老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます 【ラノベ感想】

2022年12月18日

老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます
著:FUNA
イラスト:東西(
出版:Kラノベブックス

老後に備えて異世界で8万枚の金貨を貯めます

アマゾンのあらすじより

光波は、ある日崖から転落し中世ヨーロッパ程度の文明レベルである異世界へと転移してしまう。しかし、狼との死闘を経て地球との行き来ができることを知った光波は、2つの世界を行き来して生きることを決意する。その理由は老後の安泰のため!老後資金を計算すると、必要な資金は金貨8万枚! 異世界の文明が歪まない程度に(でも自分が楽できるなら自重はしない)、いろいろなものを持ち込んでお金儲けにまい進します!滾り続ける愛そのものか――。

感想

異世界転生したけど自由に日本へ帰ってこられる能力に目覚めてチート始まるって1巻目です。
セルフボケ&ツッコミ多めで読みやすい作品です。道理とか設定なんて忘れてオレツエエェェを楽しみましょうってコンセプトが分かりやすいです。そういうのが好きな方向けじゃないかと思います。

 

なんといっても異世界での目的が、日本での引退資金を稼ぐというは、新鮮で目を引きました。異世界で成り上がりとかスローライフとかじゃないんです。実質は成り上がりだったとしても日本にかえるって目標を持っているのが面白かったです。

主人公はミツハ、18才。低身長&童顔で小中学生に間違えられる容姿です。
イラストも可愛い感じです。こんな可愛い子なのに異世界でのやらかしのエグさが、ギャップとなって楽しいです。

異世界の対抗勢力への恫喝、日本からクロスボウや銃器を持ち込んでの物理無双、太陽光発電を持ち込んでの文化無双とやりたい放題です。異世界に知識を持ち込むんじゃなくて現物を持ち込めてしまうんですよ。見事なまでのはっちゃけぶりです。

異世界へ現代の道具を持ち込んでやりたい放題できたら?って妄想を楽しめる作品です。主人公がトントン拍子で成り上がっていく作品を読みたい方に合うんじゃないかと思います。

 

2巻目の感想

異世界で日本のものを売りさばいて盗賊やら何やらをプチ倒して、ついに2巻目で領主様です。日本の調味料や調理をもちこんでスゲー、自動車スゲーーとお馴染みの成り上がりです。
これまでは主人公が現地人に指示をしたら「ハイできました」でした。ところがただ領主になって農業なんかの産業育成は、物を持ち込んだだけで「ハイできました」とはならないところ。

そこをこれまでのご都合展開で押し通さずに違う方法を見せてくれました。それが異世界ブログを立ち上げです。
ネットで公開して識者にノウハウを教えてもらう作戦です。面白いアイデアですよね。
異世界領地開拓がどうなるか楽しみです。

 

3巻目の感想

前半はお馴染みナーロッパ展開です。web発の異世界作品をいくつも読んでいれば見たことある展開です。見たことあるようなことに主人公が手を出して、見たことあるような展開で進みます。
本作のオリジナリティを感じるのは、後半の戦争シーンです。相手の方が強いのは、物語上当然として対立の構図がとても面白いです。リアル地球の歴史を知っていたらどう抗うのかワクワクする展開です。

だったんですよねぇ……
面白い要素を感じ取ってしまったんですけどねぇ……

主人公無双で危機は雑に取り払われます。主人公接待ここに極まれりです。
楽しくなるの期待したけど残念でした。うーん。

4巻目の感想

3巻目で戦争に巻き込まれたので、王国と周辺国を巻き込んでの外交がスタートする4巻目です。
いくらなんでも主人公の日本に自由に戻れる能力が、拡大解釈されすぎてます。何でもありの能力利用が、だいぶ目立つように感じます。

物語なのでストーリー上、都合が良い展開は当然だと思います。だとしても展開による主人公接待は目に余ります。私の好みとは、だいぶ離れてきた印象です。

あと展開される知識の偏りも厳しいですね。
銃器とかアマチュア無線とかおそらく作者が詳しいであろうものは、ウンチクふくめて饒舌に語られます。その分量に比べて知らないんだろうな部分は、徹底的に省力化されてます。指示をしたら「ハイできました」です。私の好みとしては、ここまで両極端だと「書きたいものだけを書いている」という印象を受けてしまい厳しいです。

ちなみに本作は主人公スゲーをするために異世界人のIQを下げるという定番の手法は、とっていません。むしろ優秀です。優秀すぎます。現代の技術や道具を短期間でマスターしてしまいます。
そういうあたりは良いなと思って読み続けていました。

例えば1巻目にある描写からです。日本で購入した太陽光発電設備(盤含む)をモノだけ異世界に送って、設置方法を異世界人に伝えて設置できたです。「図面と説明書片手に指示したらできた。職人恐るべし」だそうです。

メチャクチャに優秀ですね。現地据え付けとかリアル日本でも苦労しているというのに。初めて見た原理も分からないものでコレですからね。農業・製造とかは、まぁだいたいこんなガバガバな感じです。
どうせなら全部ガバで通してくれたらスッキリして読みやすかったのにと感じます。

 

テンプレ展開も目立つようになってきたので続きも買っていますが、感想としてはここまでです。
私の好みとは残念ながら合いませんでした。

 



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