アルマーク【ラノベ感想】

2025年11月6日

アルマーク
著:やまだ のぼる
イラスト:出水 ぽすか
出版:MFブックス

アルマーク1 魔法学院入学編 アルマーク2 北からの暗殺者編

アマゾンのあらすじより

戦乱の絶えない北の地で、傭兵の息子として生まれたアルマーク。彼は南から来た老人に魔法の才能を見出されるが、傭兵として成長し、幼くして一人前の戦士となる。しかしアルマークの父は、彼に平和な南の地で魔術師となることを望む。父との約束に従い、アルマークは旅に出る。ノルク魔法学院に入学するために。

二年の旅を経てたどり着いた南の学院での暮らしは、北の戦場とはすべてが違っていた。平和な南の国々では魔法が発達し、北の傭兵は蛮族と見なされていた。傭兵の出自を隠さざるを得なかったアルマークは、同級生の少女・ウェンディたちの助けを借りながら、魔術師としての一歩を踏み出す。しかしクラスでは、貴族と平民の間に見えない溝が横たわっていた。アルマークは北の傭兵としての力をもって、クラスメイトたちを、そして学院を変えていく――。

彼は、自分が既に闇を巡る長き戦いの渦に巻き込まれていることをまだ知らなかった……。

 

感想

傭兵だった少年が魔術師を目指して学院に入り、学友たちと成長していく正統派ファンタジーです。
面白すぎました。単行本サイズで1巻2巻同時刊行だったのに、2日で読み切ってしまいました。ノンストップな面白さで、ファンタジーが好きな方へはオススメです。

 

主人公のアルマークは、傭兵の息子です。才能にあふれていて、わずか9才で戦場に立ち、12才となった頃にはもう一人前の戦士になるぐらいの腕前です。
しかしいくら才能があっても、そこは戦場の生活で危険だらけです。父はそれを嫌ってアルマークを魔術師とするべく、魔法学院へと送り出すことになります。
そういう経緯でアルマークが入学したところから物語は始まります。

 

導入からしてコレですよ。
アルマークの戦場シーンでグッと引きつけて、そこからの魔法学院への切り替えです。面白さしか感じませんでした。私は導入段階で主人公のアルマークを好きになってしまいました。

そして学院生活がさらに面白くなるしかけもあって、アルマークは2年遅れての入学をすることになります。だから新入りって扱いですし、クラスメートはみんな魔法を使える中、アルマークだけ魔法がさっぱり分からない状態になっています。
こうした逆境でもくじけることなく、前向き突き進むアルマークです。まさに少年漫画の主人公みたいでかっこいいですよ。

 

また13才の学院生活です。魔法を使えないとちょっかいかけてくる子とか、平民あがりのアルマークにきつくあたってくる子とかもいます。そんなクラスメートたちとブツかるだけじゃなくて、友情も育んで学び成長していくんですよね。読んでいて気持ちがいいファンタジーでした。
ハデなインパクトなんかはないんです。児童ファンタジーにも通じる地に足ついたファンタジーです。
それがまさに私好みの展開で、とても面白かったです。

 

2巻目の感想

1巻目は作品の舞台背景とか、学院内の人物の顔見せとするとこの巻では、アルマークの経歴が生きるイベントが発生します。
その内容が副題にある"北からの暗殺者"で、暗殺者相手の大立ち回りです。

アルマークを慕って勉強の面倒なんかもみてくれた少女ウェンディに魔の手が迫ります。 その魔の手からウェンディを救うのが2巻目のメインイベントです。ウェンディの背景までしっかり掘り下げてから、あんなラストでの行動になるとはちょっと想像してませんでした。意外な一面をみせてくれる演出は良かったです。
そして平民仲間のモーゲンも含めて、キャラクター1人1人がとても魅力的です。面白かった!

 

3巻目の感想

これですよこれ。

最初は険悪だったりしたクラスメートと向き合って、絆を深めていくこれですよ。クラス16人分の名簿が載って、名前とキャラ紹介がついたのはとってもうれしいです。

1巻目では険悪だったトルクと武術大会に向けて、クラスそろって特訓にはげむ様子は良かったですね。3組の連中の鼻をあかしてやれと応援しながら読みました。

また孤高のお嬢様、レイラとも距離は縮まるのか? どうにも時間はかかりそうですけど、デレに期待するところです。

どうやらアルマークたちは大きな目的のために、学院へ集められたこともわかりました。正体不明のあの戦士とかなんなんでしょう?
ワクワクさせてくれる大冒険が、この先にあるんでしょって期待がドンドン高まります。

 

気になるのでは、北の傭兵であるのに負い目を感じるアルマークの内面です。
クラスメートに怖がられたくない。嫌われたくない。中でもウエンディから嫌われたくないとの思いが強いです。
モーゲンみたいにきっと分かってくれるよ、と私は思いますが少年らしい悩みですよね。ここを乗り切ってさらにアルマークが成長できるかも楽しみです。

 

4巻目の感想

武術大開編です。

4巻目は電子専売だったので一瞬、見落としかけました。厳しい状況の中、続刊を出してくれてよかったです。
気になっていた武術大会の続きをよめました。

アルマークたち平民メンバーと貴族の子弟の戦いは、ネルソンにしろモーゲンにしろ戦い方や心構えが一人一人ちがって熱かったです。あのツンツンなレイラがみせた勝利への執念と、それまで感じていた挫折と孤独も心を打ちました。
武術大会を通じていっそうアルマークたちの繋がりが強くなった気がします。

 

この作品にででくるキャラのセリフって、印象に残る強い言葉が多いんですよね。
一気にキャラへの愛着がつよくなります。
武術大会でアルマークがみせた戦場の名乗りなんて、思わず声が出そうになるほど言葉が強いシーンでした。

 

そして後半のウェンディがみせたシーンも私の印象に強くのこりました。

どうしてもアルマークは北方生まれで、厳しい環境で傭兵の生き方が身についています。だから集団をまもるために個を切り捨てることに是とします。

それに対しウェンディは、そんなことを絶対に許しません。誰かを犠牲にして助かるなんてダメだ。みんなを救おうとするんです。
その時に見せた意志の強さがとても美しかったです。これぞヒロインですね。
そしてそれだけの我を貫ける強さをウェンディは身につけてきてますからね。1巻目からの成長をすごく感じるシーンでした。

 

どうしてもアルマークは北方の生き方が身に染みついています。そんな彼に平穏と安らぎを与えられるのは、ウェンディしかいないんじゃないかと私は思ってます。

まだまだ試練は続くみたいですし、つぎはどんな冒険が待っているのでしょうね。

 

広くオススメできる作品です。
コミカライズもすごく受けそうな王道ファンタジーです。単行本で手を出そうかちょっと悩む……という場合は、まずコミカライズ版から入ってみるのもオススメします。

 

やまだ のぼる  KADOKAWA  2022-08-25

 

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