始まりの魔法使い【ラノベ感想】

2023年1月10日

始まりの魔法使い
著:石之宮 カント
イラスト:ファルまろ
出版:富士見ファンタジア文庫
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アマゾンのあらすじより

“私”が竜として転生を果たしたのは、文化も言葉もまだない原始時代だった――。これは、竜の魔法使い“センセイ”とエルフの少女が、魔法を、国を、歴史さえをも一から作り上げる、ファンタジークロニクル。

感想

ファンタジーの名作と評判高い作品でまさにそのとおりの面白さでした。こんな美しく重厚なファンタジーに巡り会えてラノベを読んでいて良かったと実感しています。良かったー。オススメしてくださったみなさまに感謝です。

本作は異世界転生です。現代で魔法や神秘について生涯をかけて追い求めていた男性が主人公です。結局世の中に不思議なんてなく天寿を全うしたところ、強力な力を持つ竜へ転生してしまい異世界で人々との通じていくストーリーです。そして1巻目の冒頭は現代の地球のような豊かな世界で、美少女に囲まれた生活が描かれています。最初に現代(竜歴6050年)を持ってきてその後、竜歴0年から物語がスタートしていくって構成ですね。何千年スパンの年代記となっています。

 

ファンタジーらしい練られた設定がモリモリで伝えたい良いところがたくさんあります。まず魔法とはなにかエルフや人魚の文化など具体的な設定があって、作品を読んでいての没入感がスゴいです。物語のキーとなる魔法にいたっては、魔法の発動・詠唱・魔方陣・魔力などなどの設定は強い拘りを感じました。ファンタジーだと魔法の発動に詠唱や手の振りが"こういう方法"と教本的な書かれ方をするところ、本作だと詠唱をする意味や手の形1つをとっても意味を持たせています。それが主人公の前世オカルト知識とあわさって説得力になっています。まさに魔法をこの世に生み出した「はじまりの魔法使い」です。この魔法が100年、1000年と時間をかけて発展していくんです。

そして各巻で登場するキャラは多彩で魅力的な面々です。特にスゴいと感じたのが、100年、1000年といったスパンの物語なので人間なんかはあっという間に老いて亡くなってしまうのを当たり前なこととして書いているところです。定命の存在の儚さと瞬時のきらめきを竜やエルフ目線で語られるのでたまりませんでした。出会いと別れが必至の作品なので各巻で最低1カ所以上の泣かせ箇所もあります。日常で楽しませかとおもったら急に泣かせに来て、それで最後はそういう形もありかなと温かい気持ちにさせてくれる濃厚な作品です。

 

ファンタジー好きならきっと満足できると思います。オススメの作品です。いちいおう打ち切りの扱いとなりますが、5巻目で一区切りをつける形をとってくれているので不完全燃焼感はそんなにないと思います。ですので是非手に取ってみてください。

 
 
 
 

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