ギア×マジックの世界でエンジニアとして生きていく【ラノベ感想】

ギア×マジックの世界でエンジニアとして生きていく 〜転生者は悪役皇女を救いたい〜(
著:小夜中 夜市
イラスト:ヤナギ リュータ
出版:KADOKAWAの新文芸

  gearmagic

アマゾンのあらすじより

バッドエンドを変えるのは、アニメ未登場の天才技師!?

人類が半人半機の怪物に抗う世界の動乱を描いた大人気ロボットアニメ『ギア×マジック』。
物乞いの少年グリムは廃屋に眠る人型兵器『ギア』を見て前世を思い出し、アニメの世界に転生したことを自覚する。原作通りならば、暴走した主人公に帝国皇女が殺され、帝国崩壊のバッドエンドへ一直線。アニメ未登場キャラながらエンジニアの才能があったグリムは決意する――原作主人公を倒す最先端のギアを開発し、技術の力で皇女の死を回避すると。
ギアの整備士になったグリムは、レアな分析スキルで幼くして帝国に貢献。有力貴族や軍人から信頼を獲得し、帝国の中枢へと食い込んでいく。さらに原作知識を駆使し、未来を先取りした圧倒的な技術革新を起こしてゆき……!?
メカオタクな転生者がアニメ世界の常識を凌駕する異世界ロボットファンタジー!

感想

メカオタクの異世界転生もので、お話の進み方がとっても私好みでした。とてもよかったです。

 

まずロボへの思いにあふれています。みてください無骨なこのデザインを。
いかにも工業製品だって見栄えですよね。デザインなんて後回し、実用性を最優先した外見です。
そして口絵はキャラ紹介よりもロボの紹介が先にきています。表紙の金髪ツインテ美少女よりもロボが先です。

ですのでお話の中心はロボです。
それでいながら主人公の成長や、魅力あるキャラたちとの切磋琢磨も描かれており、みていてずっと最後まで楽しさが続いていきました。

 

主人公のグリムはアニメ未登場のモブです。しかも人権なんてない属州民として生まれ、身よりもありませんでした。
スラム暮らしから工場の下働きとして潜り込み、勤勉さと実力をかわれて工員に。そして軍隊お抱えの技師へと成長していきます。

その行動の理由は転成した先がアニメ世界で、原作通りにすすんでしまうと世界の危機が待っているからでした。だから破滅回避のために技術で原作改編をしていこう、というストーリーです。

 

技術で未来を変えてやろうってのがいいんですよね。そして変え方も私好みです。

 

グリムは主人公らしく鑑定スキルをもって転生しています。原作世界ではスキル持ちはレア、その上に主人公が持っているスキルでは物体と人物の両方を鑑定可能でした。ということは触らなくても故障箇所や性能が分かってしまうんです。
人物であれば現在の技量や潜在能力まで分かります。

どう考えてもチート能力ですよね?
でもある意味、これだけだったら鑑定チートの一言です

 

本作でスゴいのはこっからです。鑑定で分かるのは何処をいじったらOKなのかだけなんです。

直すとか改善していく方法は、主人公の知識と経験とひらめきにかかっているんです。そしてそれらはチート能力として与えられるのではなく、ロボオタクとしての情熱と誰かを救いたいとの情熱によって身につけた力に依るんです。

スキルで活躍するのでなく、あくまでスキルを持った人が活躍するお話です。こういうお話を私は読みたかったんです。

 

その部分が本作では徹底して盛り込まれいるように感じます。
まず主人公は属州民というのがそうで、貴族や商家生まれじゃないため指摘して誰かにやらせることができません。正攻法で有力者の庇護下に入ろうとしても、属州民という身分の壁が阻みます。下手をしたら成果だけを奪われて口封されかねません。
だから主人公自身の手で実現するしかないんです。

また主人公は現実世界の努力と同じように、勉強をして汗と油にまみてて機械をさわることで能力を手にしていきます。
SFのロボだと電機にあたる部分が、魔力に置き換わったぐらいで機械要素はゴリゴリです。とても泥臭いです。

たった数行「死に物狂いで努力した」との描写で身につくことはありません。魔法やスキルをこじつけて、できましたでもありません。

情熱と日々の努力の積み重ねだえが、天才技師へと導いていくんです。本当にこういう主人公はカッコいいです。

 

 

主人公をとりまく設定だけで、こんなによかったんです。
他にもよかっただらけで書き切れません。そこでスカーレットについてだけ書きます。

 

スカーレットは表紙に映る金髪ツインテ美少女です。
皇女様です。外見通りでプライドが高くて強気です。ツンデレ気質も若干あります。

そんな彼女なので主人公とのファーストコンタクトは最悪です。
属州民ごときが何をしているの? とっとと出ていけとツンツンでした。

スカーレットがそんな言動にでてしまったのは、あることへの裏返しではあるとはいえ最悪ですね。でもそんなところからスカーレットは、グリムの卓越した技術とセンスを。グリムは彼女の強さへのひたむきな努力をしり、協力する関係へと変わっていきます。
パイロットとメカニックの二人三脚で、熱いバディ関係が繰り広げるようになっていきます。

 

あとちょっとだけネタバレも。

スカーレットは天才じゃありません。努力型タイプです。
それに対して天才型のキャラもいます。そんな理不尽ともいえる天才と出会ったとき、スカーレットがみせた決意を是非ともみてみてほしいです。

 

私はスカーレットお嬢様を応援しています。2巻目での活躍を楽しみです!

 

同レーベルの感想も読んでみる

KADOKAWAの新文芸の感想

 

 

Visited 23 times, 4 visit(s) today