魔獣医とわたし【ライト文芸感想】
魔獣医とわたし 灰の世界に緑の言ノ葉
著:三角くるみ
イラスト:切符
出版:富士見L文庫
アマゾンのあらすじより
捨てられた少女を拾ったのは、孤独な悪魔だった。「僕と契約をするか」19世紀フランスの片田舎で、親に捨てられた少女ニニは死にかけていた。そんな時、彼女の前に美しい悪魔が現れる。彼の名はダンタリオン。甘い物が好きで思慮深い、魔獣専門の獣医だった。ダンタリオンと契約し、魔界で悪魔の使い魔になる――過酷な生活を覚悟したニニだが、思いがけず手厚く庇護されて、少しずつ心の凍った部分が溶けはじめ・・・・・・。ニニに甘い悪魔ダンタリオンと怠惰な居候悪魔ベルフェゴール、人間ニニと魔獣たちが織りなす、いびつであたたかな主従物語。
感想
親に捨てられた幸薄い少女が、悪魔に拾われて使い魔になるお話です。ご主人様となる悪魔は、ダンタリオンです。登場する悪魔達は人間くさくもあり、人間とは異なった理屈で生きていて隔絶感があります。人と悪魔の価値観の違いが、ハッキリしていて面白かったですよ。
ダンタリオンは、主人公のニニへ使い魔に向けた接し方が、親切というか寛容すぎると思う態度で応えてくれます。大切にしようとしているのが丸わかりです。それに比べてニニは忠実な使い魔じゃなくて、ワガママをいったり衝動的な振る舞いが多いです。いかにも子供がダダをこねるみたいだなぁと感じるところです。
それでもダンタリオンはニニに優しく接し続けてくれるので、前半はチグハグな主人と使い魔な関係が繰り広げられます。このような2人を中心に魔獣医として日々を過ごす中で、家族愛・隣人愛に気づかせてくれた温かいお話です。『魔法使いの嫁』みたいな人と悪魔のハートフルストーリーが好きな方にオススメです。
次は本作で私が一番刺さったフレーズです。
“縁のはじまりはいつだって偶然だ。定められた出会いなぞ、ひとつもない"
なかなかに深いフレーズで、とても温かいお話でした。
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