異世界再建計画【ラノベ感想】

2023年1月10日

異世界再建計画 転生勇者の後始末
著:南野雪花
イラスト:Kotakan
出版:レジェンドノベルズ
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アマゾンのあらすじより

ごくありふれた人生をおくってきたエイジ。公務員として役所に勤務する日々を送り、30歳を迎えて結婚を控えたある日突然、異世界へ転移する。その世界はやはり転生してきた勇者によって平和を取り戻していた後だった。ところが、転生した勇者が転生したことによって、世界は別の形で新たな脅威を迎えつつあった。平凡な公務員だった男に与えられた新たな「仕事」。それは、勇者によって崩壊しつつある異世界の「再建」だった―。

感想

異世界転生作品への逆張りをしてきて気になったので読んでみました。ところが中身は知識チートな異世界なろう作品でした。時々おっと期待値を上げる要素もあります。ただ作中のあっちこっちで見せてくる異世界チート逆張りとかみ合いあっていません。
 
本作は転生勇者が異世界チートしたせいで、その世界がおかしくなってしまっているため、バランスを保つのに転生した主人公が世直しをする物語です。だから主人公はチート能力なし、ごく平凡な公務員のまま異世界に立ちます。The普通人です。さすがにそれだと異世界で生きていけないので、神様に異世界で崇められる女性のハミット(仙人)を相方につけてもらえます。ところが外見は2足歩行するドラゴンなんですよ……。1巻目表紙みたいな感じです。異世界ハーレムなんてテンプレはさせないぞって作者の意思を感じました。
 
 
でどうやって異世界テンプレを用いないで世直しのするのかなって、期待値を上げていたらタダの前世知識チートでしたよ!! 世直しの解決根拠は前世の知識で、「○○だ!」なんです。しかも一般常識ではありえない中身をあたりまえに独白してさぁ。なんで地球で○○年に死者○○人でたとか、代謝の仕組みとか科学的に理解しているんですか? 平凡な公務員って設定はどこですか?? チート級に優秀な相方を「大賢者」にしなかったのは、良かったとしても作品テーマが、さっぱり分からなくなりました。
 
あと読んでいて苦痛なのが、中途半端な豆知識がチョイチョイ差し込まれるところです。テンポを崩しますし、異世界人や転生勇者に対して上から目線入ってきます。相手が愚かだとか主人公は凄いと共感できない時点で上から目線は読んでいて不快です。
過去に感想を書いた他作品にも「女子高生がそんな知識もっているわけないだろ?」的なのがありましたが、あっちはTVやwikiじゃなくて業界向けの入門書読んだでしょ?の深さでぶっ込んできてますよ。そのあり得ない感が、funnyの意味での面白さに繋がってるんです。
でも本作は浅い知識を見せつけられるだけです。だからそれは良いから本筋を盛り上げろ、との思いが強くなるばかりでした。
 

2巻目の感想

冒険要素が強くなり展開がかわる反面、味方強キャラが無双するテンプレストーリーが基本になってます。あとは時々テンプレ逆張り要素があって、定期的に豆知識披露があるというところでしょうか。個性的であってweb小説ならアリアリだと思いますよ。でも商業レベルとしてどうかなぁと思います。レジェンドノベルスの編集ってこれをOKとするのですね。違った意味でレジェンドノベルに興味湧きました。

 
 
相方のドラゴンとのかけ合いがテンポいいところとか、1巻目ラストの意表を突かれる展開とか、2巻目での想像もつかない導入とか、これは凄いのを読ませてくれそうと期待を抱く要素もあってダメとまでは言いませんけどねぇ……。
 
非常に私好みで良いなぁと感じた箇所もありました。Kotakanさんのカバーイラストは異世界感やキャラクターのイメージ、あふれる神秘性を伝えてくれて素晴らしいです。ファンタジー好きならカバーは必見です。
 
 
 
 
 
 
 

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