ドラゴン様の召使、竜使いを引退してギルドマスターになる。【ラノベ感想】

2022年12月18日

ドラゴン様の召使、竜使いを引退してギルドマスターになる。
著:相原 あきら
イラスト:中林 ずん
出版:電撃の新文芸

  ドラゴン様の召使、竜使いを引退してギルドマスターになる。1 ドラゴン様の召使、竜使いを引退してギルドマスターになる。2

アマゾンのあらすじより

強くて可愛い炎竜スルトと従者ルルが目指す、ほのぼのギルド経営ライフ!

ドラゴンの村で竜のお世話(=召使)をしていた少年ルルは、勇者パーティに誘われて炎竜スルトと一緒に魔王軍討伐のために旅立った! そのはずが……主人のスルトが邪竜だと魔術師に難癖をつけられて、パーティを追い出されてしまう。
それでも勇者様のためならばと、ルルとスルトは意気込んで、紹介された村のギルドマスターに着任したけれど、そこはそもそもギルドもないモンスターやクエストと無縁の平和なド田舎だった――!?

感想

スローライフな空気感でギルド経営へ向けたイベントは、サクサクとすすんでいきます。会話なんかの勢いも強くってテンポが、良かった作品で楽しかったです。コメディ好きな方向けですね。

開幕から勇者パーティーを追放で定番の展開なのね……と読んでいたら主人公は、竜の召使いでノーチート持ちなの?? これはびっくり。
なんと主人公のルル・ノレールは、炎竜スルトに仕える召使いという設定でした。
竜の里でただ1人育てられた人間です。それで人間界に出すなら炎竜とセットでなら……と勇者パーティーへ送り出されてました。名目竜使い、実質召使いだったんですね。

バフ効果付の料理を作れるって特技をもっているとはいえ普通の14才です。

それで竜の活躍を嫌がった魔術師の陰謀で追い出されという追放スタートです。しかも「ド田舎の村でゼロからギルドを立ち上げろ。あ、持参金はなしな」って無茶振りです。こんな逆境を踏み越えていくのんびりコメディです。

 

本作の中心になるのは、なんといっても最強のトラブルメーカー、炎竜スルトでしょう。表紙で元気いっぱいに映っている彼女です。「ノレノレ」と主人公を呼んでべったりなんですよ。
スルトは、直上的でアホの娘風味な娘です。それでも実態は、ドラゴン様。ルルがピンチになったり、馬鹿にされたりでプチっとくると巨大な炎竜に変身してブレスっちゃう動くチート存在です。だいたいのトラブルなんてスルトが、竜に変身したら解決できてしまうでしょうね。

でもスルトって自分をルルのご主人様だと思ってもいるんです。だからルルに迷惑が、かかんないように竜の姿をなんとか隠そうともして非常に可愛らしいです。無理目な保護者ムーブもまた良きです。

ちなみに多くのドラゴンは、人間のルル大好きで過保護です。1巻の中盤で冥竜ヘルって死の竜がいて、この娘なんて特に強烈です! 登場シーンで早々に眼帯着用!! 厨二セリフを乱発する痛さをいかんなく魅せてくれます。
主人公ルルLOVE。それでいて中身は、どポンコツです。超強い冥竜なのに厨二セリフで周囲を凍り付かせるわ、常識を投げ捨ててスルトのツッコミをうけるわで個性の大暴走なキャラです。個人的に一番お気に入りです。

 

この部分はあえてネタバレです。(ドラッグ反転で表示)

テンポ良く進む本作です。作中の序盤でネタの解説をしていない箇所がありました。古参のファンタジーラノベ読者は、分かるんでしょうけど最近は、そんな見かけない設定です。

不死身卿ってノータッチ派な紳士が出てきます。「可愛いね、お菓子あげるね」ってシーンです。
この時不死身卿の馬車にある銀の小箱をスルトが、無理矢理あけると中に干からびた干し肉があるだけ。そして気づいたら不死身卿は、いなくなっていて床には灰が積もっている……

ってこれリッチ(lich)の経箱じゃないですかーーー
古いゲームだとリッチって倒しても甦るって設定なんです。そしてそんなリッチを滅ぼすには、生命力を保管する魔法の経箱を破壊するしかないんです。こんなネタをぶっ込んでくるとか気が抜けませんわ。

 

2巻目の感想

主人公ルルが所属していた勇者パーティーから、勇者の襲来です。
お金にならない依頼をうけるのは、ゲームなんかだと定番のイベントだとしても、ギルド運営とか実際の生活を考えたら絶対NGですよね。勇者がなんでも解決してしまうラノベあるあるを、コメディとしていいかんじの笑いにしてくれています。

前半ではギルド運営資金関係して、お話のお話が多いです。そこで目立つのが、資金を貸し付けている正直ゴステロさんです。
彼が見事なまでにガメつくて、「命 ≦ お金」な守銭奴なんですよ。竜であるスルトがキレたら瞬殺されてしまうのに、ギリギリを攻めるかのように金をケチることケチること。キャラがブレてなくて好きなキャラの1人です。なんか憎めないんですよね。

 

あと2巻目で分かるのは、主人公は竜に愛される特異体質ってよりも、女難の星のもとに生まれているのが面倒の元なんだなってことですね。
思い込みが激しいヤンデレっぽいキャラから、どうみても病みきっちゃってますよねってキャラにまで愛されまくってます。
2巻目を読み切るとスルトは、メインヒロインなんだなって再確認しました。輪をかけて面白かったです。

 

逆境ながらも村人の温かい支援を受けて、ギルド立ち上げは順風満帆!?
キャラクターの魅力がすごいので続いていったら一層面白くなりそうな作品でした。コメディー好きな方にオススメします。

 

ドラゴン様の召使、竜使いを引退してギルドマスターになる。 (電撃の新文芸)
相原 あきら
KADOKAWA
2022-05-17

 

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