王妃ベルタの肖像【ライト文芸感想】
王妃ベルタの肖像
著:西野 向日葵
イラスト:今井 喬裕
出版:富士見L文庫
アマゾンのあらすじより
王妃と仲睦まじいと評判の国王のもとに、第二妃として嫁いだ辺境領主の娘ベルタ。王宮で誰も愛さず誰にも愛されないと思っていたベルタは予想外の妊娠をしたことで、子供とともに政治の濁流に呑み込まれていく――。
感想
歴史小説が好きで一時期読みまくっていた私には、最高にハマった作品で文句なしに面白かったです。2巻目まで一気読みしました。
物語の舞台は、ルネサンス前の中欧や南欧に似た雰囲気ではありますが、基本的にそこは創作です。ファンタジー要素は皆無で、歴史上存在した小国の体で読んでいけます。そう感じるぐらい町の様子やちょっとした動作など、周辺の描写が丁寧なんです。世界観がしっかりしているのが、つよく感じられました。
そしてアマゾンのあらすじは合っています。でも想像する典型的なシンデレラストーリーの展開には進んでいきません。二転三転と状況が変わり飽きないんですよね。ついつい読むが止められなくなって、夜更かしをして2巻目まで読んでしまいました。
読んでみて感じた面白さの1つに、主人公のベルタの性格や振る舞いがありました。場面場面で色んな顔を見せてくれ、作中でも自然と周囲の人々を惹きつけると評されています。祖国の民に慕われそして彼らと接するベルタの様子が、行動力にあふれ私も読んでいてベルタに惹きつけられてしまいました。
もう1つの面白さとして自然に心情の悩みや、周囲との意図しないすれちがいがドラマを生んむところです。「予想外の妊娠」に対して悩み考える、そんな当然かもしれないことが、作中で繊細なところまで語られます。また政略結婚とはいえ結婚した相手に対し、義務的に接するのかそれとも伴侶として向き合おうとするのか心情の変化が揺れ動いて、ドラマを見ている気分になります。たおやめぶりというか、若干の少女漫画的な要素でしょうかね。面白くて魅せられます。
舞台背景や描写は歴史小説っぽい一見かたさもありながら、中身はエンタメに徹しています。西欧の歴史物が好きであれば是非読んでみてください。きっとハマると思います。
3巻目の感想
3巻目では更に大きく歴史が動き出します。帯に「―王妃として歴史に名を残してみたくなったわ」とあるように、ベルタの決意が表れこれまで以上に国政に関わっていくことになります。その動きに合わせてベルタを取り巻く人々の思惑が交差し、まさに歴史小説を読んでいるかのようなワクワクが止まりません。
国を大きく変えようとすると反動からは避けられず、国難に対しベルタとハロルドがどう舵取りをしていくか目を離せませんでした。
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