由比ガ浜機械修理相談所【ライト文芸感想】
由比ガ浜機械修理相談所
著:斉藤 すず
イラスト:ryuga.
出版:電撃の新文芸
アマゾンのあらすじより
ただ、君に幸せになってほしい。――たとえ僕が、隣にいられなくても。
皆が選んだNo.1! 電撃大賞×カクヨム読者投票で圧倒的支持を得た感動作、遂に刊行!!
第25回電撃小説大賞《読者賞》受賞作2023年の夏。僕は世間から逃げるように、鎌倉に「由比ガ浜機械修理相談所」を開いた。ほとんど客の来ない相談所。そこへある日、奇妙な男・戸川が訪れる。
彼とともに現れた女性、それは人に近づきすぎた機械「TOWA」だった。戸川に手放され、居場所を失った彼女・結のため、僕は新たなオーナーを探し始める。
突然はじまった共同生活。二人の時間を過ごすなかで、僕たちはお互いを大切に想うようになっていくが――。
感想
ネタバレを避けると具体的な良さを全く書けませんが、物語は人に近づきすぎた機械「TOWA」をどう扱うかが重要になります。TOWAはモノなのか?それとも人間同様に感情のある存在なのか? ロボットが人間近づいていくと避けられないテーマが、根底にあるように感じました。
定期的に挿入される主人公の回想を追っていくと、主人公が抱いているTOWAへの複雑な思いが分かってきます。その思いが共同生活する結とどこかで交わるとき、そこがとても泣ける私のベストシーンです。まさにこれまでに繰り広げられたシーンや伏線が、パズルのピースがカチっとあわさった瞬間のようでした。
作中のイラストが片面でなく、あえてページ見開きのイラストとしているのも美しいシーンを伝えるのに一役買っています。
恋愛系の物語はあまり好んで読まない私でも、この作品はグッときました。
広くオススメします。あちこちで好評なのが納得です。
できることならば2時間長編の映像作品となって、もっと多くの人に知ってもらいたい作品です。
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