昔勇者で今は骨【ラノベ感想】
昔勇者で今は骨
著:佐伯 庸介
イラスト:白狼
出版:電撃文庫
アマゾンのあらすじより
世界を滅ぼす魔王との、最後の戦い。どうしても負けられぬその戦いで瀕死の重症を負った勇者アルヴィスは、最後の手段・死霊術までも使って戦いきって……スケルトンになっちゃった!? それから三年後。魔王討伐後の処理を仲間へ丸投げした勇者改めスケルトン・アルは、平和になった世界でニート生活をエンジョイしていたのだが……
『い・つ・ま・で・遊び惚けとんじゃアルヴィスー!』
――世界が彼を放っておくはずもなく。魔王が倒された後の世界で、それでも助けを求めている人はいる。骨になっても心は勇者! コツコツ世界を救っちゃう(※骨だけに)、お気楽異世界ファンタジー!
感想
あらすじにお気軽とあるように最初は仕事もせずにゲームばかりしたり、元勇者なコトはかくしてスケルトンジョーク(「骨身にしみました!」「骨だけにコツを」)を繰りだして読み出しはユルい雰囲気です。しゃべるスケルトン、その上冒険者だし超強い!というのが周囲の驚きとギャップとあわさって面白いです。
そして今は骨でも昔勇者ですから、締めるところはシッカリ締めます。困っている人がいれば手を差し伸べ、強敵にも危険を顧みず自己犠牲の精神バリバリで立ち向かいます。強くてカッコイイ、これこそ誰もが思う勇者な振る舞いをするんです。そのあたりのコミカルさとシリアスのバランスが捏妙だと思います。
ギリギリのバトル続きでコンピューターゲームのバトルシーンを文字にしただけって雰囲気にもなりませんし、天然たらしで気がついたら周囲はハーレムだったとしても違和感がありません。また各巻で大小様々なエピソード構成なので読んでいて飽きないのが良いです。
2巻目は同行することにハルベルがある意味中心です。まぁハルベルは1巻から通して最重要キャラですが。
学園に入って冒険者みたいな試験を受けて、主人公はうしろから新人をバックアップするこれぞ異世界物!って感じがします。前半は同行するメンバーを掘り下げるお話で、後半は主人公が強敵とのバトルがあります。このあたりから神様が絡んできて、1巻目の前半と比べると一気に話の規模が大きくなっています。
3巻目ではエルフの国に舞台を移し、ずっと名前ぐらいしか出てこなかった神官イザナが登場します。アルに対して強くもの申したり、実力行使すらもできるツッコミ役がハーレムに加わるので日常シーンがより賑やかで楽しくなりました。危機を通してハルベルがさらに成長していくシーンも良かったです。
4巻目ではさらに話が大きくなり、ついに主人公一人の手に負えなくなってしまいます。そこで話の中心を主人公からこれまでの登場キャラ達にうつして、種族的には弱い人間が力を合わせて強敵を倒す演出として魅せてくれます。終盤のバトルシーンでの仲間達が実にカッコいいです。
5巻目では東国のオリエンタルな世界でチャンバラです。ここまで話が進むと勇者ご一行も大所帯なのですが、前半にそれぞれがメインで動くシーンをはさんで魅せ場を、いれてくてているのが嬉しいです。また5巻目の展開はそうくるの?と予想外でしたよ。中盤で意外感を感じて、その感じがラストで回収されます。読んでいて飽きません。
個人的には、かわいそう属性の魔王の登場シーンが多いのも楽しいところでした。
読みやすくて面白いのでオススメします。
佐伯 庸介
Visited 52 times, 1 visit(s) today
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません