璃寛皇国ひきこもり瑞兆妃伝 【ラノベ感想】

2023年1月11日

璃寛皇国ひきこもり瑞兆妃伝 日々後宮を抜け出し、有能官吏やってます。
著:しののめすぴこ
イラスト:toi8
出版:カドカワBOOKS
   9784040743523
 

アマゾンのあらすじより

黒色が平和をもたらす『瑞兆(ずいちょう)』の証とされる中華風の異世界に迷い込み、璃寛皇国(りかんこうこく)の皇帝に拾われ後宮の妃になってしまった紗耶(さや)。
しかし退屈すぎる生活に限界を迎え、こっそり抜け出し男装して官吏として働き始め……気付けば大出世!
「黒髪ってバレても女ってバレても大問題だよね……」
滅多に姿を見せない『ひきこもり妃』とたった五年で尚書省次席まで登りつめた有能官吏。日々2つの顔を使い分け、次々やってくる国の危難を解決します!

感想

カドカワBOOKSだと貴重な中華風ファンタジーです。中華っぽい異世界に転移して、後宮入りするという人気の展開です。富士見L文庫の中華風ファンタジーを読まれていれば、すんなりと読めると思います。単行本ならではの文字数でたっぷりと堪能しちゃいました。

後宮入りして皇帝に見初められて特別扱いされるって王道展開は外さずです。そこに男装して官吏として働いているとか、誰もが認める優秀な官吏だって変化球が混ざっています。それにより後宮内での権力闘争シーンに加えて、政務面でのテーマも扱えるようになり物語がとても幅広くなっています。
タイトルに"日々後宮を抜け出して"とあるようにメインは、経理とかのお役人仕事のあれこれです。お役人仕事と後宮内のアレコレがリンクしていて、とても面白かったです。

 

あとファンタジー要素として転移した世界では、黒色が平和をもたらす『瑞兆(ずいちょう)』の証ということで、黒目・黒髪の持ち主が神聖視されてます。だから髪や目の色が黒に近かったり濃かったりすると高貴とだとされる世界です。その頂点として皇帝は黒目・黒髪です。このへんも面白い要素でした。
世界感的に主人公は、運命の人って位置づけです。でもまだまだ主人公には、受け入れる準備もできていないというのが1巻目です。皇帝からのアプローチにどう応えるかの恋愛要素も気になるところです。

また異世界の人たちの目が、節穴じゃないってのも私好みの要素です。主人公は女装しているから平気だろとか、庶民の格好をすればへいきだろと外出するシーンが多数あります。ところが商人なんかには、「こんな手がきれいなのは、身分が高い」とバレバレなんです。その上で気づかない振りをしてくれるだけなんです。キャラクターが記号やお人形じゃないってのは、読んで入れ嬉しいですね。

 

2巻目の感想

2巻目は官吏としてのお仕事と、そこからくる事件解決を楽しめました。
1件ごとにみると何の問題も無い、でも些細なミスでの処罰が繰り返されている………。これは何か起きているかもしれないと調査に赴きます。主人公の官吏としての優秀さが、存分に発揮されて面白かったです。

それから新たに登場する新人官吏の露覚は、なかなか個性的で面白いですね。生真面目でいい人っぽいし、なにより本作では貴重な節穴アイの持ち主です。
主人公が男装した妃とは、彼は気づかないんだろうなぁ……。


閑話

久しぶりに中華ファンタジーを読むと、馴染み薄い役職がでてきます。自分用にwikiにある後宮の呼称をmemoしてます。

唐代の序列順

  • 四夫人  [貴妃、淑妃、徳妃、賢妃]
  • 九嬪   [昭儀、昭容、昭媛、修儀、修容、修媛、充儀、充容、充媛]
  • 二十七世婦  [婕妤、美人、才人]
  • 八十一御妻  [宝林、御女、采女]

このへんに慣れてないと宮中をメインにした中華ファンタジーは、敷居が高いかなぁと思うところです。


 

ラストで気になる引きもあって3巻目も楽しみです。
それにしても今は、主人公の黒髪はギリギリ隠せているような隠せていないようなです。こっからさらに髪が伸びていったらどうなるんですかね?

 
 

 

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