極東救世主伝説 少年、異形の機体で無双する。【ラノベ感想】
極東救世主伝説 少年、異形の機体で無双する。 -九州大規模攻勢編ー
著:仏ょも
イラスト:黒銀
出版:カドカワBOOKS
アマゾンのあらすじより
少年がその異形を駆るとき――人類が世界を取り戻す戦いが始まる。
第二次世界大戦末期に行われた悪魔召喚の儀によって、世界の在り様は一変した。それから一〇〇年。世界の支配者となった悪魔に対し、人類は魔装機体を生み出し抗っていた。
そんな中、「異なる現代」の記憶を持つ少年・川上啓太は入学した軍学校で、誰も起動すらさせられなかった試作機との適合に成功する。いきなり戦場に派遣された彼は、前世の知識を活かして、今までの常識を覆す戦果を示してしまう。
――それは、人類が世界を取り戻す戦いの始まりだった。
感想
人類が絶対的劣勢のなか試作機を駆って、敗色濃厚な戦場を勝利へ導いていくとか、こんなの戦闘ロボ好きが大好きなもの詰め合わせじゃないの。面白かったです。
まず破滅的な世界設定が燃えますね。
召喚した悪魔が大暴れしたから第二次世界大戦は、対悪魔のために終戦となった世界線の日本が舞台です。人類を捕食する悪魔の前に人類の生存圏は失われていき、滅亡一歩手前まで追い込まれます。そんな時、悪魔の死骸から生み出した魔装機体が生み出され反撃に転じたことにより、人類はギリギリで踏ん張っている状況です。
しかも魔装機体というロボは誰でも操縦できるわけじゃなく、限られた適合者しか動かすことができないんですよ。しかも火力がある機体は機動性皆無で、一発撃ったら反撃でやられる棺桶。じゃあ機動性がある機体はというと、それでも機動戦闘できるほどじゃない。そう魔装機体は悪魔に対抗できるのですが、圧倒できる能力じゃないんです。
それでいて適合者でなければ操縦できないため少数で立ち向かうことになると、なんとも詰んだ世界です。
どうです?燃えませんか?熱くなりませんか??
絶望的な状況をひっくりかえすのってワクワクしませんか?
プレイステーションで昔でていた「高機動幻想ガンパレード・マーチ」をやりこんだことがあれば気になってしかたない展開だと思いますよ。
作中で主人公は実際のゲームとかネットミームを指す発言をしているので、「高機動幻想ガンパレード・マーチ」は参考にされているじゃないかと感じています。
さて主人公は現代日本から転生した川上啓太です。そんな彼は魔装機体への適合能力が高く、軍からスカウトされていました。
両親を失っていた主人公には、たった一人の家族である妹との生活を守らなければならない事情がありました。軍隊で使い捨てにされるのは嫌だけど、お金は稼がないとならない……そこで魔装機体の搭乗員として軍学校へ入学すれば、卒業するまでは前線から離れていて給料まででる。ならば丁度よいと軍学校に入り、試作機を手にしたところから本作の伝説が始まります。
本編にすこし踏み込んだ部分として、試作機の扱いもロボ好きにはたまらない仕上がりになっているんですよ。
まず開発や整備といった技術的な背景がちゃんとしているんです。ロボなので作るのは最上重工業というメーカーです。軍とメーカーのお付きあいというやつですね。メーカーには経営のため軍に採用してもらわないとならないんです。
そして開発元の最上重工業は、魔装機体の開発は真面目てで社運をかけた開発です。だから社長直轄で火力と生存性を兼ね備えた、最強の魔装機体を完成させていたんです。ちゃんとカタログ通りに動かすことができれば……
通常であれば立って歩くのでさえ困難な機体です。それを転生前の全盛知識でなんとするんです。
動かすだけでも苦労するピーキー機体を主人公が乗りこなし、悪魔の侵攻に立ち向かう活躍は熱いの一言ですね。
肩を並べて戦う味方もちゃんとかっこよくて、ラス戦は心がおどりまくりました。
私はバトルシーンでテンションを上げまくっていましたが、ページの割合としては学校のシーンのが多くなっています。
この軍学校もくせもので同級生は軍の関係者だらけで、学校内で派閥争い・権力闘争が公然とまかり通っています。対悪魔で一致団結しなければならないのに、自分たちが有利になるよう派閥争いを止められないんですよ。
そんな中、主人公は軍とは無関係な一般市民出身です。しかも「試作機で無双」までやっちゃいますからね……。どんな騒動を巻き起こしたかは是非読んでみてください。
主人公無双系ではありましたが、軍や学校内での権力闘争や主人公の出自の厄介さなど背景が深く面白かったです。
はたして人類滅亡を防げるのか? 主人公と妹ちゃんは平和に暮らし続けるのか?? とても続きが気になります。
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