魔王都市【ラノベ感想】

2023年9月25日

魔王都市 -空白の玉座と七柱の偽王-
著:ロケット商会
イラスト:Ryota-H
出版:ガガガ文庫

  魔王都市

アマゾンのあらすじより

無法都市を裁く、正義と仁義。

人類と魔族の講和の象徴である共存特区『ニルガ・タイド』ーー通称・魔王都市。
七柱の魔族の王が治めるこの街で、一柱の王が殺された。
均衡が崩れ極度の緊張状態に陥る中、事態を重く見た人類連邦司法庁≪不滅工房≫は事件解決のため勇者の娘であるアルサリサ・タイディウスを魔王都市へと派遣する。
彼女が組むことになったのは、なまくらキードと呼ばれる一人の捜査官だった。
法の名の下に正義を執行する、勇者の娘。違法を厭わず仁義を貫く、不良捜査官。
暴力と陰謀が入り乱れる混沌都市で、歪なコンビの常識外れの捜査が始まる。

一方、魔王都市内では各勢力による衝突が激化し、巨大な抗争へと発展していく。
刻限迫る中、アルサリサとキードは黒幕へと辿り着けるのかーー異世界舞台の世界破滅級クライムサスペンス。

感想

ロケット商会さんの新作ファンタジーです。やっぱり面白かったです。
独自設定に面白要素テンコもりでした。それぐらい濃厚なのに、スムーズに読みすすめられてページ数以上の満足感を得られました。設定濃い目なファンタジーを好きな方には、文句なしにオススメします。

 

本作、説明するのが結構大変なんですよ。これはいい、これ好き、な要素が本当に多いんです。例えばでいうと「なまくらキード」と呼ばれる不良捜査官と、法の名の下に正義を執行する「勇者の娘」のバディ要素です。

こんなの定番で面白いですよ。

正反対の2人が組んで互いの長所で補って、逆に短所は学んで成長させていきますからね。しかも性別は男性と女性で異なっていますし。

ニルガ・タイドで起きた犯罪解決に時に真正面から、時に奇策からめ手上等で立ち回る捜査の数々は、飽きることなる非常に面白かったです。

 

そして作品世界の舞台設定も独特です。

人間と魔族がいる世界で、他種族が共存するニルガ・タイドという都市が捜査の場です。
元々は共存共栄の特区だったのが、魔王の死をきっかけに魔族の抗争止まない、混沌な都市と化しています。魔族のマフィアやヤクザが、勢力ごとに実効支配する激ヤバ都市ですね。
でマフィアの庇護下で人類は、生き抜いている世界観です。命は銀貨より軽く、SF的な退廃感やダークさがたまりませんでしたね。

 

最後にキャラです。
これまた凄くて普通なキャラがいなんです。誰もかれも個性的でカッコいいん。

主人公のジードは当然として、魔族の幹部から下っ端まで個性が立ちまくっています。本の数行しか登場しない魔族のあるキャラですら、手打ちのために誰か犠牲になれって組頭からの指示に「私が死にます。」と即答するぐらい覚悟決まっているんです。

信念をもって覚悟したキャラだらけ、熱くて面白いですね。人類の最精鋭チームが見せただろう覚悟なんて、もう感動ものですよ。

「なまくら」なんて呼ばれて普段ヘラヘラしているキードの秘密や、なぜ彼がそう振舞っているのかなどを想像するとより一層、物語に引き付けられてしまいました。

 

本筋に関係しそうなことは、ここでは触れません。とにかく面白い作品なので、濃い目なファンタジーに興味がありましたら是非手に取ってみてください。とてもとてもオススメです。

 

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