化物嬢ソフィのサロン 〜ごきげんよう。皮一枚なら治せますわ〜 【ラノベ感想】

2024年5月19日

化物嬢ソフィのサロン 〜ごきげんよう。皮一枚なら治せますわ〜
著:紺染幸
イラスト:ハレのちハレタ
出版:マッグガーデンノベルズ

  化物嬢ソフィのサロン  

 

アマゾンのあらすじより

皮一枚だけの癒しの力ですが……その傷、全力でお治しいたします! 元オカンの少女が贈る 心ぽかぽかハートフルファンタジー

裕福な商社を営むオルゾン家の一人娘ソフィは、生まれつき皮膚の奇病にかかっていた。その異様な容姿により周囲から『化物嬢』と呼ばれ、学園ではいじめられる毎日。ついには退学し、屋敷で皮一枚しか治すことができない微妙な光の力の習得と勉学に励むことになる。そんなソフィは、ある日自らの病気を苦に命を絶ちかけ思い出す。自分がかつて日本に生まれ死んだアラカンのオカンだったことを!化物嬢ソフィが、今日もお客様の皮をお治しいたします!

感想

ハレのちハレタさんの美しいイラスト。まずそこに目がいきました。翻訳ものの児童文学みたいなタッチと色使い、素敵の一言です。
あらすじも人を癒すテーマで好きなヤツだったので、即注文&発売と同時に読みました。

最高でした。何度も泣ける感動作でした。

 

今回の感想は、序盤のネタバレを含みます。
本作も異世界転生なんですが、転生へ至る経緯は独特で主人公は、還暦近くまでシングルマザーで娘を育てあげてから転生だったんです。

そして転生に至る経緯も悲しい話で、主人公の娘さんは、重い皮膚病を患っていました。言及ありませんけど相当重度なアトピーじゃないかと察します。痒くて皮膚がボロボロになっても、助けてやれない。変われるものなら変わってやりたい、母子の辛さです。

しかもシングルマザーなので、娘に我慢させてしまうことも多々。それなのに母を尊敬し愛してくれる娘で、ついには皮膚病を克服して医師となった立派な娘さんです。そして晴れて結婚を決まりこれからというときに、主人公は倒れ異世界へと命を移す導入です。

 

この母子のストーリーだけで泣けますよ。その上、倒れたときに主人公が考えたのは、「救急車が間に合ったら娘に介護の迷惑をかけてしまう。ならばいっそこのまま……」と助けを呼ぶことなく、死を迎える判断です。
この娘を思う愛の深さには、心打たれました。私はラノベを読むとき親視点で読んでしまいがちなので、特にこのシーンにはは泣けてしまいました。

 

さてそうして死を迎えるはずだった主人公が、目を覚ますと異世界で商社の娘、ソフィーとして生まれ変わっていたというところから本題のお話はスタートします。

 

なんという運命かソフィーも気の毒な娘で、重い皮膚病を患っていたんです。前世の娘以上に重度のアトピーじゃないんじゃないかと思います。つねに皮膚が切れていて痒くて、まともに寝ることもできないぐらい気の毒な状態です。
その上、周囲から傷だらけで異様な容姿から『化物嬢』と蔑まれて、イジメにもあっていました。そのためソフィーが、自ら命を絶とうとしたときに主人公の意識が、ソフィーに入り込んでしまったんですね。

 

主人公の意識が入り込んだことで、前世はアラカンまで生き抜いた図太さを得て、ソフィーは逞しく新たな人生を過ごしていくんです。そこから新たな始まりです。

 

とはいえ自分の娘が苦しんでいて変わってやりたいと願っていた病を、転生先で患っているんですよね……しかもより重い症状で。
そんな辛い症状を抱えながら皮膚一枚しか直せない癒しの力で、皮膚で悩んでいる人を救いたいとソフィーは立ち上がるんです。

 

前世の人生が異世界での行動に、とてもきれいに繋がっていてすごいです。この繋がりには思わず息をのんでしまいました。
異世界へ行った主人公には、なぜ娘が医者になったのかもきっと共感できたんでしょうね。

 

中盤からは皮膚に関わる悩みをもったお客が、ソフィーを訪ねてくる医療作品の連作短編のような展開です。ここでもいろんな悩みがあり、そこに真摯に向かい合うソフィーの献身さと、それがもたらした結果に感動しっぱなしでした。

 

2巻目の感想

開始から十数ページでしっかり泣かされました。孤児院暮らしのシシリィ(6歳)とマイリィ(3歳)の姉妹は健気すぎますよ。甘えたい・遊びたいさかりなのに、子供らしく無邪気に生きられないつらさですよ。癒やしと感動の引き出しが紺染幸さんにはいったいどれだけあるのでしょう?

シシリィとマイリィがどうして「ドーナツのまん中」なんて、かわったものを好きなのか分かった時は涙止まりませんでした。

その次の獣人パパと娘のお話なんて、それ以上に私は泣かされましたからね。あんなん泣くに決まってますわ。

 

なんというかソフィのちからで「皮いちまい」治すことで、体の傷と個々の傷を癒やせるとしても。これまでに負ってきた心の傷や、変わってしまった人間関係まで一発で解決しないという魅せ方が上手すぎます。確かにそうなんですよね、こじれてしまった関係を直すのは、ソフィの人間性とか真心によるものなんですよね。

そんな素敵な令嬢だからクルトがあそこまで惚れ込んだのは納得です。2巻目はこれまで誰を癒やし続けてきたソフィが癒やされ回となっています。
クルトの生真面目さは芯が通っていてかっこいいと思う反面、クソ真面目すぎて心配になってしまいますね。ソフィぐらい柔らかいパートナーと一緒だとピッタリなのかもしれません。
クルトの真面目さが思いっきり出てしまった一世一代のシーンは、気の毒ながらも笑ってしまいました。

 

2巻完結で集大成として1巻目で癒やした人たちのその後が、2巻目に関わっているのも嬉しかったですね。治して終わりでなく治したあとの人生もあるのが素晴らしいと思います。

最後にハレのちハレタさんのイラストです。2巻はさらにスゴいイラストを仕込んでくれましたよ。
P160の見開き挿絵とか最後のイラストとか、最高としかいいようがありません。もし画集が出たら絶対に買います。

 

 

とても面白くて感動で泣けるお話の数々でした。是非とも2冊セットで読んでみてください!

 

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