左遷錬金術師の辺境暮らし【ラノベ感想】

左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました
著:出雲大吉
イラスト:みきさい
出版:カドカワBOOKS

  demotionalchemist

アマゾンのあらすじより

出世は、もうやめた。元ブラック勤務の天才錬金術師、辺境でスローライフ!

出世コースを歩んでいたエリート錬金術師のジークは、
性格の悪さが原因で辺境へ左遷されてしまう。
しかも、左遷先は未熟な錬金術師が2人だけ、
仕事もろくにない支部だった。

だが、ジークは天才だ。
軍からの嫌がらせも軽く解決し、
魔剣製作依頼では国一番のものを作るなど、
規格外の活躍をしてしまう。
猫と”性格改善会議”をしないと――揉めるけど。

素直で前向きな弟子たちに、可愛い猫の使い魔もいる。
辺境でのんびりと支部を再建していくのも……悪くないか。

感想

つぎラノ、このラノの両方にランキングしていて、気になった作品でした。

私は『引き籠り錬金術師は引き籠れない』みたいなコミュ障な錬金術師が、温かい人たちに囲まれて変わろうと努力していくお話しがすきでして、本作はその男性主人公版でした。

主人公が天才錬金術師だけど、コミュ障なので対人能力がゼロなのも同じです。ただ大きな違いは口下手じゃなく舌禍すぎるところです。
口をひらけば上から目線、「はあ?なんでそんなのもわからないの」 そんなんじゃ誰も寄りついてきませんし、嫌われて避けられるのも当然ってものです。

加えて自分以外には興味なし、実習や職場まで同じになったクラスメートの顔と名前すら覚えないのでは、悲しきモンスターとしかいいようがありませんよ。

 

そんな問題児なので受けいれ先もなく、辺境に左遷されたことからようやくダメだと気づき、対人能力を改めようと努力するお話しです。

とても面白かったです。

 

 

主人公のジークは賢くて天才です。だから人に優しくするんだと反省してから、かなり言動が普通になります。そのお陰でジークの過去を知らない人たちからは、「ちょっとクセがあるよねえ、でも天才だしね」と温かく受け入れてもらえたんです。
だから王都の彼を知っているひとにとっては、別人?と思うかもしれませんね。

また1巻目のジークの言動をみるに周囲に悪い影響をあたえてしまうだろうと、計算した上でやわらかい言動をとっています。本心は相手の行動を全く理解できていないフシが多々あります。文字通り人の心ないのか状態です。

そんな彼が本当に人間の温かさや優しさを理解できるときがくるのか、楽しみでなりませんね。

 

ジークを応援したくなる背景として、左遷先には優しい人たちであふれていたことも大きいです。ジークを同僚・錬金術の師匠だと受けいれてくれて、だからジークも人を育て誰かを助けようと変わっていくんです。
なんでも自分でやった方が完璧だし早いと、誰にも頼らなかった王都時代とは見事な変わりようですよ。

これはエーリカの影響が大きいんでしょうね。彼女のキャラ紹介に「浄化力MAXの聖人属性」とありましたが、あまりにも聖人すぎます。冷笑的なジークの意見とは、180度真逆で善性の塊なキャラです。他作品に出てくる聖女様よりよっぽど聖人してます。

癒やされる尊い存在です。聖人すぎて騙されてしまわないか心配になるほどです。

それからジークが名前すら覚えなかったのに、見送りまでしてくれた同僚のアデーレだって聖人属性が高いんですよね。そんな浄化力が高いキャラたちに囲まれて、ジークには早く更生してもらいたいものです。

 

 

そうそう前のところでジークは自分意外に興味なし、と書いちゃいましたが例外もありました。

それが使い魔のヘレンです。しゃべるクロネコでジークの生活はヘレン中心にまわっています。
もうクロネコのヘレンが一緒にいてくれたら、一生一人でも十分だぐらいにジークは入れ込んでます。

それに対しヘレンは、自分が原因でご主人様に悪影響が!と、ジークを更生させようと苦言を述べます。俺様気質なジークでもヘレンがダメっていうと、素直にダメだと反省するんです。
魔術師と使い魔のすごくいい関係性だなと思います。

 

失敗を反省し、やりなおしスローライフの暖かみと天才によるほどよい無双の爽快感、そして何よりも浄化力MAXで優しいキャラに恵まれたお話しで面白かったです。やり直しものが好きな方へオススメします。

 

同レーベルの感想も読んでみる

カドカワBOOKSの感想

 

 

Visited 2 times, 1 visit(s) today