オーク英雄物語 忖度列伝 【ラノベ感想】

2023年10月20日

オーク英雄物語 忖度列伝
著:理不尽な孫の手
イラスト:朝凪
出版:富士見ファンタジア文庫
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アマゾンのあらすじより

十二の種族による大きな戦争で、多大なる戦果を挙げ『英雄』の称号を得たバッシュ。全オークから尊敬されるバッシュは旅に出る。種族の誇りと名誉のため、そして誰にも言えなかった秘密『童貞』を捨てるために……。

感想

文句なしに面白かったです!
大人気作、『無職転生』の理不尽な孫の手の新作で、オークが主人公、でもあらすじを見るとDTを捨てる旅とブッとんだあらすじが気になって読みました。
ファンタジーで「オークと姫騎士」ときたら「くっころ」なシーンとなるか、それを逆手にとってオークが紳士で姫騎士がアレだったりとなるかで色々と大人気なシチュですよね。
 
本作の主人公バッシュはオークの英雄です。歴史に名前が残ってもおかしくないぐらいの英雄です。それなのに周りの目とかでアレコレしているうちに脱DTの機会を失って、ついには外の世界へ脱DTのためだけに出かけるとかブッ飛んでいますよね。嫁探しじゃなくて脱DTの相手探しってなかなかな割り切りです。
 
でもギャグ作品ではなく王道よりなファンタジーです。ギャグというよりユーモアって方が適当かもしれません。
バッシュはまず腕の立つ強い戦士です。そしてオーク戦士であることに誇りを感じ、名誉を重んじる戦士です。かっこいんですよ。そんな彼が危機を剣で救って、ヒロインの心を開いていきます。まさに頼れるファンタジーの主人公って立ち回りです。そこへユーモアさとして繋がるのが、「忖度」の部分です。この相手への先入観からくる勘違い、すれ違いがストーリーの雰囲気を軽くしてくれ本作の大きな魅力を生み出しています。
 

 
【忖度・勘違いの例】
・「脱DTしたいので取りあえず国を出たい」 → 「オーク英雄に見合う伴侶捜しと旅を認められる」

・「(人間の女性に対して)俺の子どもを産まないか?」 → 「オーク的には普通のプロポーズ」

・「エルフ戦士♀が敵意を向け怒鳴りつける」 → 「オーク的に怒鳴るのは普通、会話スタート」
 

 
こんな感じにオークのイメージや、過去の戦争時のエピソードなんかからのスレ違いで、普通の展開ならヒロインがバッシュのハーレム要員になりそうなところが、そうならない意外さが面白かったです。またスレ違いの部分も説明が巧いおかげで、違和感なくスッと入ってきてとても読みやすかったですよ。
 
加えてキャラも良いんです。1巻目のヒロインは姫騎士で、2巻目はエルフの大賢者です。姫騎士は、ある意味The姫騎士です。初対面時の敵対心バリバリだったのが、氷が溶けるようにバッシュにひかれていって、いつ告白OKのシーンが来るか待ち遠しくなるほどでした。エルフはうってかわって行き遅れキャラです。優秀なのにちょっと残念感も兼ね備えていて、これは人気になるだろうなぁって魅力的なキャラです。
他にも男性陣も良い感じで、1巻目で部下の姫騎士がオーク英雄に無礼を働かないか、胃をキリキリさせる騎士団長とか、2巻目の腕はたっても生き方が不器用なベテラン戦士とか良いキャラだらけです。
 

次に出る3巻目は、ドワーフのヒロインみたいです。続きが出るのが楽しみです。無職転生を面白いと感じたのであれば、きっとオーク英雄物語も楽しめると思います。オススメします!

 

3巻目の感想

久しぶりでもバッシュとゼルの名を見ると、すぐにオーク英雄物語の世界観を思い出せちゃうのが本作のスゴいところです。ドワーフヒロイン登場なのでロリドワーフ!と想像してたら、伝統的にドワーフ女性も樽体型な世界でした。まさかこうくるとは。
ヒロインはヒューマンとのハーフドワーフで、読者感覚でも美少女です。そしてオーバーニーソの上に肉が乗っかるむっちり系です。ある一定の層にすごく刺さりそうです。
今回もバッシュのかっこよさが光りました。面白かったのが3巻目にでるドワーフの大半が、バッシュのヤバさを知っていて忖度じゃなくて恐れているあたりです。勘違いじゃない展開も読めて楽しかったです。

 

4巻目の感想

こんどの美女は、狐耳の獣人にサキュバスとこれまでと違ってエロヒロインです。朝凪さんのイラストもノリノリで挑発してくること……もっとやってもいいよ!
そして獣人の手足はしっかりとモフモフ毛皮になっていて、ケモナーにも嬉しい仕様です。

今回もまた勘違いが面白かったです。
ホットドック・プレス(昭和~平成初期のデートマニュアルな雑誌)をパロディにしたところなんて、分かる世代には嬉しい演出ですね。デート本でいくらモテを気取っても経験値はミジンコ。だからアドリブを効かせられないDTとか、バッシュさん忠実に再現してくれました。

それから予想の先をいってくれる展開も楽しかったです。バッシュが颯爽と決めて「あとは最後のひと押し!」って時の斜め上行動とか、ヒロインの危機に駆けつけたんだけど……「あんた誰?」とか、思わず読んでいてキャラクターと同じセリフが、口をついて出てしまいました。

面白かったです。次巻はデーモンっ娘攻略らしいので、またまた楽しみです。

 

5巻目の感想

デーモンっ娘の前にサキュバスの国に立ち寄りとなりました。

サキュバスはオークにとっての戦友です。オーク英雄のバッシュは、サキュバスにとっては戦友であり命の恩人でもあるんです。そして人間に負けた敗戦国としてサキュバスもオーク同様に制裁を受け、吸精する男性を制限される兵糧攻め状態なんですよ。

そんな男ひでりなサキュバスの国にたくましいオークがノコノコと出かけていけば……。

 

これまではバッシュの斜め上解釈からくる勘違いが面白かったのに、サキュバスが理性で食欲を押さえ込むチグハグ感も加わりました。オークを前にまっしぐらとなりそうなサキュバスの姿は、ニヤニヤするかぎりです。おもろ白かったです。

 

どうもオーク的にサキュバスは、ノーカン扱いとなるそうです。もしそうじゃなければバッシュの旅は、この5巻目で終わってハッピーエンドになっていたでしょうね。

次こそデーモンっ娘の攻略です。次巻も楽しみです。
 
 

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