夢の国から目覚めても 【ラノベ感想】

2022年12月18日

夢の国から目覚めても
著:宮田 眞砂
イラスト:切符
出版:星海社FICTIONS

yumenokunikara

アマゾンのあらすじより

百合同人漫画の執筆に没頭する有希は、サークル「ゆゆゆり」の相方・由香に「好き」という言葉を伝えられずにいた。
即売会で初めて出会った時、由香の傍らには彼氏がいた。
やがて彼氏とは別れたけれど、由香がなぜ百合を描くのか、この気持ちを打ち明けても彼女は突き放さないでくれるのか、有希にはわからないままだった。

レズビアンの有希とヘテロセクシュアルの由香。
有希がその想いを隠すことで成立した、脆い関係の行き先はーーーー。

百合小説の、百合小説による、百合小説のための新たなる金字塔!

感想

美しくも辛い。楽しくも悲しい。ガチガチの百合小説でした。大変に素晴らしかったです。

主役となるのは、由香と有希の2人。表紙のパンツスーツ姿で凜々しい感じなのが有希です。子供の頃から周りとなんか違うと感じてきていたガチ百合の人です。
もう1人のドレスを着たフェミニンな女の子は有希です。百合作品が大好きで同人活動もしていますが、彼氏持ちです。じゃない人ですね。

そんな百合の人とじゃない人が、タッグを組んで百合同人活動する……というお話です。

序盤は女の子同士で萌える百合作品について語りあう、「きましたわー」とか評されるような様子です。これはこれで可愛くて楽しいですね。
それが少し進むと一気に踏み込んできます。「きましたわー」とか軽々しく言えないガチな方の百合展開に突っ込んでいきます。

由香からしてみれば、有希のことは好き。でも現実なら好きとかそう告白できるものじゃない。
有希からしてみれば、由香のことは好き。でも「由香が有希に抱く好き」とはちょっと違う。

この内面の繊細な描写が最高です。可愛くて和む百合作品も好きですが、こういうガチな百合作品も最高ですね
リアルだったら当然にある世間体とか制度といったハードルが、2人の周囲にあるからこそ繋がった絆が美しく見えます。
女性らしさを必要以上に求める現実なんかも、絡めてきていて素敵なストーリーに仕上がっています。

 

後半での同人活動を通じて由香と有希の世界が、2人の中だけじゃなくて広がっていったところも好きなところです。

とても良い作品でした。素晴らしい作品です。
ただガチ百合なので読み手は、もしかしたら限られてしまうかも……
埋もれさせてしまうには、とても勿体ない作品です。面白かったです。

 

 

 

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