町をつくる能力!?【ラノベ感想】
アマゾンのあらすじより
迫害されている獣人と共に町を運営!? 目指せ現代の日本都市!!しがない派遣社員である藤原信秀は、電車の脱線事故で電車に乗っていた人たちとともに白い空間へと誘われる。そこで彼らを待ち受けていたのは、神を名乗る老人だった。老人により強制的に力を一つ与えられ、別の世界に転移させられることになった彼らだったが、その中で信秀が手に入れたのは、“お金と引き換えに様々なものを手に入れることのできる"【町をつくる能力】で……。異世界町づくりファンタジー、ここに開幕!
感想
町作りをメインにした作品です。かなり個性が強いので好みはかなり分かれそうです。なんとも言えない魅力のある作品です。
転生チートを渡されてスタートするあたりまでは、オーソドックスです。そこからは異色も異色です。
まずチート能力として1000億円相当のポイント的なものがあり、それを消費して建築やアイテム入手を行えます。食料や衣服、家屋はこれで調達です。加えて時代設定があって初期は、江戸時代相当です。未来のアイテム入手は価格が100倍になるので、江戸時代に双眼鏡を入手すると3500円×100円で35万円相当といった具合です。アイテムを売却なんかで資金を稼ぎつつ、資金と人口が一定になると江戸時代→現代→未来とランクアップしていく仕組みです。
どうみてもゲームですよね。江戸時代でも現代の価格×100倍で手に入るのは、価値を考えるとかなりガバガバってみえなくもないですが、あいまいな解釈で突き進むチートよりハッキリしてるともいえます。学術書もコンビニ弁当も一律×100で手に入るのは、なんともゲーム的な感じです。
町は能力でgetとして、そこに住む住民はというと迫害された流れてきた難民です。それ自体はよく見るパターンですが、徹底して獣人ばかりってのは変わっていました。自分は人間、でも住民は獣人。人間をあまり良く思わない住民が大多数のなか、どうやって町を運営していくのか読んでいて楽しかったです。若干先の展開にふれてしまうと1巻目は新興勢力をよく思わない人間との戦いです。2巻目は住民の獣人との衝突との戦いです。町作りやアイテム入手に関する苦労が皆無なので、ある程度町ができあがって外敵や悩みがでてくる1巻目の後ろくらいから一気に面白くなってきました。
2巻目の感想
2巻のラスト部分など読者の意表を突いてくる展開で、ビックリしました。3巻目以降は出ていないので思わずネットのなろうへ続きを読みに行ってしまいました。
登場キャラも結構個性的です。なぜかアイドル枠としてしゃべるでもない普通のラクダがやたらと推されていたり、獣人の姿が耳尻尾がついただけの人間から、全身毛皮に覆われた獣度高めな獣人までバラエティーに富んでいます。惜しいことに(?)主人公の好みと合いませんでしたが、狼族の美女(獣度高 1巻目136ページ目)なんかもでるのでケモナーなりあり?かも。
その他、作者が元自衛官とのことで火器を用いた戦闘描写は、もの凄く自然な臨場感で描かれています。戦闘シーンは面白いです。その反面気になったところとして、冗長なウンチクや知識語りが作中に多数目につくあたりです。主人公が断定的な語り口調をするとあわさって、中身の割にものすごく上から目線感が強いです。一つ例挙げてみると、「空砲でも威力がある」的なことをウンチク語りをする箇所があります。一般的な作品であればそれを伏線に空砲で敵を倒したり、危機を回避したり陥ったりといったことに繋がるもんなんですが、本作はそういうのありません。ただの講釈です。ちょいちょいこういうのを挟んでくるのでストーリーのテンポや盛り上がりを削いでくるのが引っかかりました。
個性的で続きが気になるコトも多いので、書籍版が終わっているのは残念でした。同時に異世界転生した日本人の描写が増えてきて、彼らがライバルになっていくのか?と気になるあたりなんですよね、ラストが。ラノベが強い出版社だったら…と気の毒な作品です。
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