灰の街の食道楽【ラノベ感想】
灰の街の食道楽
著:黄鱗 きいろ
イラスト:にじまあるく
出版:カドカワBOOKS
アマゾンのあらすじより
人類圏の東端に位置する“灰の街”。そこでは人が残酷に食い荒らされる事件が頻発していた。特務捜査官・トシヤ(30)は“ネコ”と呼ばれる幼女・ミィとエージェントとして街を暗躍する。SFグルメを食しながら!大戦で荒廃してしまった都市で生き抜く、警察の特務捜査官とそのバディな幼女が繰り広げるSFっぽい作品です。そもそもカクヨムの「オーバー30歳主人公コンテスト」で特別賞を受けた作品だそうで、最近のラノベとしては異色です。このコンテストを存じあげませんでしたが、富士見L文庫編集部が主催で、大賞は富士見L文庫かKADOKAWA単行本で書籍化なんですね。よくぞこれほど尖った作品を書籍化してくれたと感じます。
感想
あとがきの表現を引用すると年の差バディものです。主人公のトシヤは30歳の男性で、目つきが悪い強面な描写です。バディーのミィは幼女なんですが、ネコとあるように人間ではありません。角が生えていて人間なんかより遙かに協力で、普通だと生物兵器扱いです。周囲は危険な道具あつかいをするのにトシヤのミイの関係は全然そう見えません。父と娘みたいな年の差バディーの良さであふれています。
いくつかのエピソードを読み進める中で、トシヤとミイの関係性・絆の深さを知っていけるので、この話が次にどうつながるの?と気になって読むのを止められない面白さでした。2人は事件に関わる特務操作感なので血みどろな展開があったり、ほろ苦な読後感のエピソードがあったりと多彩な展開で楽しかったです。
本作でもう一つの特徴は食です。グルメです。
天然の野菜や肉が貴重品となっていて、普段の食事はレトルトやフリーズドライなどの加工品です。そういう世界だけに肉や野菜を用いて料理することが、特別な体験になっています。美味しいご飯を食べるシーンが映えます。展開の合間合間にあるグルメのシーンのおかげで、場の空気が暖かくなり殺伐なSF一辺倒な雰囲気になっていません。ラノベを読まれる方に広くオススメできます。
同僚の捜査官やネコも魅力的な登場人物が多くて、是非もっと色んなエピソードを読みたいです。続刊を待ちます!
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