成金令嬢の幸せな結婚【ラノベ感想】

成金令嬢の幸せな結婚 〜金の亡者と罵られた令嬢は父親に売られて辺境の豚公爵と幸せになる〜
著:山夜 みい
イラスト:桜花 舞
出版:講談社ラノベブックスf

  成金令嬢

アマゾンのあらすじより

「君は金にがめつすぎる。婚約を破棄させてくれ」
ずっと王妃教育を受けてきたベアトリーチェは王太子に婚約破棄を告げられた。毎晩開かれる無駄なパーティー。浮気相手に送る豪華なドレスの数々。ベアトリーチェは最後に臣下として浪費を抑えるように進言するも、逆に『金の亡者』と虐げられ、王宮から追放されてしまう。
しかも、王太子は自分の借用書を実家に擦り付けて来た。
「お前のせいで領地が潰れるではないか! どうしてくれるんだ!」
領地を立て直そうと一生懸命だったのに、ベアトリーチェは父に『ブタ公爵』と名高い辺境のアベル・オルロー公爵に売られ、借金のカタにされてしまった。
しかし、オルロ―公爵領は荒れ地で有名。
城もボロボロ、収穫は見込めず、辺境に相応しい有様だった。
「この領地には無駄が多すぎます!」
ベアトリーチェは公爵領の改革を決意する。成金令嬢と呼ばれたトラウマから最初は尻込みしていたが、なりふり構っていられない。
改革が進むにつれて税収も上がり、順調に借金を返済していく。
そしてオルロ―公爵も『ブタ公爵』からだんだんと変わってきて……。
「俺の容姿を気にせず旦那と呼んでくれた君を、心から愛している」
「私は異性からの愛よりお金のほうが好きです」
これは、ちょっとズレた令嬢と距離感のおかしい公爵のじれったい恋愛譚。

感想

とても面白かったです。

主人公のベアトリーチェは王太子から婚約破棄 & 結納金目当てで豚公爵と身一つの政略結婚と理不尽コンボを初手で喰らいます。

なんと彼女は『金の亡者』とよばれるほど領地経営の才能があって、超絶優秀な内政屋さんだったんです。とはいえいくら結果を出していても女性が領地経営に口を出すことにいい顔はされてきませんでした。『成金令嬢』とよばれるくらいですし。
だから婚約破棄されないように最初は我慢していたんです。でもポロっと領地経営に指摘をしたら、オルロー公爵から大絶賛のリアクションです。そこからベアトリーチェが生き生きと自分の能力を発揮するようになり、オルローのために領地改革に取り組むのが痛快でした。

 

そしてオルロー公爵がですね、理解ありすぎて聖人君子で最高なんですよ。
彼ったら女性がお金稼ぐことに全く偏見がないんです。本心から「君が来てくれて本当に助かったよ」といえちゃうんです。領民への接し方なんかもみると、オルローは本当に人を信じることができるんでしょうね。

そうやってオルローが心を開いてくれたのをうけて、ベアトリーチェも正直になる → お互いの良いところをよりしっていく、段々と恋に落ちていくのがまーよかったです。一気にじゃなくて段々と好きになっていくんです。
加えてあえてベアトリーチェが『成金令嬢』である自分の全部をさらけ出しても、オルローが離れていかないか試すシーンなんかもよかったですね。もうこれ以上傷つかないように予防線をたっぷりはって、素のベアトリーチェをさらけ出したら。返ってきたオルローの反応はアレですからね。とっても甘くてとってもよかったです。

オルローがサラっとベアトリーチェが欲している言葉をくれるんですよね。この甘さいいぞ。

 

また本作も山夜さんの作品でした。

こんな風に領地改革 & 甘い展開で展開しながら、後半で一気に泣かせにかかってきます。
たしかに泣かせにくるシーンを読むと、それまでの不自然な展開を埋める仕掛けなんですよ……。にしてもそうきたかあ。不意打ち展開に思わず涙でした。

 

それから本作のラスボスさんです。
完全無欠で強敵すぎやしませんかね? 主人公たちも手を尽くしているのに勝ち筋が全く見えませんでした。しかもラスボスさんときたら冷徹・非常ではありますが、悪じゃなくて憎みきれない立ち位置だってのも絶妙なところです。
ベアトリーチェはどうやってラスボスさんに立ち向かうのか? 終始ハラハラな展開でした。

 

オススメです。面白いです。是非とも読んでみてください。

 

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