僕は今すぐ前世の記憶を捨てたい。【ラノベ感想】

2023年8月27日

僕は今すぐ前世の記憶を捨てたい。~憧れの田舎は人外魔境でした~
著:星畑旭
イラスト:スズキイオリ
出版:TOブックス

  僕は今すぐ前世の記憶を捨てたい。

アマゾンのあらすじより

田舎の良い空気の中で療養を……魔素欠乏症で都会で暮らせなくなった転生幼児・杉山空は、
祖父母との田舎暮らしに最後の希望を託す。
だが、憧れのスローライフに胸躍らせてトンネルを抜けた先は、巨大な昆虫が跋扈する人外魔境だった!?
憧れの虫取りは、1メートル超えのカブトムシが相手。
楽しいはずの散歩は、人体にも芽吹くタンポポ狩りへと発展!?
「じぃじ、ばぁば、たすけて~(涙)」
怯えて右往左往する空は、強靭な村人たちのハートを鷲掴んでしまうばかりか、
何故か田んぼの神様まで呼び寄せてしまい……? 
きっとふるさとを思い出す! 臆病少年の命がけ(?)ほのぼのファンタジー!

感想

転生作品なんだなぁ、どんなスローライフが繰り広げられるのかと想像して読んだらオリジナリティーの塊でした。面白くて癒やされました。Youtubeの田舎暮らし系を見ている大人にピッタリな作品じゃないかと思います。

 

なんとこのタイトルでですね、現代日本がベースの作品でした。
異世界転生じゃないんですよ。

 

舞台は日本です。そして主人公は、東京生まれの3歳児です。ただ本作には魔素という概念がありまして、この許容量は個人差があります。魔素容量が多いほど強くなれたり、現実離れした能力を発揮できるというシロモノです。
で、魔素は 「都会 < 田舎」の構図となっていて魔素容量の大きさから魔素欠乏症になった主人公が、田舎で暮らすようになる展開となっています。

 

さて転生要素はというと1巻目だと主人公の前世は、読者にあかされていません。それでも違和感を感じない内容となっています。何故かというと転生した主人公には、大事な役目があるからです。そう、それはツッコミ役です。

作品のベースは、現代日本です。それなのに読んでいるとオイオイなツッコミがたくさん出てくるんですよ。
50ページ目までにあったオイオイ箇所をちょっと紹介します。


  • 実家は一級危険指定地区
  • 田舎落ち(田舎で成功できず、生きていくだけの実力がなく、都会に逃げ出す事)
  • 黒毛魔牛のローストビーフにぎり
  • ダンジョンで鍛え直してくるからね
  • 向こうの店はサイズ自動調整とか、防御や速度上昇とか、付与が掛かった物が多い
  • 魔装装甲列車
  • 関所

変ですよね? 変ですよね?
ちなみに田舎暮らしスタート後は、これ以上の驚きが待っています。発想力の勝利を感じさせます。

つまり主人公には読者に変わってツッコミを入れるお仕事もあるんです。地の文でツッコまないので前世の記憶を持つ主人公が、ツッコミ役を担っています。

 

とまぁこのような具合で田舎 = ファンタジー空間です。
現代日本の文化とか常識をベースとしながら、はっちゃけた田舎ファンタジー空間も表現されています。読みやすくて面白かったです。

田舎暮らしはというと巨大カブトムシがいたり、神様の子供みたいなのがいたりと、思いっきりファンタジーです。
それに加えて純朴で暖かい田舎暮らしにもなっています。人の繋がりを感じますね。
家族愛なんてあふれまくってます。ほのぼのと癒やされました。

 

あと「じぃじ」と「ばぁば」が、強くてかっこいいのも好きなところです。ご近所さんも含めて年長者の方が、能力は高くそして強く描かれています。その姿を見て子供達は、あこがれて「○○さんみたいになる!」との優しい世界です。
もちろん大人達は全力で子供を護りますし、見守ります。うん、優しい世界。

 

2巻目の感想

またまた絵本みたいなファンタジーでした。繰り返しになりますが、現代日本そっくりなんだけど田舎は、人外魔境。ツッコミのオンパレードとなるなんじゃこりゃに癒されました。
スイカとかトマトといった野菜も意思を持ってリアクションしてくるとかファンタジーすぎます。褒めてあげると赤くなって熟していくトマトとかファンシーですよ。でもってトマトを一気に真っ赤にさせた口ベタじいちゃんは、最高の萌えキャラです。

 

1巻目のほのぼの感を2巻目でもたっぷり味わえました。

それからおまけにあったママさんのダンジョン訪問記では、急に無自覚なろう系な展開になっていたりで面白かったですね。いったいママさんってどのくらい強いんだろ……

 

3巻目の感想

収穫の秋! 食欲の秋な3巻目です。主人公の空は美味しそうになんでも食べてくるんで、読んでてついニコニコしちゃいますね。お腹いっぱい食べなってなるじぃじとばぁばの気持ち分かりますよ!

もう村のみんなから空は愛されていますね。じぃとばぁばはもちろん過保護として、フクからも溺愛じゃないですか。口絵にあった猫又の猫宮さんをみて興奮する空。それをみて嫉妬しふくれるフクとヤナ。なんとも微笑ましくて癒されます。

そして稲刈り、柿とり、栗拾い、キノコ狩りと今回もそのどれもが、絵本みたいに優しい和ファンタジーでした。いやぁこんなに可愛らしい農作業のアイデアがよく続きますね。作者さんの引き出しの多さには今回もビックリです。

 

そうそう幕間の都会にいる家族の日常も楽しみの1つです。田舎生まれで魔素を取り込んでいるため本当は強いママさんが、「なんかしちゃいましたか?」な勢いでやらかしているのをフフフとなってしまいますよ。みんなで魔砕村に行ったらどうなっちゃうんでしょうね。

 

4巻目の感想

季節は冬。

雪だるま・かまくらを作っての雪遊びにお正月、冬イベント到来です。聖霊や神様が身近にいる魔砕村のお正月は、神様があたり前に登場して今回も大騒動でした。
季節の神事にリアル神様が登場して、和ファンタジーらしさが楽しいですよ。

 

これまでほとんど生かされてなかった転生要素が出てきました。ようやく普通の子(魔砕村基準)と空との違いが、明確になって今後も空は神様とか精霊に愛されそうですね。
家族の愛や隣人の愛につまっていて癒やされました。

それから番外編で展開される東京の空ママが、東京最強疑惑も発覚。主婦による無自覚最強もまた面白かったです。

 

私がそうなのですけど、町中で生まれ育った人が理想と思い描く「理想の田舎暮らし」みたいだと感じました。とても癒やされました。
仕事で疲れていていつかスローライフを過ごしたいと思っている方にオススメします。

 



 

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Posted by kyoikyoi