アスクラピアの子【ラノベ感想】

アスクラピアの子
著:ピジョン
イラスト:増田幹生
出版:マッグガーデンノベルズ

  アスクラピアの子

アマゾンのあらすじより

暗黒の神官が、神の力で異世界を支配する! 始まりは名前も知らない異世界の地だ。そこの薄汚れた下水道で、俺は浮浪児共に抱き着かれた格好で目を覚ました。チート?んなもんねえよ。あるのは、朧気な『ディートハルト・ベッカー』とかいうガキの記憶と、そいつにあったアスクラピアの『神官』としての力。俺は生き残る為に、こいつを少しばかり使える力にしなきゃいけない。アスクラピアの二本の手。一つは癒し、一つは奪う。復讐と癒しを司り、自己犠牲を好むしみったれた女神、『アスクラピア』に永遠の祝福(災い)あれ!!

感想

あらすじの”復讐と癒しを司り、自己犠牲を好むしみったれた女神、『アスクラピア』に永遠の祝福(災い)あれ!!”が気になって読みました。予想通りのクセあるダークファンタジーでした。面白かったです。

 

まず主人公は裏社会の頂点を極めた悪党です。それが病没して異世界する異世界転生ものです。
そして転生先が『ディートハルト・ベッカー』、表紙中央で金髪の子どもで神官の能力をもちだったんです。

で冒頭はスラムの子どもたちに混じって、捨てられたもども同士助け合っていくんだというスタートです。

 

普通なら主人公が転生前の知識やディートハルトがもつ神官の能力で、スラムのみんなで幸せになっていく展開が定番ですよね。ところが転生後の世界でも裏社会の頂点に君臨するんだって主人公なんですよ。

ファミリーは命をかけて守る気概をみせながら不要とおもえる人間は、あっさりと見捨ててしまう冷淡さも持ちあわせています。

 

印象的な作中の表現として「ゴミ箱が必要」と主人公は述べています。

この意味は誰でもなんでも大事にしたり守ってやることはない。気に入らないものはゴミ箱に入れて考えないようにする。自分の中でいるものとゴミをわけるって発想をしているんです。

 

だから主人公にとって必要なドワーフの少女は大事にします。分かりやすいぐらいスラム内でひいきします。
一方で反抗的な猫耳少女は罵倒するし、怪我も放置と容赦ありません。

 

この主人公は全然やさしくないんです。その上、貴族 ― 平民 ― スラムと社会の隔たりもとんでもなく厳しい世界です。

それだけ厳しい世界でどうやって主人公がファミリーをつくって、成り上がっていくかが気になりますね。

 

それから表紙もよく見て欲しいです。主人公の表情はうさんくさく見えませんか?
これ作中で度々登場する主人公なりの笑みです。だいたい下心100%ですね。

 

あと主人公ってもと裏社会のトップだったこともあり、普段は尊大な俺様系です。ものすごく上から目線です。
そのかわりに敬語を使えないなんてことは無くて、相手によって態度をコロっと変えます。子どもらしくない主人公です。

貴族に敬語で接している主人公をみていると、裏でロクなことを考えていないんだろうと思っちゃいます。

 

転生した肉体の持ち主だったディートハルトも、神官としての説教癖とか上から目線的な影響もでているのかな?

 

だから万人受けはしないと思います。主人公はロクなやつじゃありません。
だけどデカいことをやってのけそうな主人公でもあります。ダークな世界観の作品が好きな方へはオススメする作品です。

 

 

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