男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)【ラノベ感想】

2023年8月15日

男女の友情は成立する?(いや、しないっ!!)
著:七菜 なな
イラスト:Parum
出版:電撃文庫
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アマゾンのあらすじより

とある田舎の中学校で、ある男女が永遠の友情を誓い合った。1つの夢に向かい運命共同体となった二人の仲は――特に進展しないまま2年の歳月が過ぎる……!
未だに初恋がこない陽キャ女子・犬塚日葵と、花を愛する植物男子・夏目悠宇は、高校2年生になっても変わらず、二人だけの園芸部で平和に親友やっていた。
「悠宇が結婚できなかったら、アタシが責任取ってやんなきゃねー」「日葵がそれ口走ってから、おまえの兄さんが『義弟くん!』って呼んできて辛いんだけど」
ところが、悠宇が過去の初恋相手と再会したことで、突如二人の歯車が狂い出す!? 果たして恋を知った日葵は「理想の友だち」脱却なるか?

感想

めっちゃくちゃに面白いラブコメです。シンプルイズベスト、王道な恋愛作品の良さがとにかくグッっとくる作品です。とにかくオススメします。
タイトルの「男女の友情」は、ラノベでもドラマでも定期的に見かける大人気のテーマですよね。本作は真っ正面から「男女の友情」を盛り込んだ展開となっていて、悪友との気軽で気楽な付き合いから意識してしまって、ただの友人の関係じゃなくなっていく様子が秀逸な描写で魅せてくれます。

メインキャラは、陽キャ女子・犬塚日葵(表紙の美少女。コミュ力SS)と花を愛する植物男子・夏目悠宇の2人です。中学からの腐れ縁で悠宇のアクセ作りを日葵がサポートするって関係からスタートです。馬鹿話をしてふざけあって、恋愛抜きで放課後に遊ぶ悪友との付き合いって日々です。それが高校になっていくつかの切っ掛けから親友としての特別でなく、別の特別に成りたいって変わっていく様子が最高ですね。

1巻目では日葵と悠宇との友情の間に、榎本凜音(クール系黒髪の美少女。意外性SS)が表れて、親友的な日葵と悠宇の距離感が変化していくって物語の種まき的なパートになっています。その間、日葵は悠宇を誘ってからかったりの姿が、悠宇をいじる特別感を味わっているのか、それとも本心が漏れ出ているのかとどちらとも見えてやっぱり最高です。

読んだ感想的には1巻目はラブコメってよりは、恋愛少女漫画的な雰囲気を強目に感じました。ラノベ的にはイチャコラや、からかいのシーンが多いのかな?と思っていたので少し意外でした。恋愛ものっぽい展開に感じたせいなのか、私は日葵・悠宇・凜音、3人それぞれの感情移入してしまい、ダブルヒロインの日葵と結ばれて欲しい、でも凜音とも結ばれて欲しいとどちらの未来も読んでみてみたくなりました。ラブコメを少し押さえて作品の世界観に引き込んでくる展開に見事につかまれてしまいました。

 

2巻目の感想

2巻目からはラブコメに全力投球の展開になっています。相手の気持ちはまだ分からないながらも、3人とも自分の気持ちに気がついてダブルヒロインの協力やら駆け引きやら、末永く爆発しろ的な展開やらニヤニヤ必死です。コメディ描写に長けた七菜さんの作品ならではってラブコメが光ります。とにかく面白いです。家での勉強会のあたりなんて必見です。

 

あと個人的に凄く好きな箇所として、周囲の大人が意外としっかりしていて子どもたちのことをしっかり見ていて支えてくれているところです。大人も出てくるおかげでストーリーが引き締まって、将来の悩みなんかが生々しく感じられました。1巻目にいる古文の先生なんてきっと良い先生なんだろうなぁと思います。
他にも作中に出てくる商品名、店舗名やTV番組などがリアルな名称ってのも面白いところです。イオンとか実在する名前が学園ストーリーに出てくるので没入感が強まります。攻めた取り組みだなぁと感じています。

 

3巻目の感想

日葵と悠宇の関係も1巻目2巻目の出来事を通じて、ただの親友・腐れ縁からバリバリに意識しあう関係にステップアップしています。そのせいで特に日葵の面倒くささ、変テコムーブが目立つ展開です。日葵は自分に素直になれるかが気になる展開です。
あと日葵の行動が変テコなので周囲の大人にいままで以上にキツく締められたりもします。日葵と悠宇を本気で心配する周囲の人々がいるってのも良いですね。

 

4巻目の感想

上下巻の上です。一言であらわしたら「ずっと凜音のターン!」です。凜音からストレートで積極的なアプローチがあって、読んだら凜音に幸せになって欲しいと思ってしまうでしょうね。
日葵はウザかわ属性です。単純なヒロイン争いとなると分が悪いとこもあるかなと感じてます。下巻での日葵の巻き返しがどうなるか、悠宇はどんな答えを出すのかが楽しみです。
作中にあった猫のシーンは・・・あれは破壊力たかかったです。

 

5巻目の感想

下巻は日葵のターンかと思いきや「下巻も凜音のターン!」でした。この展開には、ビックリです。読めば読むほど親友でガマンしようとする凜音の気の毒さに気づかされますね。彼女の姉が思い出で終わらせてやろうとする気持ちに私は、なんか共感してしまいました。
悠宇みたいな夢を追いかける相手を恋人にしようとすると苦労しそうです。たっぷりと凜音のターンを楽しませてもらいました。時間は日葵に親友とのデートがバレる回ですね。続きが気になります。

 

6巻目の感想

2冊分の充電期間をおいて「日葵のターン」です。まさか1巻目の悪友ムーブをする日葵の様子から、こんな「♥♥」の乱発するほどデッレデレな日葵を見られる時が来るとは思いませんでした。
クラスメートの意見と私も同様ですよ。いやぁとんだバカップルですね。

これで悠宇と日葵がくっついたら完結してしまうので、6巻目でもやっぱり波乱はあります。
日葵と凜音の本音が明らかになって、悠宇はどう2人に向き合うのでしょうね

 

7巻目・8巻目の感想

文化祭でのアクセ販売です。1日目を日葵、2日目を凜音が教室をプロデュースして、果たして黒字化できるのか?

恋人の座を手にしたわがままな日葵にとって、悠宇の夢を支えるパートナーの座も手放したくないでしょうね。でもライバルの凜音は、家業の手伝いで経営を肌感覚で知っていますし、初登場の押しかけ弟子もセンスはかなりのもの。モデル以外の方法で支えるのはどうにも分が悪そうですね。

変なところで素直になれない日葵と悠宇の良くないとこが、見事に悪い方向へハマってしまった8巻ラスト。なかなかの衝撃で9巻目も楽しみです。

 

人気作になるのも当然な面白さでした。とても良いのでラブコメが苦手な方も食わず嫌いせずに読んでみてください。それぐらいオススメできます。
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