殴り殴られのギリギリの戦いが熱いですよ。
 
2~3巻ではそれまで敵なしであったランタンの前に手強い相手や、圧倒的な強者が新キャラとして登場します。そんな彼らとパーティーを組んでダンジョンに挑むシーンが盛り上がります。またリリオンがランタンと初めて会ったときに何故そんな姿であったのかや、ランタンが狙われ続けていた理由も明らかになってきます。
かけだしであったリリオンが成長するにあわせて、周囲の脅威も大きくなり新たな冒険が楽しみになるところで…ダッシュエックス文庫の刊行が止まっています。
 
アマゾンのあらすじに「WEBでカルト的人気」とあるのも納得です。ニッチな層に強く刺さりそうな作品ですね。それだけに続刊は難しそうな気配ではありますが…
ありがたいことに小説家になろうの掲載が続いています。続きはそちらで楽しみましょう。ランタンとリリオンの冒険は、まだまだ続きます!