王子が空気読まなすぎる 【ラノベ感想】

王子が空気読まなすぎる
著:kae
イラスト:くろでこ
出版:ガガガブックスf

  kukiyome

アマゾンのあらすじより

「おい、なんで侯爵令嬢をいじめているんだ?」母が亡くなり継母と義姉、その友人から虐められていたナタリー・レノックスは、ある社交会で “空気が読めない”と評判の王子ミハイル・リラドヴィアに助けられる。その日から彼と一緒に過ごす時間が増えていき、同じ学園に入学することがわかったある日ーー「僕の婚約者になってよ」「お、お断りします!」空気の読めない発言に、今度はナタリーが振り回されてしまう!? しかも、どうやら私には前世の記憶があるようで……? これは、ナタリー、ミハイル、その友人たちを取り巻く、恋と友情と世界の謎をかけた物語。

感想

ナタリーに好きを伝えようとがんばる王子ミハイルくんが、いじらしくかわいくて面白かったです。

タイトルは『王子が空気読まなすぎる』となっているので、私は好きが伝わらなくて王子が斜め上ムーブをするもんだと思っていました。

ところが王子の「空気が読めない」はポーズに過ぎないのが正解でした。自分がスペアの第二王子だというのを生まれたときから理解して、第一王子をたてて国内が平和になるよう狙って行動していたんです。
その行動にあるのは兄を愛する兄弟愛です。後継者争いなんてせずお互いに尊重しあう兄弟愛はよかったですねえ。

 

ということで、タイトルから王子の空気が読めないムーブを期待していると、あれって?感じるかもしれません。
ただその代わりに軽めに空気を読めないキャラがいます。

それはそう、主人公のナタリーです。安定の転生者で、小児科病棟の看護師をしていた前世知識をもっています。この子が元大人の割りに察し悪いんですよ。

 

9歳児だった最初の出会いこそ王族と臣下の娘の関係でした。けれど幼馴染みのように交流をもった上に、婚約者候補の内の一人に入って欲しいって、王子から直接頼まれたら、どう考えたって第一候補ですよね? 普通だったら人を通じて降りてくるお話ですからね。

それなのに主人公ときたら自分をその他大勢の一人だと信じ込んじゃって……、それでいて主人公自体はきれいで人気者なんだから王子が気の毒すぎます。

きわめつけは主人公ときたら看護師時代の感覚で、王子を年下の子ども扱いすることがあるんです。だからって「いいこいいこ」って頭をなでたりしますか?
同世代の大人びた女の子から頭をなでてもらって、「いいこいいこ」でしちゃうとか、なにをやっているんですか。このイベントは確実に王子の性癖を歪めただろうと思います。
またこのときのイラストもいいんですよ。やはりくろでこさんのイラストは、こういうラブコメにブッ刺さります。

 

どうか王子の純粋な思いが通じてほしいものです。

 

ラブコメのお話だと想像して1巻をよむと、それ以外にも主人公以外の転生者とか、国内の治安不安定とかについてのページも結構ありました。

主人公以外にも現代日本からの転生者は意外とおおくいて、転生者同士で早々にネットワークができあがったのは新鮮でした。スキルやギフトがある世界じゃないので、知識チートの展開は本筋じゃなのかな?
国内治安については、食い詰めて流れてきた難民が犯罪に走ってしまうことに、触れているシーンもあります。

 

なおどっちも1巻目のラストとは関係ありません。それで消化不良感を覚えていたのですが、2巻目製作へ向けた動きが進んでいたようで安心しました。
特に転生者同士のネットワークは楽しくなる予感がしていて、続きが楽しみです。

 

 

同レーベルの感想も読んでみる

 

ガガガブックスfの感想

 

Visited 14 times, 7 visit(s) today