はぐれもの最強空間魔法使いは嫁と静かにスローライフしたい【ラノベ感想】
はぐれもの最強空間魔法使いは嫁と静かにスローライフしたい
著:ウサギ様
イラスト:片倉響
出版:TOブックス
アマゾンのあらすじより
人でも、魔族でもない。どちらからも迫害される孤独な半魔族・ランドロス。唯一優しかった少女・シャルに、ウブな男は恋をした。この子を苦しめる戦争を終わらせねば。多種多様な武器と希少な空間魔法を操り、元凶の魔王を一人で打倒! ラブが止まらない最強こじらせ男は、仲間から変態、変人と慕われ(?)ながら、貢ぐ金をせっせと稼ぐスローライフを始めるのだった! シャルと念願の再会を果たして喜んでいたものの、裏では、因縁の相手が自分をおびき寄せるエサに彼女を利用しようとしていて……ある日、人質として誘拐された! ? 剣も魔法も金も、全てはキミのために! はぐれもの空間魔法使いの最狂純愛ファンタジー!
感想
最強主人公。だけど対人能力ゼロ。
人との距離感について全く取り方を知らない主人公のナチュラルトラブルメーカーっぷりが面白かったです。
タイトルに最強とあって、開幕も追放スタートなのでおなじみのパターンかな?と思ったら違います。主人公は相当愉快な問題児でした。
主人公は、半魔族のランドロス。空間魔法の使い手です。
いわるゆる≪収納スキル≫といわれる能力と同じようなことを空間魔法で実現してます。物体を自由に出し入れできます。それで多彩な武器を呼び出して戦う魔法戦士です。とりあえず最強です。魔王ソロ撃破とかできちゃいます。
でも半魔族、父親が魔族なので主人公の地位は底辺です。友人・仲間なんていません。
それどころか町を歩けば石を投げられ、まともに買い物もできないという超絶ハード人生です。それゆえに対人関係能力は目も当てられないことに……
このような背景があっての「嫁」です。
死にそうだと倒れていたときに「お腹、減っているんですか? 食べられますか?」と果物を差し出してくれたのが彼女です。で、生まれて初めて人に優しくされた主人公の発言はこうです。
「君の手の中で死にたい」
ちなみに次に彼女と会った時に主人公が、とった行動はプロポースです。
とても人との距離感がバグっていて楽しいです。
「嫁」のシャルは、孤児です。孤児院で暮らす10歳前後の少女です。
10歳前後の子にちょっと親切にされたからプロポーズして、ストーカーギリギリなあしながおじさんと化す主人公。シャル目線ではいきなり大金が送られてくるワケでホラーですよ。こんなスレ違い感が面白いです。
あとシャルはボクっ娘です。大事なことなのでもう一度、ボクっ娘です。小説のメインヒロインで一人称を「僕」にするあたり作者の熱い思いを感じますね。
主人公の壊れた対人関係は、別に「嫁」だけに止まりません。
普通なら気にしない行動なのに「もしかして自分のこと好きなでは?」と斜め上思考するんです。しかも相手が男女関係なく。どんだけ人の温もりに飢えているでしょうね。
そして愛情に飢えているからか欲求にもまぁまぁ忠実です。異性から優しくされると主人公は、コロっといってしまいます。そんな不用意な行動で「嫁」とのスローライフがどうなるのか気になります。
加えて主人公の対人能力ゼロが、作品背景の色んなところに絡んでいそうな気がします。
主人公視点だと普通に過去を語られますが、他者の心情とか機微に全然気づいていなかったのかも?? このあたりは2巻目で見えてきそうな気がします。
あとがきを読むとweb連載を経て、『はぐれもの最強空間魔法使いは嫁と静かにスローライフしたい』が内容として分かりやすいと改題されたそうです。
主人公最強の爽快感とスレ違い恋愛コメディを両方一気に読みたいという方に合うんじゃないかと思います。ダンジョンアタックや冒険者ギルトといったファンタジー要素も強めです。
本作らしさが光る面白さは、試し読みを過ぎた先にあったように感じます。ある程度webで読んで合いそうなら読んでみるのが良いかと思います。書籍版ならイラストや書き下ろしもありますよ。
1巻目を読んだ感じだとまだまだ序盤? 2巻目あたりで一気に雰囲気が変わりそうな予感です。
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