美形インフレ世界で化物令嬢と恋がしたい!【ラノベ感想】
美形インフレ世界で化物令嬢と恋がしたい!
著:菊月ランララン
イラスト:深山キリ
出版:一迅社アイリスNEO
アマゾンのあらすじより
異世界に転生して美少年になれたと思ったら、どこを見ても美形だらけな世界に転生してしまった元日本人の男爵令息アマデウス。彼は好きだった音楽にのめりこんでいるうちに、伯爵令息に成り上がっていた!? こうなったらもっと音楽を楽しみたい! と前世知識で資金を稼ぎ、音楽仲間を集めていたある日。化物と恐れられている公爵令嬢ジュリエッタに出会ったのだけれど……。どう見ても美少女なんだが? この世界どうなってんの!? 美形がインフレしている世界で音楽&知識無双する少年と化物令嬢の転生ラブコメディ!
感想
価値観が違う世界へ転生してのギャップからくるコメディと、苦難を乗り越えて幸せをつかみ取るヒロインがカッコよかったです。
心の底から2人が結ばれ、幸せになって良かったと思えるよい作品でした。
転生先は美形がインフレしていて、美醜の感覚がおかしくなっている設定がまず面白かったですね。
異世界へいってみたら周りはイケメン & 美女だらけという世界は時々あります。ところが本作で面白いのは、イケメン & 美女しか存在しないんです。
屋敷のメイドはおろか農家のおばちゃんや、お爺ちゃんでさえも美形しかいないんです。
現代から転生した価値観をもっていれば、眼福でしかないでしょうね。
それがあって主人公は使用人や平民であっても、美少女・美女・美魔女あつかいの言動をついしてしまうんです。ですから異世界感覚からしてみれば、女性なら誰でも褒めまくるプレイボーイにしかみえないという勘違いが発生します。主人公は本心で褒めている言動が、不細工扱いされる自分に夢を魅せてくれる貴公子!との勘違へ繋がっていくギャップは楽しかったです。
ここで気になるのは、美形しか存在しない世界で不細工ってどういうこと??です。
実はみんな美形であったとしても、同じ顔の人はいないのがポイントです。
そこで美醜を分けるのは、そばかすやホクロがあるとか、肌や髪の色が判断材料になっています。なかでも色は重要な要素です。
特に神話・宗教観的に黒は不吉な色とされていて、ヒロインみたいな黒髪は不吉の象徴となっています。
理想の美からちょっとでもはずれていたら、不細工だって世界観なんです。黒髪ロングの美少女は許されない世界ですよ。
しかも美の価値観がいき過ぎていて、不細工だと化物令嬢と迫害されるんですからね。
さて本作のヒロインはジュリエッタ、表紙の黒髪美少女です。
たしかに顔におおきなアザはあります。でもベースは美少女なんです。ですから主人公にしてみたら、こんな美少女を化物令嬢あつかいって変だよねと、まったく通じませんでした。
そしてジュリエッタの方はというと、普通に接してくれるのは家族ぐらいと辛い人生をすごしてきていました。結婚による幸せはあきらめていて、自分を受け入れてくれる相手なら誰でもいい、受け入れてもらえるのだったら、ただそれでいいと悲しいことをいうんです。
なんだったら結婚相手には愛人を作ってもらって、本当の愛情は愛人と育んでもらったらいいまで達観しちゃっています。
ジュリエッタ本人が何も悪いことをしていないのに不憫すぎます。彼女は思いやりにあふれて、心根は美しいです。
しかも家族からもちゃんと愛されていることもあって、どうにか!どうにかジュリエッタを幸せにしてくれと願いながら読みました。
ジュリエッタがいかに主人公によって救われたと感じたのか、そして貴公子である主人公のために自らを変えていった勇気あふれる行動をみてほしいです。
恋によって少女が強くなる姿は感動的でした。相思相愛なハピエンが好きな方へは、是非ともオススメです。
最後に本作でもう1つの重要要素についても。
このお話では音楽もキーになります。なにしろ主人公の名前がアマデウスです。史実の「アマデウス・モーツァルト」と同じ名前になっています。
もちろん本作でも音楽の神童となります。異世界に現世の音楽知識を持ち込んで、音楽によって人を幸せにしていく世界をつくっていくもテーマになっています。
基本は恋愛のお話でありながら、異世界知識チート要素もありずっと楽しく読むことができました。面白かったです。
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