勘違い結婚【ラノベ感想】

2024年6月16日

勘違い結婚 偽りの花嫁のはずが、なぜか竜王陛下に溺愛されてます!?
著:森下りんご
イラスト:m/g
出版:オーバーラップノベルスf

  勘違い結婚 勘違い結婚2

アマゾンのあらすじより

勘違いで竜王陛下から求婚!
偽物の花嫁なのに、なぜか溺愛されてます!?

田舎にある弱小国グリレスの王女ミレーユ。
行き遅れの彼女のもとに突然、大国ドレイクの王カインとの縁談が舞い込んでくる!
曰く、グリレス国の「祈年祭」で一目惚れをしたと。
しかし理由を聞いてもミレーユの困惑した様子は変わらない。
なぜなら――
「私、今年の祈年祭は参加しなかったわよね?」
彼女は祈念祭を欠席していたのだ!
代わりに出席していたのは他国に嫁いだ妹のエミリア。
すぐに人違いの求婚だと発覚するが、父王の指示で身代わりとして嫁ぐことになり!?
――そうして訪れたドレイク国。
ミレーユは別人だとバレないように顔を隠し嫁ぐが、結婚の儀式でカインに顔を見られてしまう!
元々身代わりに反対だったこともあり、騙した罪を背負う覚悟を決めるミレーユ。
けれども予想外にカインからの追求はなく、その後も花嫁として大切にされて……?
恋愛初心者ふたりの勘違いラブコメディ、開幕!

感想

森下りんごさんの前作『転生前は男だったので逆ハーレムはお断りしております』の勘違いコメディが私は楽しくて好きです。それで今度はタイトルに”勘違い”と銘うってのシリーズとくれば、もう読むしかありません。
2巻まで通して読みましたけど勘違いとコメディがたっぷり。その上、カインの激重溺愛ムーブまであってとてもよかったです。

 

クズい妹ばかりが溺愛されて魔術が使えない主人公は、家族内で邪魔者扱い。そんな気の毒な主人公のミレーユが、大国ドレイクの王カインに見初められるシンデレラストーリー!という大筋のライトコメディです。

適度なざまぁ & ドレイクの国にうつってミレーユさまスゴい連発!の王道展開。そこにぶち込まれつつける勘違い要素が、化学反応を起こしてずっと楽しかったです。

 

まずミレーユは「ドレイクのカインから求婚されるなんて妹と勘違いだ」と思っていますけれど、そんなことはなく本命はミレーユです。読者にはすぐ子供の時にあってたあの子だよ!と分かると思います。
しかしそこは勘違い。何百年といきるドレイクにとって30年ぐらいしか生きられない齧歯族のミレーユとでは、時間感覚が違うんです。
その上、ドレイクは幼少期と青年期で姿も違うのですが、これも「ドレイクの常識、他種族の非常識」です。正式に婚約にすすんでいってからも「ドレイクの常識」が、すれ違い・勘違いを引き起こしつづけて楽しいだらけです。

 

例えば「ドレイクの常識」にどんなのがあるかというと、結婚式をあげるまで婚約者に触れられません。触れるとカインは燃えて灰になります。これは強者であるドレイクの執着心からです。式も前なのに暴走は許しません、とこんな制約が課せられているんです。

そこでカインはミレーユが大好きだから手を握りたい、触れあいたいと熱望するわけです。でもそうするとカインの体は燃えてしまいます。それなのにカインときたら治癒魔術で直しながらなら軽いスキンシップまではイケるとか、欲望に忠実すぎるムーブをしてしまうのですよ。

ここでスキンシップを図りたいカインと危険なことは絶対阻止したい臣下たちとの激しい攻防が起こります。この間、当のミレーユはカインに好ましく思っているとはいえ、大大大好きまで至っていませんからね。その温度差もまた面白いです。

 

