魔術師クノンは見えている 【ラノベ感想】

2024年1月21日

魔術師クノンは見えている
著:南野 海風
イラスト:Laruha
出版:カドカワBOOKS

   

アマゾンのあらすじより

魔術で「目」を作りたい――その好奇心が少年を水魔術の天才へ飛躍させる!
目の見えない少年クノンの目標は、水魔術で新たな目を作ること。魔術を習い始めて僅か五ヵ月で教師の実力を追い越したクノンは、その史上初の挑戦の中でさらに才能を開花!
魔力で周囲の色を感知したり、水魔術の応用で懐炉や湿布を作ったり、初級魔術だけで猫を再現したりーー。
その技術と発想は王宮魔術師も舌を巻くほどで、クノンは実力を買われ、最高の腕を持つ魔技師の弟子になることに!?
好奇心で世界を切り拓く、天才少年の発明ファンタジー!

感想

主人公であるクノンは、生まれながらに目が見えない少年です。それが家庭教師のうっかり発言をきっかけに「魔法で目を作ればいいんだ!」と思い立ちます。そして魔術を習いだしたら才能に目覚めてとんでもないことに……
魔術の使い方から発想まで並外れたクノンが、頭角をあげていく俺ツエー要素をもった作品です。魔術によって成り上がる胸熱ファンタジーですかね。

強くて成り上がり。周囲からスゲーと称賛ってくると読み手の好き嫌いは、出やすいかもしれません。私も称賛の度が過ぎる作品は、そこまで好きじゃありません。
でもこの作品は好きです。その理由はコメディなシーンが色々あって、クノンの背景とかテーマのわりにライトで読みやすいんです。楽しく笑える展開なんです。

クノンをどんなキャラ?といったらチャラ男です。ゆるメイドの教育の賜物でクノンは、歯が浮くようなセリフで女性を口説きます。目が見えなくて大変だから明るいメイドを側においたら、影響を受けすぎてそんなチャラ男に仕上がっちゃいました。
なおクノン自身は、甘い言葉をささやくのが礼儀とおもっていて恋愛感情は抱いていないってあたりコメディらしさに拍車がかかります。

魔術マニアの大ベテランに可愛がられて1巻目は、サクサクとテンポ良く進みます。9才で学校に通って、12才にして魔術学校に進むあたりで終わります。きっとこの先も魔術界に大騒動を巻き起こすでしょうね。ワクワクさせてくれ続きが楽しみです。
コメディ要素があるファンタジー作品が、好きな方にオススメです。

 

2巻目の感想

魔術学校編です。クノンは、優秀優秀と鳴り物入りで入学です。
そしてもちろん実力を見せれば、前評判を上回る優秀さ。魔術の知識・実践・応用と三拍子そろった優秀さです。クノンさんスゲー。

クラスメートへの気配りもできて完璧なのに……ちょいちょい女性キャラをナンパしているかのような軽薄な感じをはさみこんでくるので、クノンは完璧超人なんかじゃないと親近感を感じてしまうんですよね。かっこ良くて憎めない主人公です。

男性から頼むと門前払いになるから、クノンへは女性から頼めと周囲にバレバレなシーンなんて笑ってしまいました。

なお2巻目は良かったシーン(多数)と残念だったシーン(ちょっと)がありました。
良かったのだと新ヒロインのクール系聖女さまです。クノンのすかさずナンパしてる様子に、あたりまえのようにドン引きだったのが、接する中で実力をみとめていくあたりが面白かったです。
おそらくまだ聖女さま的にクノンの評価は、マイナス値から平均未満に上がったくらいで、だいぶ心の距離感があるんじゃないかなと私は感じています。

残念だったのは婚約者の出番はお休みだったことです。出番は書き下ろしの番外編のみ。3巻目での活躍に期待です。

 

3巻目の感想

クラスメートとの宝探し面白かったです。学園編となればやっぱりクラスメートとバカ騒ぎをするのを読みたいんです。
女性を見ればナンパしたり魔術的に特別扱いなクノンくんなのに、みんなに仲良くとけこんでいて良かったー。
打算的な美少女のカシスが、クノンくんに対して手のひらクルックル回すところとか楽しかったです。

彼が女の子をチャラく口説きまくっても、周囲の女の子もしっかりしていて簡単に「クノンくんしゅきぃ!」とならないから安心して見ていられますね。ナンパでチャラくても婚約者に一途なのもいいところですね。

 

また後半のクノンくんによる問題児教育シーンもまた良かったです。
良かったんです。けどやっぱり婚約者の出番はちょっとだけです。今後も本編には、ガッツリからまない構成になっていくんですかねぇ。

 

4巻目の感想

「第十一校舎森林化事件」でやらかした影響が、とても大きかった4巻目でした。まさかアイテム作りのあんなことから非常事態になるとは……。

 

とってもファンタジーでした。
原因から解決方法まで魔術の奥深さを見せてくれ、とってもファンタジーでした。こんな魔術の魅せ方なんてあるんですね。魔術は無限の可能性を秘めてますよ。
不老不死の魔女グレイとの出会いでクノンは、きっと更に魔術を極めでいくんでしょうね。

 

あとはこれまで感情がほとんどなかった、聖女レイエスの覚醒も印象的でした。クノンと霊草の栽培をしてから無感情だったレイエスは、感情を取り戻したかのようで別人になっちゃいましたね。教皇パパとのエピソードには、思わずほっこりです。

で終わってればきれいなお話なのに、レイエス……。どーしてそこまで栽培をキメちゃうのよ!
歓喜の涙まで流しだすし。彼女もこれで本格的にクノンの仲間入りってとこでしょうか。
ここまで愉快な娘に成長するとは最初からは、とても想像つきませんでした。

 

5巻目の感想

無事に進級して2年生となり後輩がやってくるようになりました。

女性を見たら口説かないと失礼と思っているクノンの口説きが、巻を増すごとにキレ味がよくなったような気がします。学園内では「いつものクノン」で日常風景と化してきていますけどね、外部のピュアな反応は面白さが際立ちました。老いも若きも結婚していようとも関係なく、あのクノンのナンパ口説きをされちゃったらあんな大混乱になるでしょうね。
混乱させられたあの村の男衆は、クノンを出禁にしてもゆるされると思いますよ。

 

そして5巻目といえばクノンの洗礼を受けてしまった後輩ちゃんですよ。

彼女セララフィラはジオエリオンの従兄弟でアーシオン帝国のVIPです。彼女もまたクノンのチャラい態度に内心引いていて、初々しい反応を見せてくれました。
そんな彼女に対してクノンは、魔術の沼にドップリ沈めてあげようとしてセララフィラの周囲が大変な目に。

クノンたち魔術師は親切心からあんな行動をするから、余計に魔術師って変なんだなぁって思います。登場時点ではまさに聖女だったレイエスも5巻目の時点では……。

教師を含め魔術師連中が楽しそうに大暴走しているうちに、あっという間に終わってしまう楽しいお話でした。

で、楽しいのは間違いないんですよ。でもミリカのこと忘れすぎじゃないですかね? 特定シーンにしか出ない芸が5巻目は成り立っていませんでしたよ?

 

 

 

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