勇者刑に処す【ラノベ感想】
アマゾンのあらすじより
勇者刑とは、もっとも重大な刑罰である。大罪を犯し勇者刑に処された者は、勇者としての罰を与えられる。罰とは、突如として魔王軍を発生させる魔王現象の最前線で、魔物に殺されようとも蘇生され戦い続けなければならないというもの。数百年戦いを止めぬ狂戦士、史上最悪のコソ泥、詐欺師の政治犯、自称・国王のテロリスト、成功率ゼロの暗殺者など、全員が性格破綻者で構成される懲罰勇者部隊。彼らのリーダーであり、《女神殺し》の罪で自身も勇者刑に処された元聖騎士団長のザイロ・フォルバーツは、戦の最中に今まで存在を隠されていた《剣の女神》テオリッタと出会い――。「力を貸してくれ、これから俺たちは魔王を倒す」「その意気です。勝利の暁には頭をなでてくださいね」二人が契約を交わすとき、絶望に覆われた世界を変える儚くも熾烈な英雄の物語が幕を開ける。
感想
勇者を刑罰としてしまって、最前線で蘇生され戦い続ける刑罰としたのは新鮮で面白かったです。魔王と何年も戦い続け世界の危機を肌で感じるダークな感じの舞台背景です。魔王に対抗するため人類側もなりふり構っていない状況です。
だからこそ一芸に秀でて優秀だった死刑囚で、囚人部隊の勇者なんてものをつくりあげたんですね。そして勇者は捨て駒・使い捨てな戦場に投入されると……。蘇生があっても完全でないことも多くて不完全な復活をすると、記憶や人格などの欠損が起こりえるため蘇生があってもハードモードです。
本作の世界設定や雰囲気などの素晴らしさに加え、登場するキャラも素晴らしく魅力的です。主人公が所属する部隊は、犯罪者を集めた愚連隊で一癖も二癖もしかない連中が仲間です。コレがどいつもこいつも個性が強いです。
あらすじの「数百年戦いを止めぬ狂戦士、史上最悪のコソ泥、詐欺師の政治犯、自称・国王のテロリスト、成功率ゼロの暗殺者など、全員が性格破綻者」は脚色なしです。例えば自称・国王のテロリストは本気で自分を国王と思い込んで振る舞っているんです。でもって勇敢で民思いの国王の振る舞いでいてかっこよかったりします。
主人公のザイロは《女神殺し》の大罪人です。どうして罪を犯したかは読んだ時のお楽しみとして、本作には女神も登場します。女神は魔王・魔物に対抗するため、人類に尽くすべく生まれた存在です。で、いろんな姿の女神がいるなかで、ザイロのパートナーは表紙にいる金髪美少女です。
女神ってのは承認欲求が強いらしく"人類を助けるからホメてホメて、チヤホヤして"の全力アピールをしてくる子なんです。なんとも可愛いらしいですね。ザイロと女神の信頼感も美しくて良いファンタジー小説を読んでいるのを実感します。
作中は魔物との戦闘シーンも多くてバトルシーンが好きな方にも合うと思います。勇者部隊を中心とした個人戦闘と一般人と協力してする集団戦闘の両方ともがバッチリ描写されてます。ギミックが生かされていて1巻目だけも結構なバトルシーンでしたが、どのシーンも凝っていて面白かったですよ。
まだ未登場の勇者もいたりで1巻目はまさに導入といった雰囲気です。勇者たちの紹介が一巡してキャラが動くようになってきたらものスゴく面白くなりそうです。2巻目が楽しみです。バトル多めで重めの雰囲気なファンタジーが好きな方は是非読んでみてください。面白いですよ。
2巻目の感想
2巻目を読みました。今回も面白かったー。
新たな魔物との戦いも勇者ごとの魅せ場が、特技を生かせるようにシーンにバチっとあって見応え抜群でした。勇者だけが無双するのでなく軍や民間人との共闘もあるのは、一段と戦闘シーンが盛り上がりますね。ノルガユ閣下は1巻に引き続きカリスマ抜群でした。ホントこれで狂ってさえいなければ……
これまで未登場であった勇者ライノーとジェイスが、2巻で登場しました。彼らもまた濃くてとんでもない異常者ですうよ。単体でラノベの主人公とかラスボスをやれそうな連中が、何人も出てきて面白いが止まりません。熱いバトルシーンの連続で面白かったです。
3巻目の感想
人類の反抗始まりです!
