ノベルゼロとは、どんなレーベル? その1

2023年1月10日

KADOKAWAのラノベレーベルの一つに、NOVEL 0(ノベルゼロ)がありました。
まずこのレーベルの記事を見ることがないので、感じたところをまとめてます。

 
レーベルのコンセプト
ラノベブームを経験した30歳以降や、ヤングアダルト小説に親しんだ熟年層など大人の男性をターゲットにしていたそうです。刊行時は異世界作品が大人気出会った中、異世界は禁止、主人公は大人の男性、エログロ描写はOKとよくいえば硬派です。悪くいえば商業的に大丈夫なの?と素人ながらに心配になるぐらい攻めたレーベルでした。
私の勝手な心配をよそに、2016年2月から2019年4月までの間に85冊を刊行しています。2019年を最後に新作の発表はないものの後述する公式サイトは残っており、KADOKAWAとして廃刊の宣言はなされていません。紆余曲折ありながら結構長く続いたなぁと感じています。
ノベルゼロの特徴
まず分かりやすいのが見た目です。カバーの上にもう一枚、帯を長くしたようなカバーがかけられています。帯のようなカバーを外すと非常にシンプルな見た目となります。これは帯を外せば普通の小説と見た目ではわからないので、30歳以上の想定読者が読みやすくするためとも、本体カバーの色とあわせデザイン性をとったものとも言われますが、本当のところは推測の域を超えません。
これが
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こうなるのでカバーを外すとラノベにはまず見えません。

そして巻ごとに表紙カバーの色が異なります。作品のイメージにあわせて赤青黄黒白などなど様々で、本棚に並べると非常にカラフルで華やかになります。上記の画像のように同じ赤系のカバーでも明暗の差があったりと凝った外装になっていますね。

 
表紙イラストがこのような扱いなので、作中のイラストも思い切った扱いがされていて挿絵はありません。口絵はありますが、『歌姫島の支配人候補』のように極一部には口絵すらない作品もあるほどです。ラノベの枠からちょとズラしてみたというのが、ノベルゼロの大きな特徴ではないかと思います。この特徴はその2で述べるレーベルの方向性が変わるまで継続されます。
口絵の箇所は、このようにラノベとおなじ体裁です。

 

 
レーベルを彩る豪華な執筆者やイラストレーター
設立当初のKADOKAWAによるバックアップは、とても強くベテラン作家が多数参加されていました。刊行時だけでも「聖剣の刀鍛冶」の三浦勇雄先生、「火の国、風の国物語」の師走トオル先生が参加されていますし、その後はアニメ化された「灰と幻想のグリムガル」の十文字青先生、はてはラノベ界の大御所といえる水野良先生や友野詳先生も参加されています。KADOKAWAの強さを感じる豪華メンバーが勢ぞろいです。
本記事を投稿した2021年でいうと「楽園ノイズ」の伊藤ヒロ先生、「神は遊戯に飢えている。」の細音 啓先生の過去作品も読むことが出来ます。2021年にアニメ化された土日月先生の「もしも高度に発達したフルダイブRPGが現実よりもクソゲーだったら」の初出もノベルゼロだったりします。

 

 
ラノベの概念を超えた幅広いラインナップ
ノベルゼロで掲載されるジャンルは、ファンタジー・SF・ミステリー・ラブコメに止まらず、時代小説・戦国怪異・ギャグまで何でもありです。傾向として初期はハードボイルドや設定が詰まった現代物やファンタジーが中心で、後期になると明るい雰囲気のファンタジーや現代物が中心になっています。
特に2016年に刊行した作品は、「異世界でなくて主人公が大人の男性であれば良いよ」とばかりに作者さんが。書きたい作品を思いのままに出したような自由な作品が多いです。KADOKAWAの別ラノベレーベルでは、まずみられないようなフリーダムっぷりです。数作はどうみてもラノベ枠に入るか怪しい内容の作品も含まれるほどです。どんな作品と出会えるか分からないドキドキ感は凄かったです。
もちろん初期は有名な執筆陣を引っ張ってきているので、読み物としてハイレベルです。これだけジャンルが多岐にわたると、私も読んでいて好みでないジャンルになることもあります。それでもじっくりと読ませて物語に引き込ませられてしまうので満足感は高かったです。後期も有力な新人作家が参加されるので、これまでと違った新しさで面白い作品は多かったです。面白いのが基本で、そうでなかったのは自分にハマらなかっただけ、読み物としては楽しめるというあたりがノベルゼロを追いかけていった原点です。アレな作品は滅多にあたりませんでした。
長くなってきたのでノベルゼロとは切っても切り離せないレーベルの路線変更は、次の記事で記載します。
 

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ノベルゼロ

Posted by kyoikyoi