青の女公 【ライト文芸感想】
青の女公
著:喜咲 冬子
イラスト:月子
出版:集英社オレンジ文庫
アマゾンのあらすじより
北方領主の父を冤罪で亡くし、絶望に心が壊れた家族を人質にとられ、リディエは下級女官として王宮で働かされていた。
そんなリディエのたったひとつの望みは、平穏に任期を終えて故郷に帰ることだった。
ところが想定外の命令が下された。それは婚姻関係が破綻しているスキュイラ王女と婿であるヴァシルの仲を取り持ち、世継ぎ誕生の後押しをしろというものだった。
真面目に任務をこなそうと、まずはヴァシルの国民からの支持を得ようと協力したのだが、それはスキュイラの思惑に反していたようで……?
故郷へ帰ることだけを願っていたリディエの働きは、やがて国を揺るがす動乱へと繋がり、リディエ本人の運命も大きく変化させていき……?
下級女官が駆け抜けた、壮大王国年代記!
まさに壮大な王国年代記でした。波乱にとんでいて次々とリディエを取り巻く環境が、様変わりしていくんです。ドキドキの連続で面白い歴史小説でした。
オレンジ文庫で女性主人公作を多く手がける希咲さんの作品です。本作も運命に翻弄されつつも強く生き抜いていく女性が、主人公となるストーリーです。主人公のリディアは、領主の娘でしたが滅ぼされ女官として仕えています。「夫婦仲が最悪な王女と殿下の間をとりもって」っていう無茶振りが、序盤のお仕事です。優秀だったばっかりに殿下の覚えめでたくなって、重宝してくれるのはいいんですけどね……
できればとっとと家族と故郷に帰りたいところ。結婚している殿下に好かれても厄介の元なだけですし、と宮仕えの辛いところです。
主人公リディアと対になるのが、王女のスキュイラです。彼女も強い女性で国の立て直しを密かに願っています。王女と下級女官という2人の女性が、中心となって歴史を動かしていく物語です。復興へむけた希望と果てしない努力、唐突に巻き起こる陰謀と面白いです。
表紙にあるリディアの姿と「青の公女」の意味が、作中で明らかになったときは熱かったです。女性視点ですすんでいく歴史小説を読みたい方にオススメです。
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