成金令嬢物語【ラノベ感想】

2022年12月18日

成金令嬢物語 ~悪女だと陰で囁かれていますが、誤解なんです~
著:江本 マシメサ
イラスト:鈴ノ助
出版:二見サラ文庫

成金令嬢物語

アマゾンのあらすじより

威圧するほど美しく、気高い――のは見た目だけ!?
人見知りのメルディアが恋するのは「推定三十歳、長年かけてメルディアを自分好みに調教してきた『謎の男』ユージィン」――!?

侯爵家のレイシェイラは、ベルンハルト商会の娘メルディアに一方的な敵愾心を抱いていた。夜会の注目を一身に集める美貌の令嬢――しかし実態は社交の場なんてとんでもない泣き虫で人見知り。真実を知り呆れるレイシェイラだが、恋の相談を聞くほどにその相手、ユージィンなる腹黒に長年にわたり洗脳されてしまったのだと確信を深めていく。メルディアの兄ジルヴィオをも巻き込んだ成金令嬢の恋の顛末は果たして!?

感想

なんと成金商家物語の続刊です。悪役顔中年アルフォンソと騎士メルセデスの子供を主人公として帰ってきました!
令嬢と使用人の黄金パターンに何回転かひねりが、加わっていてさすがマシメサさんです。とっても面白かったです。

さて本作の主人公メルディアは、前作での主人公アルフォンソの一人娘です。彼女と使用人のユージィンが、恋を成就させるまでのお話となっています。
このメルディアときたら度が過ぎたコミュ障なんです。家族とユージィン以外とは、まともに会話もできない重症です。当然友達なんていなくて20歳の誕生日に宝石を送られるよりも、ウサギのぬいぐるみをねだってしまうようなお子ちゃまなんですよ。

それでいて外見は、絶世の美女ときています。
とはいえメルディアに近寄ってくる男性を上手にかわすなんて不可能です。それだからと無言で立ち去ったりするものだから、社交界では悪女だと噂になっているような状況です。

それほどコミュ障だったメルディアが、勇気を振り絞って社交界に挑むシーンなんてよかったですね。ユージィンとの深すぎる絆も良きです。

 

そしてそのメルディア以上に私に刺さったのが、侯爵令嬢のレイシェイラです。
はじめはメルディアの悪評を信じていた彼女です。それが次第に親友ポジにおさまっていって、個人的に本作のもう一人の主人公だと思ってます。このレイシェイラが人間らしくて愛らしいんですよ。

侯爵令嬢の娘として社交界では、淑女らしく振舞っていながら性悪(自称)です。
自分に正直で目標に向かって突っ走るタイプです。まさに物語の女性主人公にピッタリな性格なんですね。

そしてその彼女ときたら残念ヒロインなんです。本作のイベントのいくつかは、完全に彼女の勘違いによって巻き起こっています。自分にとって理想と思う男性の前で、その良さを気づかずに説きだすあたりとかきっと黒歴史でしょうね。
気の強い彼女の言動は、読んでいて心地よかったです。きっと彼女なら社交界も怖くないんでしょう。短編でも良いのでレイシェイラのお話をもっと読んでみたいと感じたほどです。

 

前作の『成金商家物語』を読んでいれば、アルフォンソとメルセデスのエピソードもちょっとだけあって一層楽しめますよ。こちらだけも十分に面白い作品ですけど、よかったら前作の『成金商家物語』も読んでみてほしいです。

 

 

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