アマーリエと悪食公爵【ラノベ感想】
アマーリエと悪食公爵
著:散茶
イラスト:みつなり都
出版:NiμNOVELS
アマゾンのあらすじより
私は決心した。悪食公爵にこの憎しみを食べてもらおうと──。
アマーリエは人の感情を食べるという悪食公爵を訪れる。
家族への感情を食べてもらいたくて。
現れたのは想像とは違う、不健康そうな美青年・サディアスだった。
彼は恐怖・憎しみを食べると体調を崩してしまうという。
「うーん、これは酒が飲みたくなる風味」
「人の感情を酒のお供にしないでください」
けれどアマーリエの感情はおいしいらしく、悪食公爵の手伝いをすることになって……!?
感想
最初は感情を食べる公爵とのことで背徳的な物語かな?と想像して読んだみたら、主人公とアマーリエと悪食公爵サディアスとの純愛ものでした。
当初の想像とは違っても、これはこれで幸せになれた二人が描かれていて、とってもよかったです。
お話の序盤の主人公がお姉ちゃん役を家庭で求められ、息苦しを感じているシーンです。ここらなんかは、涙を感じるぐらい真に迫っていましたねぇ。なかなかに激重です。
病気がちな妹ちゃんがいて、妹を中心とした家族。家族の愛はもちろんあっても妹とは比べ物にならない、といった具合です。
もちろん主人公も妹ちゃんを大事に思っています。でも家族の愛情はどうしたって妹に集まっちゃうんですよね。
そして妹ちゃんが長くは生きられないだろうことを考えると、主人公としてはお姉ちゃんとして笑顔で我慢せざるをえない……。
この序盤の葛藤の積み重ねとアマーリエの絶望が、見事な描写でした。
ついには感情を食べる悪食公爵に、自分の感情を全部食べて空っぽにして、とまで乞うぐらいの追い込まれぶりでした。可哀そうな主人公ですよ。
そして悪食公爵のサディアスも悩みを抱えた青年です。家業を継いだものの父と同じに振舞えず、憎しみの感情を食べては体調を崩しているんです。
そんなサディアスとアマーリエが出会い、アマーリエの感情が悪食公爵の好みな味だったことをきっかけに、純愛へとお話が進んでいきます。序盤でガッツリ落とされてからの、純愛がたいへんに落差がありよかったです。
アマーリエから漏れ出た感情にサディアスがお口モグモグと、つまみ食いをしているシーンなんて仲睦まじさの限りです。
後半には妹ちゃんを中心としたエピソードもあり、どちらも面白かったです。不憫なお姉ちゃんを応援したいと思った方は、読んでみてはいかがでしょうか。
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