傾国悪女のはかりごと 初夜に自白剤を盛るとは何事か!【ラノベ感想】
傾国悪女のはかりごと 初夜に自白剤を盛るとは何事か!
著:六花きい
イラスト: 藤未都也
出版:Kラノベブックスf
アマゾンのあらすじより
とある事件から“稀代の悪女”として名を轟かせた大公女・ミランダ。
人質として宗主国グランガルドへ送られた彼女を待っていたのは、望んでもいない、冷酷王・クラウスの側妃の座!?
その上、初夜に自白剤まで盛られてしまい!?「この国の全ては俺のものだが、お前は特別大切にしてやる」
持ち前の知能と度胸を駆使して、諸侯達を手玉に取るミランダ。
不器用に溺愛してくるクラウスを翻弄するうちに、大国まで攻めてきて、側妃どころか国すら手にする勢いで、ミランダは戦乱渦巻く王宮の中心へ――。謀略は得意分野です。修羅場にも慣れっこです。世評もまったく気にしません。
――それでは、何から始めましょうか。
感想
1冊まるまる傾国悪女のミランダ劇場でした。徹底して強くてかっこいいし、カリスマ性あふれる主人公のお話でとても面白かったです。
レーベルはKラノベブックスfですが、Kラノベブックスから出ても違和感ないくらいミランダの活躍と覚悟はきまっていました。
恋愛要素は思ったより薄めで、男性の方へもオススメします。
さて令嬢もので主人公が悪女という場合、噂が一人歩きしてというケースが大半で、主人公が姉に働いた非道なんかは濡れ衣です。
でも本作だとミランダは身に覚え100%なんですよ。なにせ姉にやった悪評のうち、ビンタ一発闘魂注入は公衆の面前でやらかした事実だったりしますし。
なのでミランダには悪女と評されかねない行動をしまくって、悪女といわれる理由はちゃんとありました。それじゃあなぜ傾国悪女との評判が流れるままミランダが放置しているかというと、それにも理由があるのです。
彼女の行動は誰かに救いの手を差し伸べたいとの善意からきています。
ただし実現の方法は規格外でミランダが単身のりこんで、男性陣を懐柔して手玉にとったり、恫喝に買収など何でもあります。自分の評判なんでどうでもいいから、最善手がとれる手段で突っ走ってしってしまうんです。
そうやってミランダが動けば、その瞬間にミランダ劇場が開幕となります。
彼女の巧みな弁舌とパフォーマンスに誰もが目を奪われ、いつの間にかミランダが場の中心となってしまいます。紛糾する王宮の会議シーンで側妃のミランダがいつのまにか会議の主導権を握り、誰もが彼女に同調していくくだりは圧巻でした。
カリスマ性ってこういうことを指すんだろうな、と思うのが書かれていました。
そんな素敵なミランダにも困ったとこがあります。
自己犠牲精神です。結果のためなら自分が悪くいわれようが、傷を負おうが頓着しないんです。強い人だからこそできることとはいえ、周囲の人は心配で堪らないでしょうね。
悪女とよばれるのも計算のうちで、悪女であった方が便利だからあえて噂を放置しているんですよ。
後半で武装した兵士相手に悪女として、啖呵をきるシーンは特に痛快です。
ここまでの私の感想に王であるクラウスとの恋模様を述べていないとおり、冷酷王と悪女の恋愛はページ数少なめです。女性向けってことで恋愛シーンを期待して買うと、もっと読みたかったのにとなるかもしれません。
ある意味ミランダとクラウスは似たもの同士で、いいパートナーになれると思うんですよね。悪女といわれるミランダは恋愛経験ゼロで、かわいらしい一面もありますもの。
特典SSにあったみたいな溺愛シーンも、もっと読んでみたかったですねえ。
我が道を歩んできたクラウスとか、ミランダと並ぶ側妃で《死神令嬢》シェリルとかドナテラ王女とか、もっとエピソードを読みたい魅力的なキャラが多いのも楽しい作品です。
個人的にはこんだけイベントと魅力的なキャラを詰め込んでくれているなら、上下巻でじっくりと読んでみたかったくらいです。
強くてかっこいい女性主人公ものでも、英傑クラスで上位にきそうな強さじゃないかと思います。
どうぞ読んでみてください。
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