7 Knights To Die 【ラノベ感想】
7 Knights To Die
著:道造
イラスト:めいさい
出版:KADOKAWAの新文芸
アマゾンのあらすじより
乙女の潔白を証明するのは、7人の騎士による決闘裁判<タイマンバトル>!
長きにわたる対外戦争に勝利したザクセン王国。辺境伯の令嬢イザベラは王宮にて行われた戦勝記念の祝宴に列席していた。だが亡き父の功を讃えるはずのその場で彼女に告げられたのは、婚約者である第二王子アーデルベルトからの一方的な婚約破棄と無実の罪による侮辱だった! 自身と父の名誉を汚され怒りに震えるイザベラだったが、その時一人の男が割って入る。彼は辺境伯の盟友でありともに戦場を駆けた騎士ドミニクだった。彼は旧友の娘を守るため同じ志を持つ六人の騎士を集め、アーデルベルトに「神聖なる決闘裁判」を挑むのだが――。
感想
恩義に報いるために、自らの名誉や信念を貫くために、王太子へケンカをうった騎士達の物語です。デッド・オア・アライブな決闘裁判に身を投じた、熱い漢達の信念にふるえてください。燃えますよ。
騎士道物語のテイストをガチ目にライトノベルでやるとは剛毅ですね。あとがきにもあるとおり、おっさんだらけの決闘物語とかニッチすぎるにも程があります。
本当によくぞ出してくれました。
イラストもまた最高で表紙の2人いいでしょ? 闘士の肉体描写とか、渋いイケオジとか大変にテンションが上がる挿絵となっています。
本作は辺境伯に恩義を感じる7人の騎士が、無実の罪で婚約を破棄されてしまった辺境伯の娘の名誉を挽回するため、決闘裁判に挑むお話です。そして集ったのは下級の騎士や傭兵・剣闘士に処刑人など、身分も背景も異なる雑多な7人です。共通しているのは辺境伯に恩義を感じていることと、婚約破棄されてしまった令嬢イザベラの名誉を回復させたいとの思いでした。
この雑多な7人ってのが物語に深みを与えてくれていると感じます。
辺境伯の側近たちでなくあえてバラバラな7人の男達とすることで、剣の振り方から得意武器まで違う7人となっています。決闘の度に全く違った背景と想い、そして戦い方に繋がっていて面白かったです。
1巻目は7人戦中、2試合が描かれて両試合は全く異なる熱い勝負となっていました。
1戦目の黒騎士ヨルダンときたら不器用すぎて熱い男なんですよ。損得勘定がちょっとでもできたら、とっくに騎士の叙勲をうけているはずなんです。それだってのに辺境伯を護れなかった身で叙勲なんておこがましいと、浪人に等しい傭兵暮らしを選んじゃうんですからね。
試合だって自らここは死に番と初戦に名乗りでます。そして「死んでくれるか」と仲間に問われ、「もちろん」と笑顔で返す。そんな不器用な漢です。
試合前にあったヨルダンとイザベルの一幕は、涙なくして読めません。見事なまでの騎士物語でした。
テーマが決闘裁判で熱いのはもちろんとして、どのキャラも個性が光っているのも素敵でした。
本作の登場人物は、ほとんど男性です。
そんな中で紅一点ともいえるイザベルは、騎士たちに負けず劣らずで強い女性でした。父である辺境伯を亡くし、王太子から婚約破棄をつきつけられても気丈なことよ。決闘裁判に名乗り出た勇士達への淑女としての振るまいをみせ、ただ待っているだけじゃない強い令嬢で、彼女もまたカッコよかったです。
こんな彼女との婚約を破棄するとか、第二王子はとんだおバカさんですよ。
その第二王子はというと母である王妃ともに、作中での悪役ポジションです。
なんというか見事なまでの暗愚、王からも出来損ないと見放されてます。正直にいっていいところは全くありません。
徹底して他者をみくだすプライドの高さ、王太子の地位を乱用する身勝手さ、加えて人を見る目もなければ、剣をもって戦う勇気もないとダメダメづくしです。
見事なまでのヘイト役となっています。
彼が破滅するのは確定として、あまりにもダメすぎて第二王子側の決闘裁判の騎士が見つかりそうもないってのが、個人的に面白いなと思っています。
かなりの強者を集めないといけないのに、人望がなさ過ぎてなんと二戦目にして騎士集めに苦労しているんです。
いったいどんな奇策で第二王子陣営は、残りの5人をみつけてくるのか気になってます。
あとは作者さんが騎士道物語を書きたかったんだろうなあ、というのを感じ取れるのも嬉しいところでした。王と騎士の関係性とか、決闘裁判の制度とか、出てくる用語の数々とか歴史好きには私にはたまりませんでした。
作中の舞台となっているザクセンは、12~13世紀のザクセン公国をイメージしているんですかね? 本作の参考文献があれば、そっちも読んでみたいです。
どうか続きを、続きを出してください!
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