竜殺しのブリュンヒルド 【ラノベ感想】

竜殺しのブリュンヒルド
著:東崎 惟子
イラスト:あおあそ
出版:電撃文庫

  竜殺しのブリュンヒルド

アマゾンのあらすじより

愛が、二人を引き裂いた。

竜殺しの英雄、シギベルト率いるノーヴェルラント帝国軍。伝説の島「エデン」の攻略に挑む彼らは、島を護る竜の返り討ちに遭い、幾度も殲滅された。
エデンの海岸に取り残され、偶然か必然か――生きのびたシギベルトの娘ブリュンヒルド。竜は幼い彼女を救い、娘のように育てた。一人と一匹は、愛し、愛された。
しかし十三年後、シギベルトの放つ大砲は遂に竜の命を奪い、英雄の娘ブリュンヒルドをも帝国に「奪還」した。
『神の国で再会したければ、他人を憎んではならないよ。』
復讐に燃えるブリュンヒルドの胸に去来するのは、正しさと赦しを望んだ竜の教え。従うべくは、愛した人の言葉か、滾り続ける愛そのものか――。

感想

タイトルの"竜殺し"と素敵なイラスで興味を持ち、あらすじを読んだら私のドストライクな展開です。つい特装版を買いに街まで出て買ってしまいました。
そうしてでも良かったと思える素晴らしい作品でした。2022年のこのラノできっと紹介記事が入るだろうなと感じるハイクオリティです。

既に読まれた方の感想で、懐かしさを感じる作品というものがありました。たしかに同感です。
硬派なファンタジーラノベで私のような高齢者には懐かしく、若い読者の方には新鮮で鮮烈な作品に映ったんじゃないでしょうか。

 

大きな流れとしては、竜に育てられた人間の物語です。そして外からやって来た人間によって、主人公は竜と引き離される。人間の世界に身を寄せた主人公が、復讐に生きるか? それとも人間として生きていくのか? 主人公が選んだ道は??

いやがおうでも引き込まれてしまう面白さです。

270ページとやや短めな作品です。それなのに圧倒的に面白いですし、引き込まれますし、心を揺さぶられます。
実質、登場人物は5人しかいないのに物語は深いんですよ。

なにせ物語の構成が驚きの連続で、その前にあった何気ない描写が伏線となって世界観を見せてくれたり、そのシーンの内面を読者に隠すためにあえて視点をかえたシーンにしているとか、文章構成の巧みさがスゴすぎます。
内容の密度は濃いのに読みやすいすっごい作品です。

 

この作品の内容をバラしたくないのでここからは、印象的だったところをいくつかだけ。

竜と人間の越えられない壁

主人公と育ての親の竜を見ていて絶望的なまでにお互いは、別の生き物なんだというのを感じました。
姿形だけでなく内面が、ここまで異なると感じる描写に驚きです。

北欧神話などを思わせる背景

主人公の名前は、ブリュンヒルド。竜殺しの英雄は、ジークフリート家。竜殺しの切り札は、バルムンク。
ラノベ好きならきっと履修する北欧神話から名称が持ってこられてます。
その他にも地球上の歴史と重なって見えるところもあって、帝国が資源を求め年単位で遠征にでるあたりなんて、20世紀の捕鯨みたいな人間のエゴに通じるものを感じました。考察する楽しみに富んだ作品です。

インパクトあるビジュアル

表紙かっこいいですよね?
純白の竜。純白の髪をもった少女と真っ赤なドレス。
青い竜の目のと赤い人間の目。
対極的な配色で強烈な印象を与えてくれるイラストです。

 

 

ファンタジーが好きなら是非読んでみてください。
きっと記憶に残る一作になりますよ!

 

東崎 惟子
KADOKAWA
2022-06-10

 

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