アナベル・クレセントムーン【ラノベ感想】

アナベル・クレセントムーン 呪痕の美姫
著:中井 紀夫
イラスト:いのまた むつみ
出版:電撃文庫

  アナベル・クレセントムーン

アマゾン「BOOK」データベースのあらすじより

実り豊かで平和な国スカーレットロック。王女アナベル・クレセントムーンは、14歳になろうとしていた。一方、城下に夜な夜な現れる女剣士がいた。名を、マリー・ルナ。彼女に興味を抱いたちんぴら魔法使いのレオンは、接触を図るが、すげなくあしらわれる。その後、王女アナベルの誕生日を祝う宴の最中に謀反の炎が上がる。城の親衛隊隊長ペイルスキンの仕業であった。アナベルは逃げる途中、ペイルスキンの放った邪悪な魔法により、額に黒蜥蜴の痣ができ、故郷から離れれば離れるほど病に冒される体となる。逃亡の旅に出るアナベルだが、呪を解き、ペイルスキンを倒すことができるのだろうか?中井紀夫・いのまたむつみのコンビが放つ渾身の正統派ファンタジー。

感想

令和の時代に1999年の電撃文庫作品を紹介です。
あらすじに「正統派ファンタジー」とあります。どうも1999年の刊行時でも電撃文庫の中では、ファンタジー小説路線の作品だったようです。
著者の中井先生は、バリバリの作家さんです。読んで納得の本格派でした。

 

物語はちんぴら魔法使いのシーンから始まります。
彼の前に凄腕の美少女剣士が現れ、声をかけるもそでにされ、少女の剣技の映えに魅了されたところでシーンが変わります。

そして次のシーンで美少女剣士の正体は、王女アナベル・クレセントムーンと明らかになります。
その彼女はクーデターの兆候を捕らえて未然に防ごうとするも、あえなく失敗。
難を逃れての逃避行すれば、黒蜥蜴のアザが体に浮き出る呪いを受け、徐々に窮地に追い込まれる……という展開です。

 

とても古典的なファンタジー小説を踏襲しています。
ハヤカワや創元推理の翻訳ファンタジー小説とか、児童向けファンタジーのような雰囲気を感じました。
それでいてラノベらしさもあって、主人公のアナベルは美少女剣士と読みやすい文章と痛快なストーリーになっています。

 

剣と魔法に隠者の魔法使い、そしてドラゴンとファンタジーの人気どころはオールスターで登場します。
あと主人公を支える旅の一行が、石工の親方に老人魔法使いとか男性だらけなのは、美少女だらけのラノベとちょっと違う点ですかね。

 

個人的な印象としてファンタジーとして映えるシーン、盛り上がるシーンを各章としてピックアップし面白さを前面に押し出した作品かなぁと感じました。
最近の展開とか描写の丁寧なラノベと比較すると、シーン展開とか前後の繋げが急だなぁと感じるところも多々見受けられます。ただそれは意図的にそうしているのでしょうね。
というのも刊行時でのテレビドラマでも盛り上がるシーンを主として、テンポとスピード感を重視。間は強引に繋ぐのがあたりまえだった気がします。

市政の暮らしや野営時の描写とか魔法の描き方を読んでいると、あえてこういう書き方にしているんだなぁと感じ取れました。

 

また、いのまたむつみさんのイラストも、ファンタジー作品の雰囲気にピッタリです。最近だと髪の毛1本まで動きを感じるような、美麗なイラストってあまり見かけなくなったので、懐かしさも加わって良かったです

 

20年以上前で現代のラノベとは、またちがった楽しさのある作品でした。

 

アナベル・クレセントムーン―呪痕の美姫 (電撃文庫)
中井 紀夫
メディアワークス
1999-09T

 

 

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Posted by kyoikyoi