乙女ゲームのハードモードで生きています【ライト文芸感想】

2022年8月2日

乙女ゲームのハードモードで生きています
著:赤野 用介
イラスト:芝石 ひらめ
出版:星海社FICTIONS
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アマゾンのあらすじより

西暦3737年ーー星間国家を誕生させた人類は、宇宙を舞台に4つの勢力に分かれていた。
ディーテ王国・王立魔法学院の生徒である男爵家令息ハルト・ヒイラギは、祖父の家でプレイした1700年前の日本の乙女ゲーム『銀河の王子様』と今の現実世界が酷似していることに気付く。
乙女ゲームと現実との繋がりを確かめるために、公爵家が未来に起こす事件に介入したハルトは、9万を超える破格の魔力値を得てしまう。
魔力値の高さが星間国家の国防能力に直結し、貴族階級をも決定づけるがゆえに起こる「貴族政治の陰謀」と「星間戦争による首星壊滅ルート」を避けるため、ハルトは魔法学院(乙女ゲームの舞台)から抜けだし、王国軍士官学校へ入学する。
だがそこでハルトを待ち受けていたのは、本来であれば魔法学院にいるはずの3人の貴族令嬢(ヒロイン)だったーー

感想

なろう発です。乙女ゲームと現実がそっくりだったからゲーム知識で無双 + 複数ヒロインルートを狙うとかラノベなんですけど、まさかの星海社FICTIONSで書籍化です。なんでもSF要素が強いそうです。だから読者層的にこのレベールなんだなぁ程度の予備知識で読みました。

いやさ…口絵でヒロインのイラストに続いて周辺星系図があるのは、驚きませんけど王国の人口比・階級割合比・艦隊編成(艦の全長・乗員数データ付)の表まであるとかガチのやつじゃないですか。そりゃ星海社から書籍化されるわけですよ。ハヤカワJAあたりを読む層に良い具合に刺さりそうです。

時代は西暦3700年代、ワープ航法を手にした人類は太陽系を越え、750年先まで生存範囲を広げています。その世界で主人公のハルトが属するのは、ディーテ王国です。王国は地球からの独立時に凄惨な独立戦争を展開した経緯があり、地球圏を仮想的として国力維持に腐心しています。
そして口絵のキャラ紹介に魔力値がかいてあるのが、本作で重要な要素に繋がっています。実は宇宙船の動力が魔力になっていて、戦力確保のため各国は高い魔力を有する人材の確保にも腐心するという具合です。とまぁこういったことを歴史・制度・数字などをもってきて、これでもかと物語の土台を固めてくれます。私は設定がしっかりした作品を好むのでたまりませんね。ゲームをするときに設定集まで勝ってしまうタイプの方にオススメの濃さです。

チート要素は1700年前のゲームと現実の展開が、そっくりっていうところから知識を得るあたりです。SF的な設定はガチガチな分、こっちの方はふんわりです。作中でもハルトがゲーム内でおきるバッドエンドやイベントに、「これ乙女ゲームなのにハードすぎ」的なツッコミを入れるぐらいゆるゆるです。これはメインとなるSF展開が結構重いので、こういった軽くなる要素があると読みやすくなってくるので良いかなぁと思います。

あとはヒロインの魅力ですね。乙女ゲームで主人公をつとめるユーナ・タカミヤとその親友のコレット・リスナール、そしてユーナのライバルキャラになるフィリーネ・カルネウスの3人です。ユーナは誰の懐にでも入れてしまう正統派ヒロイン(あと巨乳)キャラです。それ対して、ライバルのフィリーネはツンとした感じのクールビューティです。でもクールなくせに追い込まれるとボロをいっぱいだし、「ぐぬぬ」に追い込まれるポンコツっぽさも持っています。1巻目ではフィリーネが中心的なキャラで魅力たっぷりでした。コレットは冷静なツッコミ枠といったところです。今後、ラブコメ要素が加わってきたときにどうなるかも楽しみです。

作品の雰囲気的に読者層が偏ってしまうかもしれませんが、試しに読んでみて欲しいです。続きがもの凄く楽しみな作品です!

 

2巻目の感想

2巻目も読みました。乙女ゲー要素ゼロ、スペオペ展開と今回もタイトル無視でした。ハルトの超大魔力で敵艦隊をふっとばす無双展開に、要所要所にSFなガジェットがはいってきてスペオペになるオリジナリティあふれる作品です。スペオペにはかかせない政治・陰謀のシーンもたっぷりです。

1巻目でラブコメ展開あるかな?とおもいましたが、そんなにありませんでした。若干ユーナにヤンデレの波動を感じられたくらいです。むしろ新しい嫁が増えたのでラブコメではなく、ハーレム展開みたいです。
敵側が民間艦を動員したり、軌道上の防衛設備に資源最終設備を整備していたりと細かな描写があって、ハルトに無双される相手に丁寧な描写があるのはやっぱり良いですね。

 

3巻目の感想

3巻目も読みました。中国を祖とする天華連邦が登場します。大戦をなんどもくぐり抜けた主人公が、自勢力の生存のためにそこまでするかと今回もド派手なスペオペです。390億人VS800億人の殴り合いでシュミレーションゲームのように人口が溶けていきました。そこまでするのか……ってのが結構な印象です。

そしてヒロインレースに表紙のチャイナ娘が参戦です。優秀なくせに根は、ゲーム好きな引きこもりというポンコツ風ヒロインです。いままではしっかり系ヒロインが続いていたので面白いですね。引きこもり姫が、先輩ヒロインたちに囲まれこの先生きのこれるか気になります。
 
 

4巻目の感想

ついに最終巻。これにて星間戦争も終結です。
乙女ゲーらしさは、結局のところほとんどなくてゴリゴリの国盗り戦略ゲームでしたね。億単位の人口が溶けていくので、個人なんて知ったことか状態でした。人口=人的資源、統計上の数値として戦没者が積み上がるド派手なお話でした。
異星人相手じゃないってのにここまで破壊しあうSFものって珍しいかも。
 
また2巻目あたりではどうなるかと心配だったメインヒロインが、きっちり報われてたのも安心しました。
無事に完結して何よりです。面白かったです。
 
 
 
 
 

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