ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム【ラノベ感想】

2023年1月11日

ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム
著:赤野 工作
イラスト:石黒 正数
出版:電撃の新文芸
   9784040723471

アマゾンのあらすじより

2XXX年より、ゲーム愛をこめて。
2115年4月、レトロゲームレビューサイト「ザ・ビデオ・ゲーム・ウィズ・ノーネーム」が開設した。長いゲーム史において低評価とされた数々のゲームを通じ、管理人が至るゲーマーのいやはてとは……?
――*――*――*――*――*――
小説投稿サイト「カクヨム」にて空前の人気を誇る、空想ゲームレビュー小説が単行本で登場。膨大なゲーム知識の裏打ちによって描かれる、未来世界のレトロゲームの追体験は、読者をまだ見ぬ懐かしい世界へと誘います。ゲーマーも、SF者も、Web小説好きのあなたにもオススメの、唯一無二の一冊です。

感想

ゲーム好きのゲーム好きのための作品でした。私はゲームも好きなので楽しく、そして興味深く読み切りました。本作は新文芸レーベルから出ています。でもラノベではありません。レトロゲームのレビューとか、思い出話についてのブログ記事をまとめた形式になっています。かなり異色な作品です。

内容はブログ記事を、まんままとめたような本と同じ体裁になっています。ブログやテキストサイト全盛期を知っている世代の読者なら、懐かしい気持ちになるんじゃないかと思います。そしてゲームレビュー記事も非常に凝っていて、妄想のゲームに対しレトロゲー専門誌の特集ページばりに熱い解説になっています。
記事が書かれたのは2115年で年老いたゲームマニアが、思い出たっぷり語りながらレトロゲーについて語っている内容です。

存在しないゲームのレビューなのでゲーム内の画像は一切ありません。画像はなくたってどんなゲームかイメージできたり、遊んでみたいと感じさせる筆力のある作品です。

 

出てくるゲームはコンタクトレンズを装着して遊ぶARゲームとか、脳に直接データを流し込むゲームとかです。SF的な切り口がたっぷりと含まれていて、SF好きにもささりそうな要素があります。そして出てくるゲームは低評価になったいわく付きなゲームばかりで、その理由を記事内で語っています。

あとゲームへの語り口は、高齢ゲーマーから若い読者への思い出語りな口調になっています。このあたり好みが分かれるところかも? 私は若くないので主人公の語る言葉に共感するところがちょいちょい出てきました。「世のゲームを遊び尽くすのに人生は短すぎる」って趣旨の発言なんて共感です。積本がたくさんあるラノベ読みの方もそう感じませんかね


ゲームへのSF的なアイデアが秀逸なので、いくつかを紹介です。

  • ゲームの遊び相手用に開発された女性型アンドロイド
  • 細菌を遺伝子操作して陣取り合戦や、対抗戦を競わせるゲーム
  • ゲーム中毒者の構成を目的とした、遊べば遊ぶ毎に演出がなってシンプルになっていくゲーム
  • 中国全土を巻き込んだGPSによる位置情報ゲーム

などなどアイデア豊富でどのお話も面白さたっぷりでした。読者層がかなり限られるのでオススメのタグは、あえてつけていません。カクヨムで数話読んで自身に合うか確認してから読むと良いかと思います。もしあなたがゲーム好きでかつover30なら、きっと楽しめると思います。であれば読み応え抜群な作品なのでオススメします。
作者のゲームへの強い愛を感じました。

 
 
 

同レーベルの感想も読んでみる

電撃の新文芸の感想

 

Visited 12 times, 1 visit(s) today