碧玉の男装香療師は、 ふしぎな癒やし術で宮廷医官になりました。【ラノベ感想】

2023年5月21日

碧玉の男装香療師は、 ふしぎな癒やし術で宮廷医官になりました。
著:巻村 螢
イラスト:こずみっく
出版:カドカワBOOKS

 碧玉の男装香療師は、 ふしぎな癒やし術で宮廷医官になりました。

アマゾンのあらすじより

出自を隠すため長い前髪で目を隠し、目立たぬように暮らしていた月英(げつえい)。香りで不調を治す不思議な術を使い細々と生計を立てていたが、突然宮廷に連れ去られ不眠症状を治すよう命を下される。その相手は……国の頂点に立つ皇太子!?

外界との扉を閉ざし自国の文化を守り続けてきた萬華国(ばんかこく)において、新しい医術で宮廷内の人々を癒やしていく月英は異端。しかし下民育ちの根性と、型破りな香りの医術――香療術の腕が、宮廷だけでなく国をも変えてゆくことに!

感想

魔法のi らんど大賞の作品です。ここの投稿サイト作品を読むのは初めてです。
だいぶ分かりやすくいお話で読みやすかったですよ。フットワークが軽すぎる皇子の勘違いムーブが面白かったです。

中華風ファンタジーな本作です。オレンジ文庫とか富士見L文庫で私が、これまでに読んできた中華風ファンタジーに比べると明るくて、分かりやすく読みやすいです。若干中華もの定番な用語こそ出てきますが、権威・序列・慣習など後宮の難しい要素はそんなありません。読みやすかったので中華ものを読んだことがなくて、気になっている方に合いそうです。

お話は皇子の目に留まってしまった主人公が、いきなり宮仕えをするなかで宮廷に新しい風を吹かせまくっていくという物語です。シンデレラ的な表舞台にあがって、脚光を浴びる要素もあるような気がします。
とはいったものの主人公の月英は、「下民」「異人の血」「異国の術」「女性官吏」とこれまでの宮廷にない属性を大量保有です。これらが巻き起こす騒動は魅力的でした。

主人公の秘密の一つは、タイトルにもなっている性別です。男装を貫いています。
これが原因で女っ気のない宮中で、周囲にいる男性陣を思い思いっきり動揺させちゃうんです。特に皇子へは「なんで男にドキドキするの??」と完全クリティカルヒットです。どういうわけかBL気質のある宮中で巻き起こる騒動が面白かったです。男装月英とイケメン皇子のすれ違い感、よいです。

 

2巻目の感想

新キャラたちとそれにまつわるお話が面白かったです。
まず万里と春延の兄弟が抱えている確執ですよ。どうしようもない悲しい過去が原因ではあるんですけど、お兄ちゃんからみたら弟は可愛いんですよね。そして弟だって内心では、仲直りしたいと思っていますし。

この時が経ってしまって素直になれない兄弟を、月英のお節介で家族愛を思いださせるお話は心地よかったです。とくに兄弟の人間臭さなんて良かったですよ。

 

あとは異国から輿入れして心を閉ざしていた亜妃ですね。異国から送り込まれてホームシックになりながら、一人耐えるお姫様です。気弱で清楚可憐でした。私は当初そう思っていました。

まさか後半であんなにイメチェンするとは……。
祖国との感動のエピソードで家族愛の美しさを味わった後に、あのイメチェンをしたのでギャップがすごかったです。ああいう女性キャラは大好きなので大歓迎です。面白かったです。

 

まじめな方のお話もしっかりしていて、月英誕生の秘密に停滞していた宮中に新しい風を起こす流れなども面白かったです。優しい世界です。
中華風ファンタジーの入門編としてオススメです。

 

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