信長の嫁、はじめました【ラノベ感想】

信長の嫁、はじめました 〜ポンコツ魔女の戦国内政伝〜
著:九條葉月
イラスト:久賀フーナ
出版:アース・スターノベル

  信長の嫁、はじめました

アマゾンのあらすじより

あの、旦那様……
歴史の表舞台に立たせようとするのやめてもらえませんか?

帰蝶。
織田信長の妻として知られ、その死や行方は今も議論の的。
そして、とある異世界。
魔法を極めた一人の少女は現代日本へ帰るため大魔法を発動──するがついうっかり戦国時代へと転移してしまった。
少女は付近を探索していると、大所帯を率いる精悍な男に出会う。
「……き、帰蝶なのか?」
少女の返事にその男──斎藤道三は涙した。
たしかに銀髪赤目だし、魔法も使える私は貴重だけど……私が信長の奥さんになる人?
人違いなんですけど……どうしてこうなった?

時は戦国時代。だけど魔法あり、恋愛あり。
異世界帰りの魔女が繰り広げる勘違いだらけの戦国ファンタジー、ここに開幕!

感想

戦国世界に転移。けどいつもの信長さんじゃなくて正妻の帰蝶(濃姫)として転移するのは新鮮でした。
みんなも大好きな現代知識をもって戦国時代にいったら、アレしたいコレしたいを自重せずやってくれる作品です。ものすごくノリと勢いがよくて読みやすかったです。

信長と光秀は戦国もののレギュラーとして、斎藤道三に今井宗久、森可成と戦国好きなら知っていそうな人物チョイスは渋いですね。
しかも主人公が戦国にいるぐらいだから歴史改変も始まってますし。道三の追放とか桶狭間とか史実イベントは起きるのか気になります。

 

いってみたらこの作品って主人公無双なんですよ。天才的な魔法の使い手で護衛は入らないし、転移も飛行もお手のものなんです。そして身分も道三の娘でお姫様ですから美濃にいたら権力的にも無敵です。誰も止められないから暴走したら止まりません。

で暴走しちゃうのが中の人のミリオタ成分です。
武器のスペックを暗唱できるくらい兵器オタと戦国時代、それに信長とくれば……種子島無双は不可避でしょうね。初期の信長に大量の種子島を渡したら歴史の大改変は不可避です。
そのうち大筒も開発して戦国時代の攻城戦まで破壊しちゃったりして。

 

こんだけ主人公が好き放題しながら嫌な感じじゃないのは不思議です。私は無双系の主人公は好きじゃなくて、もし男性黒髪短髪主人公だったら拒否反応起こしていたと思います。
でも本作だとそんなことなくて帰蝶は自由だなあ。ちょっとは自重しろとツッコミ入れながら楽しく読めちゃったんです。きっとキャラの魅せ方が上手いんでしょうね。フリーダムにやりたいことしまくっても好きになれる主人公でした。

 

戦国時代でフリーダムといえば同レーベルの『戦国小町苦労譚』も触れておきます。あちらも戦国歴史改変で内政系知識チートです。年単位で人と技術を育てて、国造りをしていく息の長い展開です。
それに対して本作は魔法でドンとスピーディーな展開で読みやすい構成になってます。テンポはとってもいいですね。
あと主人公の知識も兵器に偏っていて知識無双はおきにくそうになっている気がします。

 

最後に私が楽しめた大きな理由として、作者さんの戦国時代への愛と知識があふれているところです。

展開は主人公無双でストレスフリーで読みやすいんです。けれど定期的に戦国の時代考証をしっかりしたネタを入れてきてくれるんです。
しかも知識をおしつける入れ方でなく、自然に分かる人にだけ拾えるさり気なさなのも嬉しいですね。
戦国時代を好きな方へはオススメです。

 

実は1巻目だと当たり前のように主人公が帰蝶になって、肉体的には帰蝶そのものとなったものの詳細説明はないんですよね。
異世界にくる前の主人公はどんな人生を過ごしていたの?とか、主人公ってあまりにも謎な存在なんです。今後の展開が楽しみです。

 

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