やがて英雄になる最強主人公に転生したけど、僕には荷が重かったようです【ラノベ感想】

やがて英雄になる最強主人公に転生したけど、僕には荷が重かったようです
著:坂石 遊作
イラスト:輝竜 司
出版:ドラゴンノベルス

やがて英雄になる最強主人公に転生したけど、僕には荷が重かったようです

アマゾンのあらすじより

主人公補正ゼロ、それでも僕は英雄を志す――!

第8回カクヨムWeb小説コンテスト カクヨムプロ作家部門 特別賞受賞!

王道RPGの主人公ルークに、とあるゲームオタクが転生した。
才能に恵まれ、予習も完璧、のはずだったのに。
チュートリアルで、幼馴染の本命ヒロインを守りきれなかった。
この世界ではご都合主義は起きない。
それでも、とルークは誓う。
必ず英雄になって、世界を救ってみせる!
本来の自分を隠し、ルークの冒険をなぞり始めた彼に、
仲間たちは原作とは違う反応を示していき――?
英雄になる使命を負った少年の偽りの英雄譚、開幕。

感想

主人公のルークは完璧な英雄です。だれもがイメージする英雄そのものです
でも”僕には荷が重かった”んですね。ルーク、もう休んでいいだよ。弱音を吐いたっていいんだよ、と声をかけてやりたいです。

主人公が苦難を味わうダークファンタジーを好む方には非常にオススメです。イラストの輝竜司さん繋がりで『第7魔王子ジルバギアスの魔王傾国記』が好きな人には間違いなく刺さると思います。

 

物語冒頭と口絵1枚目で分かるので書いてしまいますと、表紙で主人公が抱えている幼馴染ヒロインは命を落とします。本来のゲーム展開では無事であったところ、主人公がゲーム通りの行動をとらなかったから犠牲になってしまいました。……と主人公は受け取ってしまったのです。

それが本当であるかは誰にも分かりません。しかし主人公はそういう世界なんだと信じてしまったんです。
そして散ってしまった幼馴染に英雄となって世界を救うと誓ったのですよ。悲しいなあ。

 

だから主人公のルークは徹底して英雄であろうとします。英雄であればこう話すだろう、英雄であればこう動くだろう、そして英雄であれば誰よりも強くあるべきだろうと振る舞うんです。自分の心偽り英雄であろうと自らを傷つけまくるんです。
周囲から見える英雄としてのルークと、本当のルークとの対比がどこまでもエグく読者の心を揺さぶってきます。面白いです!

 

ルークがごく普通の弱い人間だというのを知っているのは、契約精霊のサラマンダーだけだったりします。彼女だけが唯一の理解者で、ルークをねぎらうのも心にくる演出です。まあルークは弱みを見せようとしないんですけどね……

 

英雄譚が面白いだけでなく、英雄を演じるルークの危うさが気になって非常に続きが楽しみです。

 

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