鉄血の海兵令嬢【ラノベ感想】
アマゾンのあらすじより
――異世界よ、これが合衆国海兵隊だ。「お嬢様! たった今この時より、貴様はこの地上で最下等の生物に格下げとなる!」ヴィクラント王国第二王子ウィリアムから婚約破棄された公爵家令嬢アリシアに、罵声が浴びせられる。その声の主は従者アベル、正確には彼と同化したアメリカ海兵隊カイル・デヴィッドソン少佐のものだった!婚約破棄に絶望したアリシアが破滅を迎える前に、“クソッタレの殺戮兵器”へと仕立てるため新兵訓練を施す。並み居る政敵どもをなぎ倒し、国家に平和と秩序をもたらすために!!
感想
タイトルにある海兵とカバーイラストで購入を決断しました。ミリタリなのかな?と想像したらこぼれるほどのアメリカ海兵隊スピリットでした。ここまで徹底してくるとは思いませんでしたね。海兵が本体で令嬢は、仮の姿となるぐらい海兵隊ネタで徹底しています。
私は源文先生のマンガで「傾注」って単語を覚えたくらいミリタリ好きです。ですから本作はばっちり堪能しました。
まず令嬢と海兵隊の繋がりに説明しないとなりません。主人公のアベルは、アメリカ海兵隊の少佐です。でもって姪と共通の会話のために乙女ゲーをやりこんでいたら、その世界に転生。気づいたら王子から婚約破棄された令嬢の従者になっていたとお馴染みの導入です。とここまでは。
破滅の未来を回避するために令嬢を教え導くあたりから常識がぶっ壊れます。令嬢にアメリカ海兵隊式の新兵教育をたたき込んでガッチガチに焼きを入れちゃうんですわ。まさに映画フルメタルジャケットのアレそのまんまです。映画の鬼軍曹シーンは、本作でもパロディとして取り込まれています。
ミリタリ描写は相当に本格的です。フィールドマニュアルを参考にしたのかなぁと感じるような訓練シーンは、とにかく印象に残っています。この訓練シーンが前半1/3ぐらいで続きは、令嬢を婚約破棄した王子一派に立ち向かう流れです。
海兵教育でパリパリになった令嬢は、王子そのものはアホだとあんまり相手にしてないのかもしれませんね。それでも降りかかる火の粉なら払うのに躊躇しないのスタンスなのは明らかです。これから王子一派とど決着がつくか気になります。ちなみに1巻目で降りかかった火の粉は、瞬殺で振り払われました。
ミリタリ描写につい目がいってしまいましたが、令嬢が海兵隊スピリットを持っているってのも先が読めずに面白い要素です。
本作は予備知識となるミリタリ要素をどれだけもっているかで感想が大分変わりそうな気がします。私は多少ネタが分かったので面白かったです。(カバーイラストの銃を見間違うぐらいの知識程度だったんですけど)
掲載画像を見て頂けばミリタリ好きへは、これだけで通じるかと思います。版元.comに口絵もあったのでいっしょに載せてます。
ヲさかなさんの緻密なカバーイラストが素晴らしいですね。作中イラストはマンガ調でこちらも素晴らしいです。格闘シーンの迫力ある絵はホントよかったです。
2巻目の感想
まさかの2巻目です。
面白かったですよ。でもミリタリ成分が強い作品は、続かないことが多くて嬉しいサプライズでした。
2巻目は派手派手です。異世界の勢力を現代火力で思いっきりなぎ倒します。
ある意味、異世界に現代銃器を持ち込む作品に期待する展開です。ミリ成分がとても強くてこういうのが、まさに好きな人向けの中身かなと思います。
新たに登場する兵器を書いてしまうとHMMWV、L-ATV、M27IAR……
出てくるものは、どれもガチです。一般受けを度外視したミリオタ向け色が大変に強まってます。まぁ2巻目が出るように応援したご褒美だと受け取ればいいのかな?
さて今回もアリシアのチーム内の会話が、軽口飛び交ういかにも洋画っぽいテンポのよさでした。エイドリアンの普段のふざけた感じと、マジな時の落差が良かったですねぇ。痛い目にあっても懲りないヨハン新兵もいいキャラです。
そして圧倒的なインパクトだったキャラが、アリシアのママです。今のアリシアをそのまま育ったらこんな感じ?と作中でありましたけど、こんな濃いキャラに……なるの? なんともな女傑でした。
戦場のイラストがスゴかったんで見てみてください。
あとつい忘れてしまってましたけど本作は、令嬢ものだったんですよね。2巻目でまともな王子が出てきて思いださせてくれました。令嬢ものなら欠かせない恋愛面も動いて楽しかったです。
カバーイラストをみてミリを感じる方にオススメです。ゲートとか幼女戦記を読んでいるなら安心して海兵令嬢に挑んでください。あなたの期待を裏切りませんよ。
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