ティアムーン帝国物語 【ラノベ感想】

2022年5月31日

ティアムーン帝国物語 ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~
著:餅月望
イラスト:Gilse
出版:TOブックス
514xM86g4uL._SY346_

アマゾンのあらすじより

崩壊したティアムーン帝国で、わがまま姫と蔑まれた皇女ミーアは処刑された。―はずが、目覚めた彼女は12歳に逆戻り??第二の人生でギロチンを回避するため、前世の日記帳を手に帝政の建て直しを決意する。手始めに忠義に厚い下っ端メイドと、左遷されたが優秀な文官を味方につけ、失敗した過去をやり直す日々が始まった。だが、ミーアの本音は「我が身の安全第一」。仇敵を遠ざけ、人脈作りに励むうちに、なぜか周囲の忖度で次々と奇跡が実現!やがて、身勝手なはずの行動は大陸全土の未来を大きく変えていくのだった…。保身上等!自己中最強!小心者の元(?)ポンコツ姫が、前世の記憶を武器に運命に抗う、一世一代の歴史改変ファンタジー!一万字超の書き下ろし新章&巻末おまけ「ミーアの日記帳」収録!

感想

ジャンルとしては悪役令嬢ものでしょうか。冒頭はギロチンで処刑されるバッドエンドからはじまります。身から出た錆で処刑されてしまう人生で終えるはずだったのが、何故か12歳の頃からやり直すことになります。処刑される未来から逃れるために悪戦苦闘するのが本筋です。
 
見所は主人公ミーアの性根の悪さです。たいていこの手の転生や蘇りストーリーでは、心を入れ替えてやり直すのに、ミーアは打算的で取り繕いまくります。例えば、困っている人を助けるのは、自分を信頼するメイドの期待を裏切らないため…とか、将来革命が起きたときに助けてもらうため…とかゲスいです。
 
本作でミーアのダメっぷりは、あちこちでいじられ「なんちゃって聖女」「残念皇女」「どこまでも打算的なミーア」と地の文で、散々にツッコまれます。ご都合で話が良い方に進むと、すかさずツッコみが入り上げ下げのバランスが面白いです。普通なら主人公は美少女なのに本作では、絶対評価「かろうじて美少女」と厳しめの評価です。
一方ミーアの周囲のキャラ達は、みな曇りある眼でミーアの性根が分からないので、ミーアさんSUGEEを全力でやってくれます。ミーアの少ない良心として、1回目の人生で最後まで尽くしてくれたメイドなどの忠臣たちに接する態度を改めると、斜め上の勢いで忠誠心が上がっていきます。勝手に勘違いしてミーアを祭り上げていってしまいます。
 
そんな周囲の都合の良い勘違いで、ミーアにプラスになる要素と、ミーアの性根の悪さでにじみ出るダメ行動と地の文のツッコみによるマイナスが、読んでいて心地よいバランスなのが本作の魅力のような気がします。
残念ヒロイン系のラノベが好きならば、オススメします。
 

4巻目の感想

一番印象に残っているのは、学園長候補の勧誘をする説得シーンです。見事に登場する優秀なキャラは、曇りまくった眼でミーアを過大評価してくれます。相変わらずお嬢様はゲスです。
その他、改心しなかったミーアと同じ将来をたどりそうな友人のシーンも出てきます。物語的には寄り道感がでてきてました。
 

5巻目の感想

無人島漂流編が終わって、もうひとつ平和的な学園イベントがある巻です。無人島ではミーアがやっぱりゲスなので、アベルのイケメン力が光ります。5巻目屈指の癒やしシーンがありました。
またストーリー展開的にも重要な巻となっていて、帝国の結構な秘密が明らかになります。ミーアの未来がこれからどう変化していくのか、とっても気になりました。
巻末のマンガもあいかわらず面白いです。イラストの良さをフル活用していますね。
 

6巻目の感想

6巻目のイベントは秋のキノコ狩りです。ミーアが過去に何度も手を出そうとするキノコのイベントです。今回もまた欲望に忠実にミーアが突っ走り、節穴アイぞろいのお仲間が勘違いをしまくる恒例の展開です。ティアムーンではもうお決まりの展開ですね。
また危機に巻きまれた時の身の危険っぷりは、これまでで1番かもしれません。ものすごくファンタジーラノベっぽいバトルシーンもある巻です。展開の型が定まってきたような気がするので。次巻あたりたりでサプライズな展開でも起きないかと楽しみにしてます。
 

7巻目の感想

7巻までくるとルードヴィッヒの両目は、ミーアが全くの別人に映っています。過大評価と斜め上の忖度で、もう交換したらどうですかというくらい暴走してます。ミーアと側近が別方向に向けて暴走しているが面白いですね。
あと文章がコミカルさを保ち続けているのも嬉しいです。なんだかんだとミーアの改革って実を結んできていて、ガチでミーアは賞賛されていても不思議じゃないんです。でもことあるごとにギリギリ美少女とか、FNYるとか1上げたら1しっかり下げるノリがとっても楽しいです。いつのまにかマンガ版のギロチンくんが作中のイラストに出張しだしてきていますし、ほどよいカオスさもたまりません。
 

8巻目の感想

シオンのサンクランド王国までお出かけの回です。今回も物語の緩急にミーアを上げて即落とすノリとか、テンポ良く一気読みです。中でも四大侯爵のシュトリナとエメラルダのシーンがお気に入りです。これまでぼっちだったシュトリナが、友達との外出にワクワクなところなんてほっこりしました。
エメラルダはある意味8巻目の中心キャラで、しっかりお姉さんの一面を見せるシーンは挿絵も素敵でよいですね。あとエメラルダはミーアとおなじく珍しいイジられポジションなんです。「面食いエメラルダと大食いミーア」と2人そろってイジられるシーンに笑ってしまいました。

序盤にあるペルージャンでの舞のシーンもダンス(だけ)は、得意なミーア姫の面目躍如ってシーンで印象的です。あと賢い系キャラによるミーア持ち上げが、異次元突破しつつあります。ミーアの言動をななめもななめ上によんでミーア様の叡智に驚いてます。真面目そうなさし絵とのギャップが面白かったです。

 

9巻目の感想

サンクランド王国でミーアの叡智(他称)が炸裂します。敵対する場面はありつつもよっぽどの相手以外には、反省とやり直しの機会を与えられるのが本作の好きなところです。ミーアのやり直しとダブらせて、サンクランド編のキャラに光があたる場面は良かったです。
あとストーリーが進み常連キャラの動きも印象的な回でした。やり直した後の未来を描いたシーンも出ています。アベルとティオーナの名シーンをお楽しみに!

 

10巻目の感想

ついに節目とも言える10巻目で騎馬王国編の上巻にあたります。これまで頼れる兄貴ポジだった馬龍先輩が、この巻でいっぱいしゃべります。遠乗りシーンなんて一段とかっこいいこと!
馬龍先輩は、貴重なミーアを注意できるお兄さんですからね。これまでと違った魅せ場が、面白かったです。

後は新キャラは、騎馬王国版ミーア姫みたいな子も参加です。なんともチョろ…純粋で次巻での活躍が楽しみなキャラですね。

また地の文のミーアディスりも一段と鋭さを増したような気がします。ちょっと引用するとこんな感じです。

間違いなくミーアである。ミーア以外のなにものでもない! FNY(QED!)
まあ、それはさておき

  ※FNY : おなかや二の腕を摘まんだときの効果音

キッレキレであいかわらずの楽しさでした。

 

 
 
 

同レーベルの感想も読んでみる

TOブックスの感想