そしてミレーユは齧歯族と書きましたが、本作の登場キャラは竜とか虎とか何かの生き物の血を引いています。純粋な人間はいません。そして強い生き物を先祖にもっている種族は強いという世界です。
竜であるドレイクのカインは最強ですね。対してネズミである齧歯族のミレーユは最底辺です。

先祖となった生き物の特徴を受け継いでいて、種族間でも常識が異なるのも楽しい要素です。1巻目では俺様系なドレイクの非常識があり、2巻目では弱者の生存戦術な齧歯族の非常識お披露目となっています。

 

どうもミレーユは齧歯族の中でも変わりものっぽいんですよ。表紙のイラストを見る限り人間っぽい容姿ですし。分かりやすい齧歯族は彼女の両親や、侍女のルルです。特にルルは小柄でハムスターみたいにジッとしていなくて天真爛漫な女の子です。前歯がチャームポイントです。そして先祖の特徴が強く出ていて勘が良かったり、帰巣本能なんて原始じみた能力まで持っています。

で侍女のルルはミレーユの忠臣です。ミレーユ以上に彼女の素晴らしさ、スゴさを信じています。
心の底から彼女のことを尊敬していて愛らしいんですよ。無邪気で天真爛漫すぎるのも周囲で勘違いばかりおきるので全く気になりません。
ルルのサイドストーリーだけで丸丸1章読みたく感じるぐらいに魅力的です。

だってモフモフな小猫を前にして、齧歯族の本能から敵対心を出して全力拒否の仕草なんて可愛すぎませんか?

 

先祖の特徴はドレイクも大概で基本的に俺様系です。自分ファーストです。
そこで大変素晴らしいことに「好きなものに執着する」種族的ディープラブ属性持ちです。嫉妬心はMAXです。伴侶に誰かが思いを寄せるどころか、自分より先に先に付き合っていた異性がいたと分かろうもんなら物理的に燃やしにきちゃうんですよ。

カインだけじゃなくて両親・兄弟とも同じです。だから愛がとんでもなく重いんです。種族的ヤンデレです。愛は重ければ重ければいい勢にはオススメもオススメです。ミレーユとの温度差が最高に楽しいです。

 

まず当面の目標は正式に式を挙げることですね。3巻目は挙式に向けたカインの奮闘になるのかな? それから面倒な男に目をつけられたルルのパートナー選びも楽しみです。

 

3巻目の感想

最高の結婚式でした。ようやく式を挙げて正式な夫婦となれましたね。おめでとう!

前回で竜は種族的ディープラブ属性持ちというのが明らかになり、その理由が初代の赤竜に遡って明らかになりました。これによって俺様すぎる性格は、竜の特性だったとして結婚せずに婚約者に触れると、竜の側が焼けて灰になるのはそういう理由だったからなんですね。
まさか初代の戒めが現在まで繋がっていたとは。

そう考えると竜ははた迷惑な生物ですね。

婚約者を傷つけた報復が国家消滅とか、お祝いがてらに火山を噴火させるとか、性格と能力のバランスが壊れていてミレーユがドン引くのも当たりまえです。

 

カインだけでも厄介だというのに3巻目では、カインの両親が登場しました。

結婚式をあげるんだから両親へのあいさつで欠かせないとはいえ……この最後にきて一番のクセつよキャラがきましたね。
怠惰すぎるカインパパとか武人過ぎるカインママとか、いくらなんでもインパクト強すぎます。
イラストからは想像ができないクセつよでした。いやー覇王の登場ですね。

 

こんな風にクセつよと勘違いで笑わせてきたかと思っていたら、しっかり後半には感動できて思わず涙なネタまで入れてきてくれたとは。

ミレーユとルルの秘密なんて感動ものでした。2人とも齧歯族にしては、不思議なところをいっぱいもっていた理由にも納得です。
そしてちゃんとクセ強すぎる両親にミレーユが受け入れられて、ホントよい式でした。

 

登場人物みんなハッピーエンドで大満足です。

 

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