私と陛下の後宮生存戦略【ライト文芸感想】
私と陛下の後宮生存戦略 ―不幸な妃は巻き戻れない―
著:かざなみ
イラスト:ゆき哉
出版:富士見L文庫
アマゾンのあらすじより
すぐ死ぬ少女と不憫な最強陛下の、【死に戻り禁止】の後宮攻略ストーリー!
◇◇◇あらすじ◇◇◇
若き賢帝の唯一の妃『最愛』を決めるため、後宮に集められた妃達。
その中で最も格下の、五十番目の妃ソーニャには秘密があった。
それは【死に繋がる不幸を招く呪い】と【死ぬと時間が戻る祝福】を持つこと。
玉の輿を狙う妃達により魔境と化した後宮で、彼女は毎日『死に戻り』続けていたのだ。
(早く『最愛』を決めてくれないかな。そして家に帰りたい)
そう願うソーニャだったが――「貴様を私の『最愛』にする!」
皇帝エルクウェッドが指名したのはソーニャ。
その上『最愛』のはずなのに陛下は大層お怒りのご様子で……!?◇◇◇登場人物◇◇◇
◆ソーニャ
後宮で五十番目の底辺妃。
【死に繋がる不幸を招く呪い】と【死んだら時間が戻る祝福】を持つ。◆エルクウェッド
「賢帝」と呼ばれるほど有能な若き皇帝。
感想
秀逸な設定に愉快なキャラたち。読みやすくて楽しい珠玉のコメディでした。
文句なしで面白かったです。是非、続きを読みたいです。
あらすじにある主人公ソーニャの【祝福】と【呪い】が巻き起こす大騒動です。ソーニャは病気や老衰以外で死ぬと1日前へ死に戻る祝福を持っています。それで死の危険を回避する能力ですね。
その反面、事故死しやすい呪いも持っています。だから何度も死んで何度もやり直しているんですよ。
このソーニャがもつ【祝福】と【呪い】による最大の被害者が、皇帝エルクウェッドです。というのも彼は【祝福】が効かないんです。そのためソーニャが1日前へ死に戻るたびに、エルクウェッドも記憶を持ったまま戻されているんです。
心底うんざりする仕事がやっと終わったと思ったら、前日に巻き戻される絶望感といったら!
個人的に本作はエルクウェッドの物語かなぁと思ってます。何度も繰り返され終わらないループの日々。8回同じ日が続くのなんて、序の口だってぐらいループしちゃいます。
そんな毎日で精神の安定を保つため、趣味に没頭するエルクウェッドです。免許皆伝になるごとに趣味を増やしていって、いつのまにか完璧超人になってしました。武術に芸術、なぜかコサックダンスまで飛び出すエルクウェッドの多芸っぷりには笑わせてもらいました。
そして前日に戻された時のエルクウッドが、ぶち込んでくる奇抜な行動も愉快でしたよ。
また主人公のソーニャも大人しい不幸体質の娘と思いきや、ヤベー奴だったりします。死に戻りに慣れ過ぎて平気で人生のリセットボタン押してくるんですよ。死ぬことへの恐怖とか忌避が一切ありません。
御守りのナイフがない時は、死に戻れなくなって不安とまで言い放つヤバさです。
2巻目の感想
我が身のためにこんな危険物は手元に置いて、24時間守るしかないと婚約を交わしてソーニャの妃教育が始まります。
1巻にも増して王子の多芸っぷりとキテレツな行動に笑ってしまいました。おもいっきりギャグの面は振り切ってくれました。
それから婚約者候補や重臣がカミングアウトする祝福と呪いも、大喜利を見ているように愉快な組み合わせだらけでしたね。みんな呪いと祝福のせいで長所をぶっ潰されていたとは。楽しすぎます。
また笑わせてくれる展開続きかと思ったところで、差し込んできた王都デートのシーンは急にやさしい気持ちにさせてくれて、いいギャップでした。ソーニャが幸せなら死に戻りに繋がらないなら、徹底的に幸せにすればいいってことですもんね。
なんでも極めてしまうエルクウェッドのことだから、ソーニャを幸せにするのも極めてしまうんだろうなあ。きっとみんな幸せな未来になるでしょう。
ヤベー2人によるノンストップコメディです。ずっと楽しいが続きます。
エルクウェッドの平穏な日々は続くのか? なんとも続きを読んでみたい作品です。コメディーが好きな方へオススメします。
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