かくて謀反の冬は去り 【ラノベ感想】
かくて謀反の冬は去り
著:古河 絶水
イラスト:ごもさわ
出版:Kラノベブックス
アマゾンのあらすじより
王弟、奇智彦(クシヒコ)尊殿下。王室の忌み子。弱小王族。足曲がり。サメの王子。
奇智彦は軍の式典で、帝国から祝いの品として送られてきたそれと対面する。
女奴隷、シニストラ。美しき獣。熊の巫女。おそるべき犯罪者。
意志とちからはここに出会い、王国をあらたな争乱が包み込む。兄が、死んだ。王が、死んだ。ならば――次の王は、誰だ?
奇智湧くがごとく、血煙まとうスペクタクル宮廷陰謀劇!
感想
策謀渦巻く宮廷陰謀劇!
王国に降りかかった謀反の冬をいかにして乗り切ったのか? とても読みごたえがあり面白かったです。
てっきり表紙のシニストラが、中心となって展開するのかなぁって思って読みました。なにせ女奴隷で熊の毛皮を羽織る自称巫女。でもって恵まれたフィジカル能力で、このビジュアルですからね。
彼女が動いて物語が動くかと思ったら……主人公である奇智彦の活躍が圧倒的じゃないですか。
主人公の奇智彦は、忌み子の王弟です。しかも足に障害があり、装具と杖がないと歩くのも大変とハンデを負っています。そんな経緯で権力争いから距離を取っているキャラなんです。だからシニストラが、お話を引っ張っていくんだと私は思ってしまったんです。
そしたら奇智彦ときたら知恵は回るし、笑顔で人を裏切れる腹黒じゃないですか。臆病者の生存戦略をガッツリみせくれるとは思いませんでした。奇智彦がそう動くようになった切っ掛けは、間違いなくシニストラなんですけど、謀反の冬を乗り切ったのは完全に奇智彦の手腕ですね。
弱い立場だった主人公が、手段を選ばない策略でのし上がる。宮廷陰謀劇の華ですね。面白かったです。
正直なところラノベとしては、ハードル高めなお話かなと感じます。ミステリとか宮廷もののライト文芸を読まれる方だと、馴染みやすいんじゃないかと思います。
でも骨太で面白いんです。作品世界の背景と登場人物の相関を把握できる中盤以降なんて、圧倒的な没入感なんです。骨太なファンタジー作品を読んでみたい方には、オススメの一作です。
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