囚人部隊の誰しもが壊れていて、とんでもない発言と行動のオンパレードだってのに何でか熱いんですよね。カッコよく見えるんですよ。
竜騎士は女性(竜限定)心が分かるイケメンムーブですし、自称王族は理想の指導者ムーブです。今回も面白くて一気に読んでしまいました。
1-2巻でレギュラーメンバーを紹介して、今回からはキャラが動いているのを実感しました。どうしても戦闘がお話の中心となりがちなのに、各メンバーの特技を生かして魅せ場が漏れなくあるんですよ。戦争のシーンに詐欺師や大泥棒の魅せ場まであって、ものすごく読んでいて楽しかったです。
さらにノルガユ閣下の過去を更に掘り下げたお話とか、テオリッタとは異なった能力を持つ女神ペルメリィとか、どれも面白かったぁ。
4巻目の感想
強力な魔法に加えて魔物に協力する人間が現れたことで、魔物の戦い方に変化してきた4巻目です。あいかわらず最悪な戦場で面白かった。
これまでは賑やかでムードメーカーぽいドッタが、戦線離脱したことでこんなピンチになるんですね。物資不足に苦しむシーンを読んで、勇者一行の誰が欠けても回らないのを痛感しました。みんな主人公級に尖ったキャラたちで見逃せない展開ばかりでした。
中でも個人的に相思相愛なジェイスとニーリィの語らいの部分は、特にお気に入りです。絶対的な信頼感で繋がって、互いに必要としあっている絆は良いですね。しかも2人ときたらザイロを差し置いてイラストの表面に来るぐらい良いシーンをもらってたりします。
あとパトーシェとフレンシィでザイロを取り合おうとしている場面も多数でしたけど……ザイロのニブさかだとまだまだ時間かかりそうな気配です。この分だとしばらくザイロは、女神さまのナイトポジでしょうね。
魔物サイドの思惑もだんだんと明らかになってきて一段と面白かったです。
ラストにあった武器な伏線は、どうなっていくのか。5巻目はどんな地獄が待っているか楽しみです。
5巻目の感想
相変わらず酷い戦場での熱いお話でした。
これまでは裏方仕事ばかりで地味目だったベネティム回ですね。ベネティムは戦えるキャラじゃないですし、いっつも怒鳴られてばかりで活躍しているのに地味なイメージでした。
それが5巻目で口八丁にペテンの数々。無から戦力を生み出してしまう能力は、たしかに懲罰勇者の中で一番やっかいかもしれませんね。個々の暴力であればタツヤやザイロの活躍が光ります。
でも対局を変える。盤面をひっくり返すとなるとベネティムのペテンが生きてくるんでしょうね。それが明らかになったからこそ、敵側にベネティムは一番危険としっかり目をつけられちゃったのかなあ。
あと5巻目だと神殿の主席大司祭を魔王相手に戦い抜ける人物を祭り上げようと、政治闘争が中心だったのも印象的で面白かったです。軍隊内の派閥抗争を超えて、政治的な動きまでスケールアップです。
6巻目の感想
乾坤一擲、人類の反攻開始です。これまで押されていた人類による逆襲ですよ。
大軍がぶつかり合う決戦です。
ここにきて更に面白くさせてくれるのかと感じたのは、敵側である魔王の個性を前面に出してきたところです。
6巻目では魔王ブリギッド、ブージャム、デアドラと性格が異なり、武人タイプだったり戦略家だったりで戦争の方針でモメてます。まあ人間たちのように足の引っ張り合いをするわけじゃないとはいえ、これまで異形といえば群れて押し寄せてくるイメージでしたからね。人間側の団結にあわせて魔王側も一段と手強くなった感じがします。
人類の悪辣さに対抗するために異形も、悪辣に立ち回る必要があることを目指すとかさあ。楽しみでしかありません。
また人類連合軍に協力しない人間勢については……ザイロを敵に回すとロクなことになりませんね。聖騎士仲間からもザイロと敵対した人間を心配しだす始末。そしてそのとおりザイロと敵対した勢力は酷い目にあいました。
こういう無茶苦茶をできるのが、勇者刑に処すの勇者たちの面白さですね。
アニメか企画も進行中で一層の盛り上がりが楽しみです。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません